地面を踏み込む意識を持つとインパクトで体が伸び上がってしまうという悩みを持つ人に、オススメのドリルがあるという。今週の通勤GDはDr.クォンの反力打法 Vol.47

【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【語り手/クォン教授】
ヤン・フー・クォン。テキサス女子大学教授。専門はバイオメカニクス。生体力学的に理に適ったスウィングを研究。教え子にタイガーの元コーチ、クリス・コモらがいる
【聞き手/吉田洋一郎プロ】
よしだ・ひろいちろう。D・レッドベターをはじめ、世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収。日々探究・研鑽に余念がないゴルフスウィング研究家

前回のお話し

クォン その前に、ひとつ注意してほしいことがある。それは反力打法の目的は、あくまで地面を使って「回転力を生み出すこと」であって、決して「地面を強くプッシュすること」ではないということ。

吉田 なるほど。地面プッシュは、強い回転力を生み出す手段にすぎないわけですね。

クォン 回転力を生まないプッシュはただのプッシュ。やみくもに踏み込んでも、ただ体が伸び上がるだけだ。

吉田 回転力を生むプッシュと生まないプッシュの違いとは?

クォン 以前も説明したが、左足を自分から見て左斜め下方向に踏み込むことで、モーメントアームが長くなり、強い回転力が生じる。ただ真下に踏み込むだけでは、回転力は生じない。

画像: 【通勤GD】Dr.クォンの反力打法 Vol.47 伸び上がらないプッシュの仕方を覚えよう ゴルフダイジェストWEB

吉田 実際、上級者のデータを見ると、回転力が最大になるのはトップのあたりですが、そのときの地面反力は決して大きくありません。手元が腰の高さに下りてきたあたりで地面反力は最大になりますが、そのときの回転力は小さい。つまりプッシュの強さと回転力の大きさは必ずしも比例していないことになります。

クォン 大事なのはプッシュの強さではなく、方向やタイミングを含めたプッシュの“上手さ”。だから反力打法を身につけるには、回転力を生むプッシュと生まないプッシュの違いを理解することがカギになる。そこでオススメなのがこのドリルだ。

画像: 地面反力の合力(黒い矢印)が最大になるのは、手元が腰の高さに下りてきたBの段階だが、回転力は小さい。回転力が最大になるのはトップ付近(A)。このときの反力は小さいが、矢印が左に傾いているため、モーメントアームが長くなり、大きな回転力を生む

地面反力の合力(黒い矢印)が最大になるのは、手元が腰の高さに下りてきたBの段階だが、回転力は小さい。回転力が最大になるのはトップ付近(A)。このときの反力は小さいが、矢印が左に傾いているため、モーメントアームが長くなり、大きな回転力を生む

吉田 待ってました!

クォン まずクラブを2~3本肩に担ぎ、手でクラブの両端を持つ。その状態から前傾姿勢を取り、背骨の軸を中心に上体を回転させる。このとき、積極的に下半身を使って体を回してほしい。

吉田 こうですね。

クォン それを左右に2~3回繰り返したら、最後のターンだけ左足を強くプッシュする。

吉田 左、右、左、右……(地面をプッシュして)左‼

クォン これを繰り返すと、強くプッシュすることと、回転力を生み出す踏み込みは別物であることが感覚として理解できるはずだ。

吉田 本当ですね。正しい踏み込みができれば、体が起き上がることはなく、体がスムーズに回るということを体感できます。

週刊GDより

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