多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員は「クラブ選びは重心選び」と表現する。最新ギアを計測・分析するなかで、注目データをピックアップ。「ウソをつかない本当の顔」=「ヘッドデータ&クラブデータ」を読み解く。今回はプロギアの「RS5フェアウェイウッド」だ!

アマチュアの
実打点を研究し設計

オープンフェースで上級者が左を恐れずに叩きにいける"顔"。1Wとは逆に重心深度が浅くなっており、強弾道が打てる設計だ

【Point1】
ネック軸回り慣性モーメントが4011g㎠と小さく操作性が高い
【Point2】
ソールの凹もあり27.1㎜と重心深度が浅い
【Point3】
ヘッド体積は176㏄と標準的だが、横幅が広い

「ギリギリ」の謳い文句で気勢を上げるプロギアの新製品FWを試打計測する。同社の調査でアマチュアの平均実打点はソールから17㍉付近と判明。それだとほとんどのゴルファーがヘッド重心点よりも下部でヒットしていることになる。

画像: 手元は硬めで、先端周辺の剛性を下げた。適度なしなりとつかまり感がある

手元は硬めで、先端周辺の剛性を下げた。適度なしなりとつかまり感がある

『RS5 FW』はクラウンに低比重カーボンを使用し、重心位置を下げて実打点に近づけた。またヘッドソール前方に搭載した溝の斜度を非対称にすることで、たわみ量が増し、実打点からの初速性能、打ち出し角を高めた。

フェース素材に高強度マレージング「C300」を採用し、CNCミルド加工で限界薄肉設計にすることで高いレベルで量産化に成功。フェース下部を高精度に薄肉化することができたことも、高初速を実現した鍵だ。

一般的なFWと比べると、フェースのヒール側下部が削り落とされている。そのため、トウ側に芯が移動し、ほぼ真ん中付近に重心がある

試打・計測は3W(15度)で純正M-43(他社のSフレックス)仕様。クラブ長が43㌅、クラブ重量が324.5㌘とどちらも3Wとしては標準的なので、クラブ慣性モーメントが284万g㎠となり、本来は1Wのヘッドスピードが43~44m/sくらいのゴルファーがタイミング良く振れる設計だ。

オープンフェースで
スクェアに構えやすい

『RS5ドライバー』同様にヘッドの横幅が広いので、通常の3Wに比べてやや三角形型に見える。フェース長は標準的だが、ヘッドのヒール側をかなり落としているのが形状的特徴。

アドレスではややフラットなライ角度とオープンフェースでフェースがまったくかぶっておらず、スクェアに構えやすそう。

浅い重心深度とシャローバックの形状から、スウィートスポットの位置が低く、球は上がりやすい

また、ネックに弾道調整機能はなく、ソールにウェートビスもないシンプルな構造だが、ソール面のフェース側にかなり深い凹形状部分があり、重心深度が浅くなることが想像できる。

横幅が広く、後方が低いシャローバック形状で、球が上がりやすそうなイメージが出ており、またフェースがまったくかぶっていないのでスクェア感が強い。純正ディアマナのシャフトは軟らかめだが、素直なしなりで振りやすい。

ヘッドMOIが2458g㎠と
小さく、1Wとは違う設計

『RS5ドライバー』とは違って浅い重心深度の設定で、その結果、フェース面のスウィートスポットがやや低くなり、フェアウェイからでもフェースの芯が食いやすくなっている。さらに、厚くインパクトできれば低スピンの強い球を打つことが可能。

マレージング鋼を使っているだけあって打感は硬いが、球の弾き感は良好。ただカーボンクラウンなので、インパクト音は低めで、好き嫌いがわかれるだろう。

フェースアングルが-1度でかぶってみえない(左3番、右5番)

通常の3Wに比べ、ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが小さいので操作性が良く、球をつかまえたドロー系弾道が打ちやすい。ヘッドの左右の慣性モーメントが大きなフェアウェイウッドではないが、上級者がスピンコントロールで飛ばせそうなクラブだ。

3Wは飛ばしではなく
コントロールしたい上級者に

画像1: 3Wは飛ばしではなく コントロールしたい上級者に

試打クラブスペック/15度 + 標準 ディアマナ for PRGR・M-43シャフト
ヘッド素材/フェース:マレージング鋼(C300)、
      ボディ:マレージング鋼(AM355P)、
      クラウン:カーボン(CFRP)
ロフト角/15度 
ライ角/57.5度 
長さ/43㌅
シャフト/ディアマナ for PRGR 
総重量/約325g
価格(税別)/4万9500円
※メーカー公表値

画像2: 3Wは飛ばしではなく コントロールしたい上級者に

週刊ゴルフダイジェスト2020年9月15日号より

ヘッドデータはウソつかない
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