メジャーチャンプ渋野日向子を育てた青木翔に“コーチング”のこだわりを語ってもらう本連載。ゴルフだけでなく、仕事や育児に頑張っている人に読んでもらいたい。今週の通勤GDは「笑顔のレシピVol.30」。
【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。
【青木翔】
あおきしょう。1983年3月28日生まれ、福岡県出身。大学を卒業後、プロを目指すも27歳のときに指導者の道を志す。2012年に自身のアカデミー「ASGA」を設立。渋野日向子をはじめ、数々のツアープロや全国トップレベルのアマチュアゴルファーの育成に努めている
前回のお話
「上手い」と「強い」。この2つは似て非なるものです。技術的な上手さというのは、強くなるための要素の1つにすぎません。上手く打てる選手がいい成績を残すとは限らないのです。
仕事でも商品の知識があって資料作りが上手い人が、必ずしもたくさんの契約を取れるわけではありませんよね。受注率が高くなるかもしれませんが、逆に商品知識がないのに「なぜか売れる営業マン」みたいな人もいたりします。
一般的にゴルフのコーチといえば、上手くなるために打ち方を教える人だと思われています。もちろんより良い打ち方を教えることに特化しているコーチもいますが、僕は選手を強くすることを念頭に置いています。
プロを目指している選手は特に、勝つことが生活につながります。だから僕を信じて取り組んでくれている選手たちを、路頭に迷わせるわけにはいきません。
技術的な力と、試合で勝つための力、教えるのが難しいのは後者のほうです。たとえば、冒頭で挙げた仕事の場合、資料作りなどは本を読んだりビジネススクールに通ってノウハウを学べば、一定程度は身に付きます。
でも商談で相手の懐に入っていく術や、駆け引きなどはそう簡単にモノにはできないはずです。ゴルフの場合は、プレッシャーがかかった場面でのコントロールや諦めない気持ちの強さ、勝負どころの読みなどが試合で勝つための能力として挙げられます。
もちろん練習や普段のコミュニケーションでそれらを意識して取り組むことはできますが、選手が自立し自分と向き合う術を持っていなければ、本番では使い物になりません。
技術はあるのに結果を出せない選手は「メンタルが弱い」とひとくくりにされがちです。そこでどんな時に結果が出ないのか、という部分を深掘りしていくのがコーチの役目。
結果が出ない部下や子どもに「お前はガラスのハートだからなぁ」なんていうのではなく、なぜ上手くいかなかったのか一緒に考えてあげることが大事だと思います。
TEXT/SHOTANOW
PHOTO/ARAKISHIN
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