プロの腰はクルッと回るけど、われわれアマチュアはどうだろう。腰を止めて手先で打ったり、左右にスウェイしたり、腰引けだったり、う〜ん、腰の悩みは意外と深い。そこで登場するのが、宮本プロもご愛用という2本の棒。腰を回す感じがつかめるという魔法の棒だ。そもそも腰はどう回す? どんな練習が効果的?さぁ、あなたの腰もきっと回転し始めるはずですよ!
画像: 左)宮本勝昌プロ、右)石井 忍プロ

左)宮本勝昌プロ、右)石井 忍プロ

【宮本勝昌】
みやもとかつまさ。1972年生まれ。静岡県出身。ハイフェードを武器に、ツアー12勝をあげた実力者。スティックを腰につけて、腰のターンをチェックするメニューを練習に取り入れている
【石井 忍】
いしいしのぶ。1974年生まれ。千葉県出身。ツアーで活躍する若手男女プロからジュニアまで幅広くティーチングする。エースゴルフクラブ千葉校、神保町校、赤坂校でレッスン活動を展開中

【回転の鉄則】
“腰のキレ”が球をつかまえる

―― この写真のダスティン・ジョンソンのように、プロは下半身が先行して、しっかりと腰が回っていきます。この“腰のキレ”が、アマチュアとの決定的な違いですね。

画像: ダスティン・ジョンソンはしっかり腰が切れている

ダスティン・ジョンソンはしっかり腰が切れている

宮本 アマチュアは手打ちの人が多いから、切り返しから腕の力に頼って、クラブを振り下ろしちゃうでしょう。

石井 上手く当てたい意識が強いから、腰が正面を向いたまま、左右にスライドしてスウェイしちゃう人や、腰が引けてしまう人が多いんです。

宮本 手でクラブを下ろすと、上半身と下半身が一緒に動いちゃう。上下のねん転差ができないから、クラブが外からカット軌道で入ったり、上からヘッドをぶつけるようなスウィングになってしまう。

石井 宮本プロが言うように、下半身リードで腰が回転すると、トップからの切り返しで上下のねん転差が最大になり、大きなパワーを生み出すことができます。また、手先ではなく、体全体でボールを押し込めるから、インパクトがブ厚くなる。さらに、手先で合わせる動きがなくなるので軌道が安定し、スウィングの再現性も高くなります。

宮本 ヘッドスピードが上がって、ミート率もアップするから、飛んで曲がらなくなる。

石井 プロがよく言う、腰でボールをつかまえる、という感覚ですね。

【ポイント①】
スウェイや腰引けでは球がつかまらない

「体の正面でボールを当てにいこうとして、腰を回転させず、左右にスライドさせるとスウェイ。上体が突っ込むとインパクトで詰まるから、左腰を後ろに引くと腰引け。どちらも、球がつかまらないし、飛ばせません」(石井)

画像1: 【回転の鉄則】 “腰のキレ”が球をつかまえる

【ポイント②】
腰が使えるとスウィングの再現性が上がる

「下半身リードで腰が回転するようになると、腕とクラブはそれに引っ張られて動くようになります。イメージとしては指を後ろに引っ張って離す“デコピン”の動き。手先で合わせることができないので、再現性が高くなります」

画像2: 【回転の鉄則】 “腰のキレ”が球をつかまえる

【バックスウイングの仕方】
ひざ曲げタイプはタテ伸ばす人はヨコ回転

―― ひざを曲げて構えるか、ひざを伸ばして構えるか。アドレスの姿勢の違いで、バックスウィングの最適な腰の回し方が変わると宮本。

宮本 ひざを曲げるタイプは、バックスウィングでクラブを真っすぐか、やや外に上げると、腰がタテに回転して、最適なトップになる。ひざを伸ばすタイプは、インに上げてヨコ回転させると、腰がしっかり入る。両方試すと、自分に合う方法が見つかりますよ。

【ポイント①】
腰が回ればトップがキマる

「バックスウィングで腰が回転すると、トップがつねに同じ位置に収まり、パワーも溜まります。アドレスでひざを曲げるタイプも、ひざを伸ばすタイプも、トップの形はほぼ同じ。右の母指球、右ひざ、右の内ももにしっかり乗れたらOKです」(宮本)

画像: 【バックスウイングの仕方】 ひざ曲げタイプはタテ伸ばす人はヨコ回転

【ひざ曲げタイプ】腰をタテ回転イメージ

画像: 【ひざ曲げタイプ】腰をタテ回転イメージ

【ポイント】
真っすぐ上げると腰が回転する

「ボクや藤田寛之プロ、海外だとミケルソンがこのタイプ。骨盤が寝やすく、腰を横に回そうとすると、クラブが軌道から外れてしまいます。真っすぐか、やや外に上げて腰をタテに回し、右足の内側
に体重を乗せる感じで、いいトップになります」

