冷夏といわれていた夏の終わりに、突然異変かと思われる残暑が襲ってきた。と思ったら、もう秋だよって日本中の人に理解させるために神様がタイフーン(日本語でいうと台風)を南の島から送り込んできてしまったのだ。AONが揃って欠場するなか、川岸良兼が2カ月ぶりに(日本ツアー)戻って来た。しかし、時差ボケか調子は今ひとつ。スポットライトを浴びたのは先輩の金子柱憲だった。

【ゴルフコースの評価基準】
ゴルフコースを評価する「7つ」の項目がある。①ショットバリュー、②難易度、③デザイン・バランス、④ホールの印象、⑤景観の美しさ、⑥コンディション、⑦伝統・雰囲気。この7項目は米国ゴルフダイジェスト、ゴルフマガジンが発表するランキングの評価基準にもなっている。当コラム【伝説の名勝負。ヒーローの足跡】は、このコースでどのような「歴史」が作られ、「公式競技」を開催したかを掘り起こすことで、「伝統と雰囲気」をみるものです。

今回のウォッチャーは岩間健二郎プロ。飛ばし屋ケンちゃんの愛称で、ゴルフダイジェストトーナメントのドラコン日本一の常連優勝者。「一本足打法」から放たれる打球は楽々300ヤード超。「鬼のきっぺい」と呼ばれた森田吉平(1929‐1997)が主宰する富士ロイヤルCC「森田道場」(別名、ドラコン道場)では、1日1000回素振りのハードトレーニングを積んだ。青山学院大学卒業、1978年プロテスト合格

最終日は台風15号の超大雨で中止に

たった今、(最終日が中止となり)優勝が転がり込んだ金子柱憲のインタビューが終わった。プレスインタビューが始まる前、柱憲に聞いた。「もう1日やりたかったね」

金子、「そうですね。できるならやりたかった」

そして、公式インタビュー。同じ質問が記者から飛んだ時、「ええ、勝ちは勝ちですから」という答え。彼の本心はボクとのヤリトリの方だろう。やっぱり、汗かいて、緊張しまくって、最後のパットを入れて、ウイニングガッツポーズをとって、ウイニングボールをギャラリーに放り投げ、ギャラリーの前で優勝インタビューを受けて、もし池でもあったらみんなに胴上げでもされながらポーンと放り込まれて……みたいな筋書き通りの優勝をしたかったろうな。

今の柱憲なら2位との6打差は、地球と海王星ぐらいの大きな差だったわけだから、「やりたかった」の言葉の中には、「どうせ勝つなら4日間プレーして勝ちたかった」という意味が含まれていたはずだね。

で、ウォッチングの本題に入っていこう。

画像: メタルヘッドの「Js」ドライバーを使っていた金子柱憲

メタルヘッドの「Js」ドライバーを使っていた金子柱憲

画像: 2日目を終えて金子は6アンダー

2日目を終えて金子は6アンダー

まあ、いつもこの原稿を依頼されると土曜日のラウンドから観戦するのが常なのだ。で、いつもの土曜日はフラフラ、チョロチョロいろんな選手を広ーく、浅ーく観て、日曜日のために心の準備をしているわけだけど、今回はちょっと違った。台風15号が襲来してきていたので、朝コーヒーを飲みながら雑談の中で、「今日で終わりだから、注目の選手を見ておくね…」と決めこんだのだ。

で、スタート表をもらいボクなりの順位予想をしてみた。

【本命◎】昨日まで6アンダーの金子柱憲

【対抗〇】昨日まで7アンダーの板井栄一

【単穴×】昨日まで4アンダーの真板潔

【注意△】昨日まで4アンダーの川岸良兼、昨日まで5アンダーの草壁政治

こんな感じで競馬風な予想をたててみんなに発表し、ボク自身もかなり納得しながら朝の調教(練習場)を見に行った。

川岸の米国遠征、失敗の原因

【注意△】の川岸を見た。首を振って「イヤイヤ」をしているように見えた。ゴルフ風に訳すと、
テークバックの動きがバラバラだったし、インパクトエリアで頭が動いていた。もっと専門的にいうとクラブが下からくる時の頭になっていた。

画像: 米ツアー帰りの川岸良兼

米ツアー帰りの川岸良兼

それはどういうことかというと、立っていたはずの頭が少し横に寝るように傾いてしまう、プロ選手としては最もしたくない頭の形になってしまうのだ。

ウェッジ類を見ていてそう思ったのだが、ドライバーになるともっとひどくなったからどうにもならない。ラウンド中のどこかのホールで、必ず大きくフックするか押し出すという不安を本人も抱きながらプレーしなくてはならないわけだ。

