「魂胆のあるトレーニングなんてするんやったら伸びでもしとけ」今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第四十七話。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

ゴルフ芸人 高松志門
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
志門流一番弟子 奥田靖己
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。

前回のお話し

歩けさえすれば
ゴルフはできる

奥田 自分の若いころのスウィングを見ると、今のスウィングがやけにとろく見えるんですけど、やっぱり老化ですかね。

高松 老化とちゃうやろ。昔、ツアーでやってた頃に比べると、今は少し場所取って振ってるんちゃう。

奥田 若いころはもっとその場で振れてましたか。それで躍動感があるんですね。

高松 うん。それしか言いようがない。

奥田 ぼくはてっきり肉体の若さがあるからビュンと振れてたんやろうと思うて、「今日から腹筋鍛えないかんわ」と思って、“アブロケット”(腹筋器具)を買うたんです。

高松 え~、奥ちゃんあれ買うたん? こないだ家で「こんなん買うやつの気がしれん」いうてはなしてたばっかりなんよ。

奥田 それがね、たまたまCMやってたもんでつい買うてしまいました。

高松 うちのかみさんもな、「これやったら腹筋が楽に鍛えられるんちゃうの?」言うてな。それで俺が、「腹筋鍛えたかったら、ただ足を上げたらええだけの話やろ」言うたところや。今ちょっと両足浮かせてみて。腹筋にくるやろ?

画像: 「ゴルフは歩けさえすればできる。だから犬みたいに気が付いたら伸びだけしとったらええ」(高松プロ)

「ゴルフは歩けさえすればできる。だから犬みたいに気が付いたら伸びだけしとったらええ」(高松プロ)

奥田 ああ、ほんまですわ。そういえば昔、オフの時に「トレーニングはやったほうがええですか?」いうて先生にきいたら、「コタツでミカン食うとったらええ」言われましたわ。その時は「何ちゅうことを言うねん」と思いましたけど。

高松 ミカン食うとけいうたのは、その魂胆が見えたからやと思うわ。腹筋したいんやったら、暇な時に両足を浮かせるように心掛ければええだけの話。ホンマに身につくのはそういうものやからね。それを器機買うてやるなんてさみしい。

奥田 なるほど。魂胆があるかないかというのは大きい問題ですね。魂胆があると必ず見返りを求める。腹筋を1カ月頑張ったから、もっと飛ぶはずやとかね。でもそういう気持ちでゴルするのが、ほんまは一番怖いことなんです。

高松 そもそも飛ぶ筋肉なんて簡単に手に入るものちゃうからな。米屋や漁師の息子が家業手伝ってできた体と、ボディビル10年やった体と、中身が全然違う。

奥田 米屋の息子の体は一生持つけど、ボディビルダーは熱意を失ったら、薬に頼らん限り無理ですからね。そしたら、一般のアマチュアもトレーニングはやらない方がええですかね。

高松 やってもええけど、それよりもやらなあかんことが山ほどあるやろ。

奥田 たしかに。トレーニングいうのは、スウィングがとりあえず外れなくなった人がちょっと上積みしようかということでやるもの。それを、スウィングが外れまくっとる人が、エンジン大きくしてどないするんや言う話ですわね。

高松 車軸が曲がっとるのに、エンジン大きくしたら絶対事故る。

奥田 先生は柔軟体操みたいな動きをゴルフの時はようされてますね。

高松 伸びみたいなものや。朝起きたら“ふぁ~”ってするやろ。あれで十分やから。犬は偉いで。犬は3分寝たら、次に動く前に必ず伸びしとるやろ。

奥田 別に競技しているわけでもないのに、たしかに必ずしますね。

高松 1日何回しとるんや、いうくらいしょっちゅう伸びしてるやろ。偉いわ、犬。それに比べて人間はアホや。高い金払うて会員カード持ってわざわざジムに行くんやから。しかもええ車乗って。

奥田 そこまでするなら自分の足で走って行きゃええんですもんね。ほんま犬の方が賢いですわ(笑)

月刊GDより

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