【ひざ伸ばしタイプ】腰をヨコ回転イメージ

画像: 【ひざ伸ばしタイプ】腰をヨコ回転イメージ

【ポイント】
インサイドに上げると腰が回転する

「石川遼プロやタイガー・ウッズ、アダム・スコットなどがこのタイプ。体の回転に合わせて、クラブをインサイドに上げていくと、腰も素直にヨコ回転していきます。ハーフウェイバックでは、フェース面の角度と上体の前傾角が平行になります」

【ダウンスウィング】
それぞれのタイプで
右足の使い方が変わる

―― ひざ曲げタイプとひざ伸ばしタイプでは、ダウンスウィングの下半身の使い方、腰の回し方のイメージも変わる。

宮本 ひざ曲げタイプは、ダウンで右ひざを左ひざに寄せるように下半身リード。これで自然と腰が回ります。ひざ伸ばしタイプは、ダウン以降で右足かかとを浮かせないように、べた足を意識すると、腰が回りやすくなりますよ。ヘッドスピードがアップして、ボールがしっかりつかまる感覚がわかるはずです。

【ひざ曲げタイプ】右ひざを近づけよう

【ポイント】
右ひざを左足に近づけていく

「ダウンスウィングでは、右かかとが早く上がってもOKです。右ひざを左ひざに寄せていくように押し込んでいけば、自然と腰は回転します。インパクトからフォローにかけて、右の腰骨がターゲットに向いていくイメージを持つのもいいですね」

画像1: 【ひざ曲げタイプ】右ひざを近づけよう

【ポイント】
ダウンで右かかとが早めに上がる

「ひざ曲げタイプの特徴は、ダウンスウィングで右足のかかとが上がるのが早く、インパクトでは右ひざと左ひざの距離がグッと近づきます。右足をベタ足のイメージで振ると、体の回転にブレーキがかかって、腰も回りません」(宮本)

画像2: 【ひざ曲げタイプ】右ひざを近づけよう
画像3: 【ひざ曲げタイプ】右ひざを近づけよう

【ひざ伸ばしタイプ】右足をべた足気味に

【ポイント】
べた足にして両足の間隔を保つ

「ダウンスウィングでは、右足のかかとを浮かせないように我慢して、べた足をキープしたままインパクトするイメージです。これで腰が回りやすくなります。インパクトで左ひざが伸び、フォローでは左の腰骨がターゲットに向いていく感覚です」

画像1: 【ひざ伸ばしタイプ】右足をべた足気味に

【ポイント】
イメージはべた足インパクト

「ひざ伸ばしタイプの特徴は、ダウンスウィングからインパクトまで、右足かかとを浮かせずにべた足のイメージ。ひざ曲げタイプとは逆で、右ひざと左ひざの間隔は広めをキープ。右ひざを寄せると、腰の回転がブロックされます」

画像2: 【ひざ伸ばしタイプ】右足をべた足気味に
画像: 石川遼

石川遼

「どちらの動かし方が腰を回しやすいかやってみて!」(宮本)

【初級編ドリル】
“2本の棒”が腰の回転を助けてくれる

―― 宮本プロは2本のスティックを使って、下半身の動きをチェックしているという。

宮本 石川遼クンがやっていたので真似しました。彼がやっていることは、絶対にいいに決まってるもん(笑)。

―― 1本はスタンスラインや、ボールのすぐ手前に置き、もう1本はベルト通しに挿す。

宮本 これで素振りをしたり、実際にボールも打ちます。ベルト通しにスティックを挿すと、腰の回転を少し助けてくれるんです。しっかり下半身が使えるようになって、正しい腰の回転が身につきますよ。

【ドリル①】
短い棒を腰につけて長い棒をつま先の前に置く

「長い棒をスタンスの向きと平行に置き、短い棒は体の左側だけに出るようにして、ベルト通しに挿します。まずはアドレスの腰のラインをチェック。短いアイアンならフルショットできて、腰を回す練習にも最適です」(宮本)

画像: 足元に置いた長い棒:長さ約117センチ重さ110グラム

足元に置いた長い棒:長さ約117センチ重さ110グラム

【ドリル②】
短い棒を腰につけて長い棒をボールの手前に置く

「短い棒をベルト通しに挿すのは同じですが、長い棒はボールのすぐ手前に置きます。下半身リードで腰をしっかり回しながら、インパクトゾーンのクラブヘッドの軌道と、ボールがターゲットへ正確に打ち出せているかをチェックできます」

画像1: 【初級編ドリル】 “2本の棒”が腰の回転を助けてくれる

【ドリル③】
2本の棒をクロスさせてボール位置を確認

「2本のスティックを十字に重ねて地面に置きます。ターゲットと直角に置いた短い棒をまたいでスタンスを取り、その先にボールを置きます。ターゲットに対して、スタンスをスクェアにセットできているか。ボールの位置は正しいかを確認します」

画像2: 【初級編ドリル】 “2本の棒”が腰の回転を助けてくれる

″腰を回転させるドライバーショット”上級者編に続く

TEXT/Toshiyuki Funayama

PHOTO/Yasuo Masuda

週刊GD7月21日号より

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