【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.31 「壁」なんか作るな! ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

前回のお話し

左右に壁を作るな

海老原 我孫子出身のプロって、みんなスライスでしょ。

奥田 基本、みなさんフェードですな。

海老原 僕だけ、研修生時代ですけど、フックだったの。でも、フック一辺倒じゃどうにもならないホールがあって、佐藤(精一)さんに「このバカ!」って言われて、「じゃあスライスを教えてください」と頭を下げて教えてもらったんです。

奥田 佐藤さんやったらスライスの名手やし、教えるの上手ですからね。

海老原 最初に言われたのは、「まずはスライスを打つには、インパクトで左足を伸ばせ」と。「はい、わかりました」と言ったんですけど、左足を伸ばしてインパクトしたら、体が浮き上がって、空振りしちゃうんじゃないかと僕は思ったんです。そう思いながら、インパクトと同時にカーンと左足を伸ばしたら、スライスが打てた。

奥田 すごいですね、あの佐藤さんという人は。

海老原 それでね、「スライスを打つときは、いまみたいに左足を伸ばすんだけど、フックを打つときは左のひざを曲げたままにしておけ」って言うんです。

奥田 それでヘッドの動きが違ってくるんやろうね。

海老原 そう。左足をインパクトで伸ばすと、左へ速く動けますからね。

奥田 やっぱり、そのときは左のつま先は開いてないとダメなんですよね。

海老原 そうそう。右のつま先も、左のつま先も開いておくのね。そのほうが、右にも左にもまわりやすいですからね。

奥田 僕も佐藤さんに「左右に壁を作るな」と言われました。確かに、そのとおりや思います。右も左も壁なんか作ったらあかん。

海老原 なんで昔はみんな「壁、壁」って言っていたんだろうね。スウィングに「壁」って意識はいらない。

画像: 「僕のスウィングも写真だと左右に“壁”があるように見えるでしょ。でも、僕の意識は壁じゃない。たとえば、スライスを打つなら左足を伸ばす、フックなら左ひざを曲げるなどにあります。結局、ヘッドがどう動くかがすべてです」(海老原)

「僕のスウィングも写真だと左右に“壁”があるように見えるでしょ。でも、僕の意識は壁じゃない。たとえば、スライスを打つなら左足を伸ばす、フックなら左ひざを曲げるなどにあります。結局、ヘッドがどう動くかがすべてです」(海老原)

奥田 佐藤さんは、「ゴルフに壁はない。右も左も。壁がないから、振れるんだろう」って言ってはりました。

海老原 そう言えば僕も昔、「壁なんて意識したことないよね」って佐藤さんと話したことがあったな。

奥田 そういうところが、佐藤さんのすごいところなんやね。あのころはレッスンというとみんなが「壁」と言っとった時代ですから。

海老原 写真に撮ったら壁に見えるんだよね。写真じゃなければ壁ではないんです。それで壁を作れと言われると、意識が壁になっちゃうから、動きが止まる。そりゃ、「壁」って思えばどうしても止まります。

奥田 壁だと思うとスウィングが作り物になってしまうんやね。

海老原 飛行機だって、飛んでいるところを写真に撮れば止まってる。でもさ、本当に写真みたいに止まったら、落っこちてしまうでしょ。スピードがあるから浮いていられるんです。

奥田 ハハハ。

海老原 結構、意識と実際って違うよね。駆け足もそうでしょ。走っているのを写真で撮れば、必ずかかとから着地している。かかとから着地してつま先に抜けていくんです。でも、走っている人はかかとなんか意識しません。誰だって走るときは、つま先のことだけです。

奥田 この前、たまたま夜にBSでウサイン・ボルトのコーチが、日本の中学の陸上部を指導するとう番組を見たんです。

海老原 へ~え。見たかったな。

奥田 子どもたちが走っているフォームを撮ってスローで見せるんです。そしたら、やっぱりかかとからいっとるんですね。それ見てコーチが、足の裏の母趾球から着地するつもりでいかないと速く走れんと言うんやね。そこを改善して走ったら、みんなタイムがようなったんです。

海老原 へ~え、そうなの。

奥田 だから、何をするにも母趾球を意識しなさいという話やったんです。かかとからいくと接地している時間が長くなって速く走れんと。接地している時間は短いほどエエとコーチは言うてましたね。

海老原 僕は、母趾球からというのはよくわかりませんけど、そのほうが間違いなく速く走れるはずです。走っている人の写真を見せて、「ほら、かかとからだろ」と言って、かかとに意識がいってしまっては走れません。佐藤さんが「壁なんか作るな」と言ったのも、そういうことなんです。壁なんて意識していたら、スウィングが止まってしまうということです。

奥田 もっと極端なことを言えば、ダウンスウィングからフィニッシュまでの間を切り刻んで、分割して考えるのは、あってはならないということやないですか。手がここに下りてきたときに腰はどうやとか、そういうのは、佐藤さんにもエビさんにもありませんからね。

海老原 クラブヘッドがただ通過するだけですよ。写真みたいに止まっているところなんて、どこにもありません。

奥田 バーンと振って終わりや。そんなの考えてる暇はありません。

【花咲く一言】
「壁」を意識すると
スウィングが止まる

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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