相模湾と真鶴半島を見下ろす絶景! 一度は行きたい14番パー4
湯河原カンツリー倶楽部は、赤星四郎が原案を描き、日本を代表する建築学者である岸田日出刀がコースからクラブハウスまで一貫して設計。まだ重機のなかった時代、箱根から相模湾へ続く急峻な斜面に造られたコースは、見た目に美しく、豪快な打ち下ろしや谷越えなど、さまざまな変化に富むのが特徴です。
真鶴半島と初島が一望できる14番ホールは湯河原CCを代表する絶景のパー4。いかにも海風の影響を受けそうな打ち下ろし。ここは飛距離よりも方向重視の大人のゴルフで攻略したいものです。昔ながらの小さなグリーンはよく締まり、3.6ミリに刈りこまれたペンクロスグリーンはスピードがあり、これまた手ごわい。
クラブハウスは岸田日出刀の歴史的建築。湯河原カンツリー倶楽部
東京大学工学部で教鞭を執る傍ら、安田講堂はじめ多くの設計にかかわった岸田日出刀(大正、昭和に活躍した建築学者)。赤星四郎の原案をもとに、6251ヤードの変化に富むコースとクラブハウスを設計した。レストランは開場当初から変わっていない。コースは相模湾に面した南斜面に展開する。神奈川県で7番目に古いコースは距離は短めながら変化に富む「技巧派コース」としてクラシカルな趣を楽しむことができる。
湯河原CCに残るエピソードをひとつ紹介しましょう。1970年と71年のオフのこと、青木功がここで走り込みを行い足腰を鍛えた逸話が残っている。当時無名だった青木功は全財産の20万円を支配人に差しだし「これが全財産です。足りなくなりそうになったら言ってください、帰りますから」と言った。支配人は一生懸命ランニングをする青木の姿に心をうたれ1カ月間滞在させたそうだ。プロ通算78勝の記念すべき1勝目は1971年の関東プロ。青木功の初優勝の影に「湯河原」での走り込みがあった。
湯河原カンツリー倶楽部
神奈川県足柄郡湯河原町吉浜2020
TEL.0465‐62‐2551
18ホール/6251ヤード/パー71
コースレート70.0/スロープレート123
ショートコース9ホール/1265ヤード/パー27
コースタイプ/山岳コース
設計/岸田日出刀
開場/1955年4月29日
アクセス/東名高速・厚木ICから小田原厚木道路へ。真鶴道路を利用
JR東海道線、湯河原駅下車、クラブバス、タクシーで約15分
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【湯河原CC・芝刈り情報】
グリーン芝種/ペンクロス/3.6ミリ
フェアウェイ/コーライ/13ミリ
ラフ/野芝/40ミリ
バンカー/川砂サラサラ
島崎藤村の「夜明け前」は老舗旅館「伊藤屋」で書かれた
数々の著名人がお忍びとしてたびたび訪れるという湯河原。最近は“ちょっとわるいオジサン”たちも大人の隠れ家として熱い視線を向けているとか。そんな場所だからこそラグジュアリーなホテルというより、老舗の日本旅館でしっぽりと過ごしたいものです。
「伊藤屋」は明治天皇侍従長はじめ、多くの名士が古くから贔屓にしたという老舗中の老舗。なかでも文豪、島崎藤村はたびたび伊藤屋を訪れ、名著「夜明け前」の原案を練ったというエピソードが残っており、当時の宿帳や墨書をみることができる。
地魚中心の夕食をいただいた後は名湯と名高い湯河原の温泉へ。硫酸塩泉は疲労回復、筋肉痛に効くそうでゴルフの疲れにもってこい。
明治21年創業「伊藤屋」
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上488
TEL.0465‐62‐2004
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【湯河原立ち寄りグルメ】
右に出る鮮度なし!地魚を食べに行こう
福浦漁港に隣接し、その日に獲れた魚が出される鮮度自慢の人気店。特におすすめは「地魚刺し」。内容はその日のお楽しみ! 地魚尽くしのフライもおすすめです。鮮度抜群の魚の揚げたて、旨くないはずがない。
福浦漁港みなと食堂
神奈川県足柄下郡湯河原町福浦109-2
TEL.0465‐20‐7005
営業/11時~15時
定休/水曜
箱根連山につながる山地の3コース「熱海GC」「小田原湯本CC」「小田原城CC」
東京を出発し、小田原を過ぎ、熱海に向かう。箱根仙石原から流れ出る早川が相模湾に到達すると車窓の風景は一変する。相模湾に沿うように走る国道135号とJR東海道線の右手に箱根連山につながる山が現れる。その山地の中に風光明媚なゴルフ場がある。
相模湾から少し入った箱根の入り口、箱根湯本駅からクルマで5分の山の中に小田原湯本CCがある。湯本駅前を走る国道1号線からゴルフ場の姿は見えないが、カーナビにはしっかり18ホールが映っている。6542ヤード、パー71。設計は富沢誠造。
箱根の森にひっそりと佇む山岳系の18ホールは、まさに大人の隠れ家的コース。アップダウンはあるものの、山岳特有のトリッキーさはさほどなく、ドライバーをしっかり打っていけるホールが多い。海を見下ろすロケーションはないが、人工物が一切ない緑あふれる「自然一体」のゴルフ場です。
相模湾といったら「鯵」。小田原湯本CCのクラブハウスグルメは地物のアジフライ。揚げたてサクサク、ここでしか味わえないご当地グルメをどうぞ召し上がれ!