ふと思ったことは、プロゴルフの世界にもコーチングスタッフを取り入れて、プロ野球やプロテニスのように、試合前にチェックするシステムを取り入れるべきだということ。多分外国のゴルフ界では、もうすでに行われているのではないだろうか。

もしボクが選手として現場にいたら良兼に進言してあげたのにね。ひょっとするとこの弱点のお陰で米国遠征が不成功に終わったのかもしれないので、良兼の近くにいる人がいたらそっと教えてあげてね。本人が聞けば理解して直せることだから。

案の定、良兼はショットの不安が的中してこの日パープレーに終わってしまった。何せ6500ヤードそこそこの短いコースでパープレーは、彼にとっては4オーバーくらいの最悪ラウンド。

【注意△】の草壁さんを見た。

20数年間自ら作りあげたフォームを貫き通した商売人のスウィングは、草壁さんならではのものだったが、何か少し疲れているような感じに見受けられた。我々一同の気持ちは一致していた。草壁さんに勝ってほしいなってことで…。

【単穴×】の真板潔の番だ。

大体において、この横浜CCではゲンが良くて、初優勝もここでの神奈川オープンだし、毎回のように上位に顔を出す「大好きなカントリー」なのだ。プロになりたての頃からよくプレーをしたが、一段とスウィングが良くなってきている。天性のパッティング上手が生かせれば…。

【対抗〇】の板井栄一がやってきた。

どっから見ても「オッサン風」の彼の風態は、英国で発祥したゴルフのプロには見えにくいものがあるが、それはそれ、ユニークさからいえば1、2を争える。この特質は残しておいてもよいかもしれないね。で、スウィングを始めた。相変わらず何のてらいもなく簡単に構えサクッと打ってしまう彼を見ていると、ゴルフ漫画の主人公を想い出してしまいそうだ。しかし、実に調子は良い。

【大本命◎】の金子柱憲がきた。

画像: ロングアイアンを得意にしていた金子

ロングアイアンを得意にしていた金子

学生時代に韓国オープンで優勝して超大物としてプロ界にデビューしたのに、同期の無名に近い東聡クンにどんどん先を越されつらーい思いをしていたと思う。しかし今シーズンはかなり優勝争いに加わり地力は着実についてきていた。今日見た中では最も躍動感のある馬体(じゃない、スウィング)をしていた。多少の不安は残るものの、彼には人に言えない秘密があるので自信がみなぎっているように感じた。それは何だったのだろう。しょうがない、教えちゃおう。

実はベントの高速グリーンが大流行の昨今、彼はコーライの一般道が大好きなのだ。でも格好悪いから人には言えなかったんだって。

画像: コーライグリーンで3日間14アンダー

コーライグリーンで3日間14アンダー

しかし、実戦ラウンドに入っての金子のパットは、彼自身の言葉を実践するようにビシッバシッグシャって感じコーライグリーンの芝に合わせて入りまくり、ぶっちぎりの64。大楽勝パターンに持ち込んでしまった。

【試合経過】

【初日】板井栄一が6アンダーとして首位に。2位は4アンダーの天野勝。3位は3アンダーで川岸良兼、金子柱憲など8人がひしめく。

【2日目】板井が7アンダーで首位をキープ。2位は6アンダーの金子。川岸は4アンダーで尾崎健夫、飯合肇、真板潔、天野らとともに4位タイ。

【3日目】金子が64をマークして14アンダーでトップに。2位は9アンダーの板井。川岸はスコアが伸びず4アンダー8位タイに。

【最終日】雨天中止。金子柱憲ツアー初勝利。

1991年関東オープン最終結果
横浜CC西コース/6560ヤード/パー72
1位-14 金子柱憲
2位-9 板井栄一
3位-6 川俣茂 
    湯原信光
    真板潔
6位-5 乗竹正和
    草壁政治
8位-4 並木秀
    @内山記一
    川岸良兼
    飯合肇

横浜カントリークラブ
神奈川県横浜市保土ケ谷区今井町1025
TEL 045‐351‐1001
コースタイプ/丘陵コース
グリーン/ベントの1グリーン
会員権/預託金制で譲渡可
西コース/6938ヤード/パー71
コースレート73.2/スロープレート132
設計/相山武夫、竹村秀夫
改造/クーア&クレンショー
東コース/6468ヤード/パー72
コースレート71.1/スロープレート130
設計/相山武夫、竹村秀夫
改造/佐藤謙太郎、クーア&クレンショー
開場/1960
公式ホームページはこちら

    

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