ゴルフでもうひと花咲かすため、海老原清治プロと奥田靖己プロは、日々観察している。今回、食事をしながら、若いころと今を比べたバンカー論に、花を咲かせる2人。でも、この語り合いの時間こそ、「貴重な練習なのだ」そう。バンカーから始まった、体の動きとクラブヘッドの関係に、しばし耳を傾けてみると……。今週の通勤GDは「もう一花のゴルフ」Vol.14

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.14 ヘッドと体、主役はどっち? ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

前回のお話し

頭がもつれるから
体ももつれる

奥田 前回お話した、試合で一緒にまわった高校生がすっきり透きとおるようなゴルフをしていたのとは対照的に、僕はどうしても、ややこしく考えてしまうんです。だから、ゴルフがもつれる。エビさん、これ何とかしてください。

海老原 体じゃないんだよね。頭なんだよね。頭がもつれるから、体も、もつれちゃうわけでしょ。しょうがない、命令を出すのは頭なんだから。

奥田 間違いないですね。

海老原 たとえば、パー5でセカンドを打つとき手前のバンカーに入ったら、嫌だなと思った瞬間に頭がもつれる。

奥田 グリーンまで30とか40㍎ぐらいのバンカーは嫌です。入れたら一番まずいバンカーやから必要以上に警戒します。

海老原 パー5のセカンドショットを打ったとき、入るぐらいのところにあるバンカーは、僕らの経験からすると、グリーンまで距離が残るから嫌だなって思うよね。そうすると失敗するものなの。

奥田 エビさんやったら、そういうときには、どうされますか?

海老原 嫌だなって思って打つと、まあだいたい入る。でもさ、入ってもいいやって思って打つと、意外に越えていっちゃうものです。

奥田 バンカーに入ったとしても、入ってもエエやんかと思っていたら、そんなにショックもないんやね。

海老原 そうです。

奥田 (距離がある時は)ピッチングをちょっと開いてやってバーンと打てばエエんですから。

海老原 嫌だ嫌だと思っていてバンカーに入ると、ショックでボギーになっちゃうものです。

奥田 いやいや、ダボ、トリもあります。

海老原 グリーン手前のバンカーなんかもそう。アマチュアの人は、そういうのを見ると、見た瞬間に嫌がるでしょ。

奥田 バンカーに入るのが嫌で、セカンドを手前に刻んで、サードでバンカーに入れたりしてますから(笑)。

画像: バンカーに入ってもいいという気持ちが必要よ

バンカーに入ってもいいという気持ちが必要よ

ヘッドの入り方と
球の飛び方

海老原 あのバンカーに入ったとしても、寄せて1パット、と考えると、バンカーが苦手なアマチュアの人には難しいかもしれないけど、グリーンまわりが、すごく広くなる。そうすると、気持ちがもつれないで、伸び伸び打てるんじゃないかな。そうやって狙う場所を広くすれば、思い切っていけるし、若いころはそれができていました。「バンカーでもいいや」って。

奥田 そう考えると、もつれんと、迷わずサッと打てますよね。プレーも早くなります。

海老原 それがバンカーを嫌がって逃げていたら、バンカーにいかないけど、グリーンにもいかなくなっちゃう。それじゃあゴルフが面白くないよね。

奥田 一生逃げまわっているわけにもいかんですからね。

海老原 あとはね、練習のときもスウィングがどうだのって、体の動きばかり考えないことです。スタート前の練習はもちろん、普段の練習でも、クラブヘッドのことだけ考えて練習すれば、そんなにもつれることがなくなるんじゃないかな。出た球に対して、今はクラブヘッドがこう入ったからああいうふうに飛んだんだと考えるんです。

奥田 クラブヘッドやのうて、体の動きばっかり考えてしまうから、もつれるんやね。大事なのは、ヘッドの入り方と球の飛び方ですからね。

画像: 体の動かし方やなくて、クラブヘッドの動かし方が大事

体の動かし方やなくて、クラブヘッドの動かし方が大事

海老原 それをね、足がどうだとか、腕がどうだとか考えるでしょ。肩とか、腰とかまわっているかなとか。「肩がまわっていないイコール、クラブヘッドが上がっていない」って、そういうふうに考えればいい。

奥田 ヘッドがいかなあかんところまでいってへん、と考えなあかんということなんやね。

海老原 そう、クラブヘッドが上がってないのよ。それを、肩をまわそうというところばかりに気をとられていると、クラブヘッドはどうでもよくなっちゃうんです。

奥田 「何のために肩をまわすのか」を忘れてしまうんですね。クラブヘッドのことを忘れてもうたら、そりゃ本末転倒やね。

海老原 クラブヘッドが上がってないのなら、手首でも何でもいいから使って、上げてやれと思えばいいんです。

奥田 僕はね、悪くなってくると体に上下動が入るんですよ。自分のビデオ見てて、ハッと思ったのは、「そうかお前(ヘッド)が上がらへんから、オレ(体)が上がらなあかんのか」と。

海老原 なるほどね。

奥田 それで「お前(ヘッド)が上がれよ」と思ったら直りました。まあ、長くは続かんと思いますけど。せやけど、こんなんではレッスンでお金とれへんですね(笑)。

海老原 ハハハ。そりゃお金はとれない。でも、こうやってご飯を食べながら技術の話をしていることが、意味は大きいんだけどね。

奥田 僕は今、こうしてエビさんと話をすることで、「練習している」ことになるんですよね。

【花咲く一言】
「何のために体を回す?」
いつも、どこでも自問自答。

画/伊藤方也
TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

特許申請中の新技術で「ピッチ&ラン」が驚くほどやさしく
しかもスピンが超かかる

画像: golfdigest-play.jp
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