設計界の巨匠 R・T・ジョーンズの長男「ジョーンズJr」
ジョーンズJrは、ヒロイックデザイン(英雄型設計)として名声を博した父R・T・ジョーンズの長男として1939年7月誕生。
アイビーリーグのエール大学では文学政治学を学び、ゴルフ部に所属。その後、スタンフォード大学に進み経済学を専攻した。卒業後、父の会社に入り1962年に副社長に就任。西海岸事業統括として、ゴルフコース設計をスタートした。
日本のゴルフコース設計は1930年に来日したC・H・アリソンによって夜明けを迎えた。それまでのコースは、赤星四郎、六郎、大谷光明といった米国仕込みの名プレーヤーによるものだったが、アリソンによって「戦略型」コース設計が導入されるようになった。これを機に、井上誠一、上田治といったプレーヤーあがりではないゴルフコース設計家が日本にも誕生する。
その後、日本のコースは、目覚ましい進歩を遂げるが、太平洋戦争によってゴルフは休眠状態を余儀なくされる。戦後10年間は、壊れたコースの復旧に充てられた。米国でも同様に戦争の影響でオーガスタナショナルは雑草が生い茂り、荒廃した状態となっていた。
そんなオーガスタナショナルの復元改造工事を担当したのが、父R・T・ジョーンズだった。8番、12番、13番はグリーンを改造。11番と16番はまったく違うホールへと生まれ変わった。その仕事ぶりがボビー・ジョーンズに高く評価され、晩年のホームコースとなるピーチツリーGCの造成監督(
フォアマン)を任された。
オーガスタの復元改造、ピーチツリーGCの造成を経験することで、球聖ボビー・ジョーンズのゴルフ哲学に触れ、さらに1951年にはUSGAの依頼を受け全米オープンの舞台オークランドヒルズを改造。その難しさにベン・ホーガンは「このコースはモンスターだ」とつぶやいたという。
名実ともに一流設計家の仲間入りを果たした父R・T・ジョーンズは、「点」で狙うショットを要求する「ヒロイックデザイン」(英雄型設計)を取り入れていった。そのひとつが、大きく危険なウォーターハザード(現ペナルティーエリア)である。
安全ルートの余地を残しつつ、危険だが称賛に値する英雄的ルートを明確にした設計は、戦略型というよりは「加罰型」に近い現代の「魅せるアメリカンコース」に通じるものがある。
R・T・ジョーンズJrの作風は父とは違い、谷や丘など自然の高低差を生かしたものが多い。父R・T・ジョーンズは、「(ジョーンズJrの作風は)素材となる土地の命ずるままにコースをデザインするナチュラリストだ」という。
その想像力は父を凌ぎ、自然環境との調和がとれている。「自然との融合」と聞くと、井上誠一、上田治と共通する部分だが、R・T・ジョーンズJrの設計にはリスク&リワード「危険に挑めば報酬を手に入れられる」という大きな魅力がある。
1930年に「世界レベルのコースの実現」を願い東京GC朝霞コース設計のために英国人アリソンが来日。日本のゴルフコース設計にビッグバンを起こした。それから約40年の時を経てやってきたのが、米国人設計家のR・T・ジョーンズだった。
西武グループは、軽井沢に大型のゴルフ場を企画「軽井沢72」。設計はR・T・ジョーンズに託された。ジョーンズは、当時日本で主流となっていた2グリーンではなく、「1グリーン」を主張し、西武グループはその条件を飲んだ。西コースの造成を終えると、父は息子R・T・ジョーンズJrに東コース、北コース、南コースの設計を任せ、日本におけるゴルフコース設計の第一歩をスタートさせた。
日本初のR・T・ジョーンズJr設計コース「軽井沢72ゴルフ」東コース(1971年開場)
「米国での経験から考えて、日本のゴルフコースは基本的な間違いをおかしていると思いました。ゴルフをより刺激的にし、楽しいものにするはずのホールバラエティのなさです。2グリーンは、各ホールのグリーン周りを似たものにし、退屈してしまうほどの繰り返しになってしまいます。大半は2つのグリーンを分けるために、その間にバンカーを置き、グリーンの外側にもバンカーを置く。グリーンの大きさと形状は均一、プレイングルートも真っすぐになってしまいます」(ジョーンズJr)
1982年、R・T・ジョーンズJrは、夏暑く冬寒い「寒暖地域」で初のベントの1グリーンを千葉県成田の「オークヒルズ」で採用し話題となった。北海道や高原の寒冷地域ではベントの1グリーン、関西以西ではコーライの1グリーンというコースもあるが、関東以西の寒暖地域では、東京GC朝霞コース、霞ヶ関CC西コース、廣野、相模と次々とグリーンが枯死した1930年代以降、コーライをサマーグリーン、ベントをウインターグリーンとする2グリーン制が定着した経緯がある。
一方米国は、夏の暑さ、冬の寒さを乗り切るために芝の管理を研究。寒暖地域でも1グリーンで年中プレー可能な「USGA方式」を生み出した点は、日本と大きく異なる。
