今日は、クォン教授からいきなりのクイズ。AとBのスウィングデータからどちらが効率の良いスウィングかを読み解いてみよう。今週の通勤GDはDr.クォンの反力打法 Vol.43

前回のお話し

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

クォン 下のグラフのAとB、どっちがいいスウィングだと思う?

吉田 ちょ、ちょっと待ってください。ええと、横軸が時間で、縦軸が回転速度。それぞれの曲線が、腰、肩、腕、手首、クラブ……あ、それぞれのパーツの回転スピードを表すグラフですね。

画像: それぞれのパーツの回転速度を表すグラフ。横軸が時間、縦軸が回転速度

それぞれのパーツの回転速度を表すグラフ。横軸が時間、縦軸が回転速度

クォン そう。時間軸の「20」のあたりが、スウィングの「トップ」にあたる部分だね。

吉田 縦軸のマイナス側は右回転、すなわちバックスウィングを表すんでしたね。「20」のところで、クラブ(水色の線)の回転スピードがマイナスからプラスに転じているので、ここがトップ。AもBも、トップの前にすでに腰が左回転を始めているということは、しっかり下半身リードができているということですね。

クォン うむ。AとBはどちらも上級者だから、最低限の動きはできている。しかし両者には、ひとつ決定的な違いがある。

吉田 あ、緑の線が、Aは途中で下がっているのに対し、Bはゆるやかに上がり続けています。

クォン 緑の線は、肩の回転速度。Aはダウンスウィングでシャフトが地面と垂直になったあたり(時間軸の80)をピークに減速しているが、Bはインパクト(時間軸の100)直後まで加速し続けている。

吉田 Bのほうが、肩が回っているわりに、クラブスピード(水色の線)の最大値は低い。上体が開いてクラブが振り遅れているような状態ということでしょうか。

クォン そのとおり。つまりAのほうが良いスウィングといえる。

吉田 たしかに感覚的にも、インパクトで肩が開きすぎているときは、当たりが薄い気がします。

クォン 肝心のクラブが加速していくためには、肩や腰、腕は減速する必要がある。でもBのデータを見ると、肩が加速し続けているために、腰や腕もつられて回転し、減速が十分でなくなってしまっている。

吉田 サッカーに例えると、本来は最後に1人が点を獲ることが大事なのに、すべてのプレーヤーが「俺が俺が」と点を取りにいってしまって、組織として機能していない、という感じでしょうか。

画像: サッカーで全員がボールを取りに行くと成立しない

サッカーで全員がボールを取りに行くと成立しない

クォン 面白いたとえだね。たしかにスウィングも、体の各部が組織として機能し、最後にフォワードにあたるクラブヘッドが最高のパフォーマンスを発揮することが大事といえるね。

週刊GDより

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