小田原湯本カントリークラブ
神奈川県足柄下郡箱根町湯本390-37
TEL.0460‐85‐5743
18ホール/6542ヤード/パー71
コースレート70.2/スロープレート125
設計/富澤誠造
開場/1961年7月12日
アクセス/小田原厚木道路・小田原西IC
小田急線・箱根湯本駅から5分(クラブバスあり)
公式ホームページはこちら
【小田原湯本CC・芝刈り情報】
グリーン芝種/ペンクロス/4.2ミリ
フェアウェイ/コーライ/15ミリ
ラフ/野芝/40ミリ
バンカー/山砂しっとり
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標高817メートル「星ケ山」に広がる天空のコース。小田原城カントリークラブ
国道134号線から根府川駅方面へ向かい、ゴルフ場の看板通りに山道入る。「間違ったかな?」と不安になると、たまに出現する「ゴルフ場はこの先」の看板。初めて小田原城CCを訪れる人はこの秘境っぷりに間違いなく驚くだろう。
小田原城CCは標高817メートルの星ケ山山頂付近にある。歴史に詳しい人なら「星ケ山」でもうお気づきか? そう、源頼朝が治承4年(1180年)8月23日、石橋山の合戦で破れ、逃避路の途中、星ヶ山中腹にあったお堂にたどり着くという歴史の舞台。この寺屋敷跡は、湯河原CCと小田原城CCの中間辺りにあり、星ヶ山公園から車で5分ほど山を登ったところにあった。この話を知って小田原城CCへ向かう道を走れば、今では到底考えられない当時の健脚ぶりがわかる。
山道を抜け、尾根が開けると遠くに赤い屋根のクラブハウスが見える。とんがり屋根のクラブハウスはアントニン・レーモンド設計によるもの。そしてクラブハウスに入ると絶句すること間違いなしの絶景パノラマが広がる。相模湾が一望でき、頼朝もこの山から見たに違いない「鎌倉」を見ることができる。
小田原城CCのクラブハウスグルメは小田原湯本と同じく、目の前で海から揚がる鯵を使ったアジフライですが、ここではちょっと珍しい「アジフライカレー」があります。アジフライとカレーライスの相性は? 是非、ご賞味を。
小田原城カントリークラブ
神奈川県小田原市根府川667
TEL.0465-29-0111
18ホール/6350ヤード/パー72
コースレート67.0/スロープレート125
コースタイプ/山岳コース
設計/日本ゴルフ証券
開場/1973年7月12日(旧パレスGC根府川コース)
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時代を生き抜いた日本のクラシックコース。熱海ゴルフ倶楽部
標高735メートルの岩戸山中腹付近まで張り付くように家が立つ熱海の風景。別荘か、セカンドハウスか……。「日本のモナコ」なんてことも言われる熱海の山に、ひっそり佇む名コース、熱海ゴルフ倶楽部がある。
昭和14年5月、9ホールで開場。戦時下に造られた最後のコースである。設計は「アンジュレーションこそゴルフの命」という山坂が大好きな赤星四郎。1番148ヤード、パー3は相模湾を見下ろす豪快な打ち下ろし。あまりの高低差に何番で打っていいかわからない。
コースは2234ヤード、パー33の9ホール。ホールバイホールはパー3が5つ、パー4が2つ、パー5が2つの構成となっている。ツルハシとモッコによる手作業で、雑木を伐採し根を抜き、その上に芝を張った。地形を生かしたコースは人間の手作業と大自然とが生み出した芸術品と、今もなお評価が高い。
小樽旧コース、函館、仙塩、雲仙、大みか……これらのゴルフ場は9ホールの「小さな宝石」。熱海ゴルフ倶楽部も「熱海の宝石」と謳われる日本のクラシックコースを代表するコースのひとつだ。
熱海ゴルフ倶楽部
静岡県熱海市伊豆山1171
TEL.0557‐82‐5353
9ホール/2234ヤード/パー33
設計/赤星四郎
開場/1939年5月28日
アクセス/JR東海道線、新幹線・熱海駅からタクシーで8分
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PHOTO/Takanori Miki