リスク&リワードを具現化「オーク・ヒルズカントリークラブ」(1982年開場)
さらに、R・T・ジョーンズJrは日本を「ヤマランド」と呼んだ。日本ではゴルフをプレーする場所は山岳地が多く、時にはゴルフができる土地にするために風景を変えざるを得ない場合もあり、悩まされたことも多かったという。
そんな中、日本の設計家の誰もがお手上げ状態だったゴールデンバレー計画(兵庫県)をR・T・ジョーンズJrは、見事なチャンピオンコースに仕上げてみせた。重機の侵入をも拒む山岳地形の山間を這うよう配置したレイアウトは、傾斜地を可能な限りデザインに取り込んだ極みと言える。
大胆にウォーターハザード(ペナルティーエリア)を配し、1グリーンだから実現できる景観の美しさを追求し自身の日本における代表作となっている。R・T・ジョーンズJrは、たびたび京都竜安寺石庭を引き合いに出す。「京都はデザイン、アイディアの宝庫」と言い、イメージを膨らませレイアウトに取り入れていった。
池とクリークを活かした高戦略コース。山間の桃源郷「ゴールデンバレーゴルフ倶楽部」(1987年開場)
ちなみに2歳違いの弟、リース・ジョーンズは全米オープン「7コース」、PGAチャンピオンシップ「8コース」、ライダーカップ「5コース」などの改造の実績から「オープンドクター」の異名を持つ設計家。日本では2012年の茨木カンツリー倶楽部(原設計・井上誠一)、2018年の太平洋ク
ラブ御殿場コース(原設計・加藤俊輔)などの改造がある。
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各ホールが強烈な個性「鬼ノ城ゴルフ倶楽部」(1992年開場)
R・T・ジョーンズJr設計コース会員権情報
コース名 | 売り | 買い | 名変 |
---|---|---|---|
桂 | - | 110 | 募集 |
札幌北広島 | パブ | ||
函館大沼 | パブ | ||
雫石 | パブ | ||
美浦 | 160 | 80 | 54 |
イーストウッド | パブ | ||
那須ハイランド | 50 | 30 | 停止中 |
サンヒルズ | 50 | 30 | 32.4 |
オークヒルズ | 15 | 2 | 64.8 |
富士市原 | 14 | 1 | 108 |
軽井沢72 | パブ | ||
Sフィールド | 130 | 70 | 108 |
瑞陵 | - | 65 | 募集中 |
信楽 | 20 | 5 | 32.4 |
ザ・カントリー | - | - | 停止中 |
ゴールデンバレー | - | 75 | 募集中 |
チェリーヒルズ | - | 75 | 募集中 |
パインレーク | 15 | - | 54 |
鬼ノ城 | - | 320 | 募集中 |
リージャス | 25 | - | 60 |
司ロイヤル | 50 | 20 | 27 |
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美浦:グランPGM(PGMのハイグレード)コース。メンバーフィーの安い「ニュー会員」がヘビーユーザーにお薦め。全国のPGMグループのコースを優待利用可
サンヒルズ:グランPGM(PGMのハイグレード)コース。宿泊施設が充実。全国のPGMグループのコースを優待利用可
世界で250コース以上を設計R・T・ジョーンズJr(主なコース)
Bel Air Country Club (California,USA)
Chambers bay (Washington,USA)
Deer Creek GolfClub(Kansas,USA)
Desert Dunes Golf Club(California,USA)
Eagle Point Golf Club(Oregon,USA)
Le Meridien Moscow Country Club(Moscow,Russia)
Makena Golf Courses (Hawaii,USA)
Navatanee Golf Course(California,USA)
Poipu Bay Resort Golf Course(Hawaii,USA)
Poppy Hills Golf Course(California,USA)
Rancho la Quinta Country Club(California,USA)
Sun Rise Golf&Country Club(Taiwan)
The National Golf Club(Australia)
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R・T・ジョーンズJr設計「美浦ゴルフ倶楽部」のラウンド体験記はこちら↓
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