「そういう所作こそゴルファーとして最高にカッコいい」今週の通勤GDは、高松志門プロと奥田靖己プロによる名師弟「一行レッスン」です。その第六十二話。
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【ゴルフ芸人 高松志門】
1951年生まれ。橘田規に師事し水平打法から独自の理論を展開。多彩な技から‟ゴルフ芸人”の異名をとる。
【志門流一番弟子 奥田靖己】
1960年生まれ。絶妙な寄せ技を武器に93年日本オープンで尾崎将司を退け優勝するなどツアー6勝、シニア2勝。
前回のお話し
奥田 しばらく前にある俳優さんとプロアマ戦でご一緒させていただいたんですけど、めっちゃカッコ良かったです。ニッカボッカスタイルが決まってるし、なによりプレーのマナーが完璧。さっさと回られるけど、人が打つときは一切動かない、音もたてない。
高松 それは素晴らしいね。それでゴルフのほうはどうやった?
奥田 最初は調子出なかったみたいですけど、途中からバシャーンと当たりだして、最後のほうはセカンドで涼しい顔して直ドラ決めてましたわ。あんまりカッコいいんで「今のええですやん!」って思わず声を出してしまいました。
高松 ほぉ。さりげなくそういうことができると、ニッカボッカが余計に似合うように見えるな。
奥田 そうそう、それで僕もそう思って、その俳優さんがティショットでええ球打たれて、しばらくフィニッシュ取ってたときにいうたんです。「ナイスショットをずっと見てたい気持ちも分かりますけど、その球が地面に落ちるときには、もうクラブをバッグにしまっていてください。そしたら最高にそのニッカボッカが似合うゴルファーになりますよ」って。そしたら、大笑いされてましたけどね。
高松 でもな、オレはなそういうアドバイスが一番ええと思うわ。カッコいいとか不細工とか、そういう言い方できるプ口は少ないやろ。理屈ばっかりで。
奥田 技術的な方法論のアドバイスばっかりしてるいうことですわね。
高松 そうそう。そういう理屈をいうとプロとアマがゴルフという基軸で同等に思われちゃうんよ。結局、方法論と方法論の戦いみたいになるやろ。
奥田 なるほど。ただどっちがええかの選択肢を選ぶことになりますね。僕がいいたかったのは、球を打ったらせかせかカートに戻れ、ということではない。自分が思い通りに打てたときは、球の行方を追わなくても、どこにどういうふうに飛んだかほとんど打った本人は分かってるはず。ならば、さっとティを拾ってクラブをバッグにしまったら、それがゴルファーとして最高にカッコいい所作ですよということ。
高松 玄人から見たら、そういうのが一番しびれるんやけどな。そしてそういうことができるということは、ただ見た目がカッコいいだけの話で終わらん。肝心のスウィングからも一切の無駄を排する方向に向かっているということでもあるんよね。一切の無駄がないスウィングというのは、うちの流派の最高位やから。
奥田 はい。だからまずはそういう部分に目を向けられるゴルファーに増えて欲しいですね。ただ「あの人、さっさとクラブをしまいに行った」じゃなくて、「ああ、今のは納得のいく一打だったんだ。だから球の行方を見なかったんだな」と。
高松 あとな、好きとかカッコいいという衝撃は、実はなにより強いとオレは思う。カッコいいと思う人の言葉や行動は絶対忘れんし、自分がそのカッコ良さに衝撃を受けたら、たとえ誰に理解されなくてもやり続けられる。
奥田 ほんまですね。
2015年月刊GDより
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