片山津ゴルフ倶楽部の規模は、片山津54ホール、山代山中36ホール、合計90ホールで日本海の雄だ。その拠点は片山津ゴルフ場の54ホール(白山・日本海・加賀コース)、設計はすべて佐藤儀一。「廣野はアリソンの子、片山津はアリソンの孫」と言われるが、なぜアリソンの孫なのか。
ゴルフコースことはじめ
文芸評論家を経て、ゴルフジャーナリストとしても活躍した田野辺薫氏。ゴルフコースの目利きとして全国のコースを取材し、週刊ゴルフダイジェストで「ゴルフの歴史を歩こう」を連載(2005~2013年)。それを一冊にまとめた「美しい日本のゴルフコース」から多くの人に名コース誕生の歴史を知ってもらおうと再編集公開しています。
廣野GCキャプテン時代の佐藤儀一が設計
廣野GCのコースが日本随一といわれるのは、アリソンの戦略的設計と松を主役とした日本的情景を美しく融合させることに成功したからだ。
佐藤儀一は、米国帰りのゴルフ名人として知られ、帰国後も日本アマ3連覇を含め4勝、戦争中断がなければ10勝はしたといわれた。廣野では、クラブチャンピオン12勝。アリソンの申し子といわれた。
だからその佐藤が造った片山津ゴルフ場は、アリソンの孫なわけだ。片山津の設計を引き受けたとき佐藤は、廣野のキャプテンでもあった。
片山津新保の海岸にも潮騒をのせて広がる松原があった。そのさきには青い海、振りかえると空には修験の霊山・白山が高くそびえる。日本にしかない絶景だ。
廣野をモデルにした
現地を見たとき佐藤はアリソンが廣野の景色にうたれたのと同じように芸術的な衝動を感じたはずだ。佐藤は「廣野のアリソン流を、ここでやってみる(片山津ゴルフ倶楽部40年誌)」と語った。廣野のバンカーやグリーンをモデルにしたという。
廣野10番のバンカーが背丈よりも高いように片山津の深いバンカーにガードされたグリーンは、ピンがまったく見えない高台グリーンになる。カリフォルニア大美術科出身の佐藤は「高い松には深いバンカーがよく似合う」ことを知っていたはずだ。
平成16年の日本オープンのために、白山コースを改修した設計家・加藤俊輔は「世界的に見てもこれだけのバンカーを各ホールに持ったコースは少ない」と評価、自らも17番(パー3)グリーン右にバンカーを増設している。
加藤の改修で7118㍎となった白山コースでの日本オープン(2004年)。優勝した谷口徹のスコアは、285ストローク(3アンダー)だった。
片山津ゴルフ倶楽部 片山津ゴルフ場
石川県加賀市新保卜1-1
☎0761-74-0810
開場日:昭和32年11 月1日
コース:18H/6580Y/P72(日本海)
18H/7118Y/P72(白山)
18H/7038Y/P72(加賀)
設計:佐藤儀一
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美しい日本のゴルフコースより(弊社刊)
取材・文/田野辺薫
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