今の時期のグリーン周りは、芝が強くて太い剛毛のような長いラフに囲まれてやっかい。そんなラフからのアプローチで、芝の抵抗に負けまいと力んだかと思ったら、逆にビビってインパクトでゆるんでザックリなどのミスをしたことがないだろうか。ヘビーラフからフワッと寄るパラシュートのようなアプローチを中村龍明プロに教わった。

こんな経験あるでしょう「ヘビーラフの2大ミス」

ラフに負けないように打ち急いだダルマ落とし
強く振ろうと思った瞬間インパクトでゆるむ

画像: ヘッドを速く動かしたダルマ落とし(左)、「あ、でかい!」とビビッてザックリ(右)

ヘッドを速く動かしたダルマ落とし(左)、「あ、でかい!」とビビッてザックリ(右)

【解説】中村龍明プロ
1965年生まれ 愛知県(愛工大名電出身)175センチ 74kキロ
アジアや米国のミニツアーで戦った経験をもとに、様々な理論を研究。
左1軸のスタック&チルト理論にも精通する。

【ヘッドの使い方】打つのではなく“運ぶ”意識

─── 今の時期のグリーン周りのラフは強く、ピンに寄せるのはおろか、普通に打つのも難しいです。

中村 ラフの抵抗に負けまいと、インパクトを強くして速く振り抜こうとする人がいますが、ボールが強く出すぎて距離感が合いません。さらに、その出球が強くなるのを嫌がって、インパクトがゆるんでザックリなんてこともよくありますね。

―― 特別な打ち方があるのでしょうか?

中村 まずはイメージを変えましょう。ボールを“打つ”のではなく“運び”ます。フェース面にボールを乗せて、ヘッドを上に上げてボールを運ぶように打ちます。するとボールは強く飛び出すこともなく、ヘッドがボールの下をくぐるダルマ落としにもなりません。フワッと寄せることができます。

インパクトでラフの抵抗に負けないようにする3つの準備『短く握る』『左足体重』『オープンスタンスでフェースを開く』を必ず行おう。

①小指3本ぶん短く握る

画像: ①小指3本ぶん短く握る

②左足下がりをイメージして左足体重

画像: ②左足下がりをイメージして左足体重

③軽くオープンスタンスにしてフェースを開く

画像: ③軽くオープンスタンスにしてフェースを開く

ポイントは「インパクトで沈んでフォローで伸びる」

画像: テークバックでひざを曲げて上げ、ダウンスウィングからフォローにかけて伸ばす

テークバックでひざを曲げて上げ、ダウンスウィングからフォローにかけて伸ばす

「ひざの屈伸を使って、インパクトでヘッドをボールの下に入れ、フォローでひざを伸ばすことで、
フェースでボールを持ち上げる動きになります」

フェースを立てないようヘッドを先行させて振る!

画像: ヘッドを先行させることが大事。ハンドファーストでは打たない

ヘッドを先行させることが大事。ハンドファーストでは打たない

「フワッとボールを運ぶためには、手元よりヘッドを先行させます。フェース面を寝かす動きが必要になります」

ハンドファーストになるとロフトが立って、ボールが強く飛び出てしまう。

両ひじをからだから離さず回転する

─── ボールを運ぶ注意点を教えてください。

中村 ヘッドを真っすぐ飛球線方向に出すと、二度打ちする可能性があります。アドレスのとき、両わきをしっかり閉め、両ひじを体から離さず、体の回転で振っていけば、ヘッドは必ずインサイドに抜けます。あとはひざの屈伸を使ってボールを運び寄せてくださいね。

ボールを運ぶポイント~フォローで両わきを体から離さない

画像: 左ひじを引くとダルマ落としになりやすい

左ひじを引くとダルマ落としになりやすい

「フォローで左ひじを引くと、ヘッドがボールの下をくぐり抜け、ダルマ落としになったり、最悪の場合、シャンクが出ます。両わきを閉め、両ひじが体から離れないよう胴体をゆっくりターンさせれば大丈夫です」

ボールを運ぶポイント~体の回転にそってヘッドを動かす

画像: ボールを運ぶポイント~体の回転にそってヘッドを動かす

「ボールがゆっくりフワッと飛び出すので、ヘッドを真っすぐ出す意識が強いと二度打ちの危険があります」

「体のターンに沿ってクラブを動かせば、ヘッドは自然とインサイドに抜けていくので二度打ちはありません。ここもポイントです」

PHOTO/ARAKISHIN

週刊GD8月24日号より

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