当時四国にはゴルフ場がない。彼らは、対岸の岡山県倉敷近くの霞橋ゴルフ場や帯江コースへ通った。朝6時半出発、連絡船で宇野へ、宇野から汽車、茶屋町でバスに乗り換え、倉敷からタクシーでやっと霞橋へ。
所要時間3時間30分。プレーを3時で終了して帰宅は夜8時。プレー時間よりも往復の時間が長かった。
「船に乗らずに行けるコース」は高松ゴルフ同好会一同の悲願だった。彼らは高松周辺にゴルフ場用地を探し回った。
しかし、「讃岐路は、山は櫛形小富士形」といわれるほど嶮岨で適地がない。やっと見つけたのが坂出郊外城きやま山台地だった。梯形の台地で標高462㍍、約20万坪、18ホールに十分な面積だ。鳴尾GC、三好CCの設計で有名なハーレとジョーのクレーン兄弟の現地調査でも適地の判定がでた。
由緒と謎の多い「城山台地」に100%手づくりで造られた
昭和28年、丸毛信勝による設計で着工。翌29年9月23日9ホールで開場。四国では戦後初の本格的コース。高松カントリー倶楽部、地元では城山コースと続ける。「城」を「き」と読むのは古代百済系朝鮮語だとか。
城山台地一帯には、巨石、石畳が多く、日本書紀に現れた前史・古代山城の跡といわれている。後に安部比羅夫が、高句麗、新羅の侵攻に備えて本格的に造った葛城、屋島と並ぶ3大古城の城址という説も。
15番ホールは、城門、車道と続く遺構のうち、城門が残っており、4番ホールの愛称ホロン石は、古代山城で精米に使った石からとった。
コースは、由緒と謎の多い城山台地に100㌫の手作りとして造られた。インコースは、昭和31年9月22 日開場。18ホールのコースとしては、これも四国初だった。
高松カントリー倶楽部 城山コース
香川県坂出市西庄町城山1625-15 ☎0877‐46‐5555
開場日:昭和29年9月23日
コース:18H/6320Y/P70
設計:丸毛信勝
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美しい日本のゴルフコース(弊社刊)より
取材・文/田野辺薫