ドラマを生む仕掛け
太平洋クラブ御殿場コースといえば、グリーン右手前に池が広がる18番パー5、あるいはグリーンからティグラウンドを振り返ると美しい富士山が借景となる17番パー3を思い浮かべる人が多いはず。また、16番パー4は右へドッグレッグした難ホールとして知られる。
御殿場コースの上がり3ホールは難度の高いパー4、美しいパー3、ドラマチックなパー5という、18ホールの終盤を飾るにふさわしいバランスの取れた構成だ。
その3ホールへ続く15番が今回の特集の舞台。
378ヤードとやや距離の短いパー4だが、改修を担当したリース・ジョーンズはこの15番に面白い「仕掛け」を用意した。
難度を上げるには距離を伸ばすのが常套手段だがそれをせず、プレーヤーに「コースをどう攻めるか」を考えさせて、考えた挙句「攻める」決断を迫るような改修を施した。
距離が短いことを逆手にとり、ティグラウンドを前後に伸ばした。前方のティを使用すれば、ワンオンが狙えるパー4としてセッティングできるようにしたのだ。
グリーンの指標「ターゲットバンカー」が新誕生
ワンオンを狙わせる仕掛けとして生んだのが、グリーン手前右側の小高いマウンドを利用して新設したバンカー。このバンカーはミスショットした際のハザードという意味合いよりも、「ワンオンを狙う時には、このバンカー方向が目標」と狙いどころが明確になる『ターゲットバンカー』の役回り。
リースの右腕として現場で指揮を執るブライス・スワンソンは、「トーナメント(太平洋マスターズ)の4日間のうち1日か2日、前方のティを使って、プレーヤーにワンオンを狙わせるのも良いかもしれません」と話した。
日によってティボックスの位置を大きく変えて、プレーヤーにワンオンを狙わせる手法は、近年のPGAツアーでもたびたび見られるコースセッティングの手法のひとつ。
ムービングデイとなる3日目も面白いが、優勝争いが繰り広げられる最終日に設定されれば、大きなドラマが起こるかもしれない……。
そんな期待に胸が湧くパー4に、15番ホールは変わった。
その年のオーガスタ(マスターズ)を制し、現役のマスターズチャンピオンとして登場したバッバ・ワトソン。378ヤードの15番ホールのティショットは350ヤードを超え、グリーンわきのラフへ。前の組で回っていた藤田寛之も苦笑いの飛距離を見せた
太平洋クラブ御殿場コース
静岡県御殿場市板妻941-1
TEL.0550-89-6222
18H・7327Y(改修前7246Y)・P72
原設計(加藤俊輔)、改造(R・ジョーンズ)
東名高速<御殿場I.C.>より約9km
東名高速<裾野I.C.>より約10.7km
中央高速道・東富士五湖道路<須走I.C.>より約10km
週刊GD2018年10月9日号より