桜美式の生徒は時松隆光プロのパッティングを真似ている。それはなぜか。今週の通勤GDは「みんなの桜美式」Vol.28。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: ゴルフ向学者 たけひさ先生 篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信

ゴルフ向学者
たけひさ先生
篠塚武久・73歳。福岡市で「桜美ゴルフハウス」主宰。福岡大学の大石迪夫教授と作り上げた「OSゴルフ理論」で多くのジュニアが結果を出す。「テンフィンガー研究ははや20年。今後『分担型グリップ』時代がくることを確信

前回のお話し

GD 「桜美式」、女子では後藤未有選手、男子では出利葉太一郎選手が活躍し、2019年アマチュア界を沸かせていましたね。

篠塚 後藤さんは日本女子アマで準優勝した際23パットとパッティングが素晴らしかった。出利葉くんも九州アマの決勝最終ホール、4人がタイスコアで並ぶ状況で、下りの7mのスライスラインを沈めて優勝した。2人はともに、誰を真似しているのかといえば、「桜美式」出身の時松隆光プロのアマチュア時代のパッティングです。

画像: 時松隆光プロのパッティング。「獲物がそこにあるのに、横を向いてしまう動物なんていません」

時松隆光プロのパッティング。「獲物がそこにあるのに、横を向いてしまう動物なんていません」

GD 先輩を真似て、先輩を追いかける活躍。先生も嬉しいですね。

篠塚 いい伝統はジュニアたちに継承してもらいたい。アマチュア時代の源蔵くん(時松)のパッティングもその1つ。彼は幼いときから、どんな距離、どんなラインでもカップインを果敢に狙い、それが面白いように入る、周囲が驚くほどのパッティングをしていた。源蔵くん同様に、今もジュニアに指導しているのは、「ラインが消えてしまう前に打て」ということ。

画像: 「攻撃的な“狙う”パットが桜美式では受け継がれている。スクェアに構えると、一度カップまでのラインを読んでも、それを消して球を見て打たねばならず、インパクトに感情が入りブレにつながる」

「攻撃的な“狙う”パットが桜美式では受け継がれている。スクェアに構えると、一度カップまでのラインを読んでも、それを消して球を見て打たねばならず、インパクトに感情が入りブレにつながる」

GD ラインが消えてしまう前?

篠塚 パッティングの手順では多くの人がスクェアに構え、狙っているカップと足元のグリーン上に置かれた球とを交互に見て、最後に球をしっかり見て、ようやく打ちますよね。

GD はい。その手順で打ちます。

篠塚 でもね、それだと実は、かなりの部分を「勘」に頼って打つことになってしまうんです。言い換えるなら、せっかくラインを読んだのに、それを消してしまってから、「だいたいこんな距離だったよな、だいたいこんな曲がり幅だったよな」と、思い出しながら打たなければならない状況を自ら作ってしまっている。せっかくのラインも流れも断ち切ってしまっている。

GD ラインを消してしまって、「勘」に頼って打っている……。

パッティングは
勘に頼らない

篠塚 「桜美式」では、ゴルフを狩りに例えるなら、パッティングは獲物を射止める重要な最後のトドメだと教えています。そんな大切な場面を「勘」に頼るなんて、もってのほか。頼るべきは「勘」などではなく、自分自身の「目」。そして、その目で最も見るべきは、自分の足元の球ではなく、あくまでも獲物である目標物のカップです。人間は優れた動物で、実際に目で見たものの距離や方向は、しっかりと脳が計算し、そこに球を転がすくらいのことは、本来簡単にできてしまう能力を備えている。それなのに、目を使えないカタチを過去の常識が作り出し、「勘」に頼らせることをさせてきた。

GD 目を使えないカタチ?

篠塚 まずスクェアに構えていることから、パッティングの難しさが始まっている。獲物がそこにあるのに、横を向いてしまう肉食動物なんていませんよね。スクェアに構えてしまうことで、一度はカップまでのラインを読んだのにそれを消して、球を見て打たなければなりません。球を見る時間が長くなればなるほど、目ではなく「勘」に頼らざるを得なくなる。だから、インパクトに感情が入るんです。「球に当てなきゃ」「真っすぐ転がさなきゃ」と。

GD とはいえ、ラインを読んで、カップを見たまま球を打つことなど、できませんよね?

篠塚 本来ならラインを見たまま打ちたいところですが、さすがにそれはできない。でも、それに近づけることならできる。構えをスクェアではなく、極端なオープンにする。そして肩を地面と平行にするのではなく、あらかじめ左肩だけ少し上げておく。たったこれだけでも、「勘」を頼らず、「目」を頼れるんです。パット巧者は皆カップとボールと目が「三角形」になっているでしょう。

画像: パッティングは 勘に頼らない

「『勘』を頼らず、『目』を頼る!」
「ボールに対して構えてはダメ。カップとボールと目が“三角形”になるように。構えを極端なオープンにし、肩は地面と平行ではなく、左肩だけ少し上げておく。両目で見られるので遠近感も方向性も脳が計算しやすくなり、ラインに沿ってそのまま打つことができる」

GD やってみると、スクェアに構えると片眼でチラチラ見るしかなかったラインが、オープンだと両目でしっかり見られる。

篠塚 両目で見られると、遠近感も方向性も脳が計算しやすくなる。しかも肝心なのは、ラインを視界から一度消して思い出しながら打たなくても、ラインを足元の球まで伸ばしてきて、そのラインに沿ってそのまま打つことができるということ。つまり「桜美式」の構えなら、ラインと球とがつながったままのパッティングができる。

GD ホントだ! 構えを変えただけなのに、球だけを見て、ラインは見ていない、という時間がなくなった気がします!

篠塚 スクェアに立ち、片目でチラチラとラインを見て、顔を下に向けて球をじっと見て、ラインを思い出しながら打ち、打った後まで顔は動かしてルックアップしてはいけない、なんてパッティングはナンセンス。ラインを見たまま、すぐに打てるような構えで、球を見る時間は少なくていい。もちろん、打ったあとも顔を上げて転がりを見ても構いません。その転がりを学習することで、次のホールのグリーンに生かせる。まずは練習グリーンで試してみましょう。

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