高松カントリー倶楽部のアウトコースは、瀬戸内海をひと跨ぎにする瀬戸大橋を眼下に見る。大橋を渡れば対岸の倉敷まで僅か60分。昭和25年頃、日本勧業銀行高松支店裏の小さなインドアゴルフレンジに集う10名余のゴルフ狂がいた。

当時四国にはゴルフ場がない。彼らは、対岸の岡山県倉敷近くの霞橋ゴルフ場や帯江コースへ通った。朝6時半出発、連絡船で宇野へ、宇野から汽車、茶屋町でバスに乗り換え、倉敷からタクシーでやっと霞橋へ。

所要時間3時間30分。プレーを3時で終了して帰宅は夜8時。プレー時間よりも往復の時間が長かった。

画像: 1番ホール(富士見台)/174ヤード/パー3 背景に世界一の大橋を望む

1番ホール(富士見台)/174ヤード/パー3 背景に世界一の大橋を望む

「船に乗らずに行けるコース」は高松ゴルフ同好会一同の悲願だった。彼らは高松周辺にゴルフ場用地を探し回った。

しかし、「讃岐路は、山は櫛形小富士形」といわれるほど嶮岨で適地がない。やっと見つけたのが坂出郊外城きやま山台地だった。梯形の台地で標高462㍍、約20万坪、18ホールに十分な面積だ。鳴尾GC、三好CCの設計で有名なハーレとジョーのクレーン兄弟の現地調査でも適地の判定がでた。

画像: 17番ホール/171㍎/パー3 深い谷とグリーン手前の段差によって飛距離が把握しにくいホールだが、対岸までは110㍎

17番ホール/171㍎/パー3 深い谷とグリーン手前の段差によって飛距離が把握しにくいホールだが、対岸までは110㍎

画像: 15番ホール/327㍎/パー4 瀬戸内海、瀬戸大橋が眺望できる豪快なホールで、ティショットは、やや右目を狙う

15番ホール/327㍎/パー4 瀬戸内海、瀬戸大橋が眺望できる豪快なホールで、ティショットは、やや右目を狙う

由緒と謎の多い「城山台地」に100%手づくりで造られた

昭和28年、丸毛信勝による設計で着工。翌29年9月23日9ホールで開場。四国では戦後初の本格的コース。高松カントリー倶楽部、地元では城山コースと続ける。「城」を「き」と読むのは古代百済系朝鮮語だとか。

画像: 今もコース内に残る、石造りの城門跡

今もコース内に残る、石造りの城門跡

城山台地一帯には、巨石、石畳が多く、日本書紀に現れた前史・古代山城の跡といわれている。後に安部比羅夫が、高句麗、新羅の侵攻に備えて本格的に造った葛城、屋島と並ぶ3大古城の城址という説も。

15番ホールは、城門、車道と続く遺構のうち、城門が残っており、4番ホールの愛称ホロン石は、古代山城で精米に使った石からとった。

コースは、由緒と謎の多い城山台地に100㌫の手作りとして造られた。インコースは、昭和31年9月22 日開場。18ホールのコースとしては、これも四国初だった。

高松カントリー倶楽部 城山コース
香川県坂出市西庄町城山1625-15 ☎0877‐46‐5555
開場日:昭和29年9月23日
コース:18H/6320Y/P70
設計:丸毛信勝
公式ホームページはこちら

美しい日本のゴルフコース(弊社刊)より

取材・文/田野辺薫

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