【試打・解説】日下部光隆プロ
97年カシオワールド優勝など国内ツアー3勝。現在、世田谷のゴルフガレージWASSでレッスンを展開中。ギアに詳しく、シャフトの試打経験も豊富
日下部プロによると、4大メーカーの新作シャフトは、2つの傾向に分かれるそう。
「『ツアーAD VR』と『スピーダーエボリューションV』は、これまでの実績ある性能を踏襲しながら"らしさ"を追及。『ディアマナDF』と『ジ・アッタス』は、今までのイメージをガラリと変化させている感じです」
今年のトレンドというよりも個々のメーカーによって、明確なコンセプトを打ち出してきているようだ。
ツアーAD VR(グラファイトデザイン)走り系・中調子
ツアーADの中では比較的ヘッドが走る
スウィング中に動きすぎることがなく、挙動をコントロールしやすいシャフトです。
ツアープロに評価される「DI」、「PT」、「IZ」と比較すると、先端部がしなり、手元寄りがしっかりした走り系シャフトという位置づけですが、他社と比べるとむしろ中間から先端にかけてもしっかりめで、「ディアマナDF」よりも少し粘り系で、「ジ・アッタス」より走る傾向です。
ヘッドの挙動を抑え、より力を伝えやすい仕上がりと言えます。
今までプロに評価されてきたブランドですから、極端に挙動を変えたりはしないですね。
オーソドックスで極端な挙動のないシャフトなので誰もが扱いやすいでしょう。タイミングも取りやすく、ヘッドスピード40m/s以上の人なら気持ちよく扱えます。ボールをコントロールしたい中・上級者におすすめです
「VR」はプロ使用率の高い「TP」よりヘッドが動く
2年前の「TP」と比較すると手元寄りの剛性が高く、先端部の動きが大きいため、その分、インパクト付近でヘッドの加速感がある。昨年の「IZ」、今回の「VR」と、近年は挙動の変化をもたせていない印象。
ジ・アッタス(USTマミヤ)粘り系・中調子
全体がしなって振りやすく、切り返しからヘッドが加速
「アッタス」シリーズの集大成となる10代目モデル。全体的に大きなしなりを感じる粘り系シャフトで、滑らかな振り心地が特徴です。切り返しから手元寄りがしなり、インパクトでは先端部が走ることで安定性と飛距離性能を確保しています。同じフレックスであれば、他のシャフトより軟らかめになり、そのぶんスウィング中は重量感を感じます。軽く硬いスペックを選べば、長尺化との相性もいいはず。
大きくしなって自然とタメが作れるシャフトなので、切り返しから打ち急いでしまうゴルファーや手打ちタイプの人に、スウィングの補正効果が期待できます。他モデルより軟らかめでヘッドスピード38m/sくらいから十分に使えます。
集大成の10作目は、"ど真ん中"設定
歴代のモデルそれぞれに、大きく特徴を持たせているのが「アッタス」。「ジ・アッタス」は10代目の集大成らしく、その特徴がちょうど中間に位置する。
ディアマナDF(三菱ケミカル)走り系・中調子
先端がしっかりめで、シャフトがインパクトを作ってくれる
過去モデルが持っていた粘り系のイメージとは異なり、インパクト手前でヘッドの戻りと加速感が感じられる新しいディアマナといった印象。手元側をゆるくする「白マナ」の特性を継承し、切り返しでタイミングが取りやすいのも魅力です。カスタムシャフトとしては平均的なフレックス設定で、中間から先端部はしっかりめで、低スピンで厚い当たりが生み出せます。FWに入れてみるのもいいかもしれないです
言うなればHC20の人の「白マナ」!
「白マナ」の後継らしく、手元寄りのしなりを感じやすく、HC20前後のレベルで切り返しのタイミングがつかめない人には、再現性の高い動きがしやすくなるでしょう。前作のようなハード仕様とは異なり、ヘッドスピード40m/sから十分に扱えます。
スピーダーエボリューションV(フジクラ)走り系・先中調子
全体に張りがあり、ヘッドが素早く走る
女子プロに使用者の多いフジクラ「スピーダーエボリューション」シリーズの5作目で。評価の高かった初代の挙動を踏襲した感じです。全体に剛性感があり、ヘッドが素早くしなり戻る「スピーダー」らしい挙動が特徴。インパクト直前の走り感は4モデルの中でも一番。スウィング中の追従性が高く、シャープな振り心地が楽しめる反面、アベレージ層は切り返しからアーリーリリースになりやすいかも。
素直で振りやすく、女性からハードヒッターまでOK
スペックさえ合わせれば、ハードヒッターから女性まで幅広く使えます。悪い動きには敏感に反応するので、振り遅れたら振り遅れたとわかる素直さが特徴です。そのためスウィング軌道を安定させたい上達志向のゴルファーに合います。
PHOTO/Yasuo Masuda
THANKS/ゴルフ5プレステージ新宿店
週刊GD2018年9月25日号より