2011年にプロテストに合格し、ツアーに参戦している高島早百合プロが、この夏、試しに出てみたドラコン競技で、365ヤードという女子の日本最高記録を叩き出した。ツアーでも飛ばし屋のひとりではあるが、それにしても、どうやって振ればそんなとてつもない飛距離が出るのか、気になるところ。その秘訣を高島プロの師匠である和田正義プロとともに聞いてみた
画像: 高島早百合プロ たかしまさゆり。1992年生まれ。京都府出身。和田正義プロのもとツアー参戦中。試しに出場したドラコン競技(LDJ)で、365ヤードという女子の日本最高記録を叩き出した

高島早百合プロ
たかしまさゆり。1992年生まれ。京都府出身。和田正義プロのもとツアー参戦中。試しに出場したドラコン競技(LDJ)で、365ヤードという女子の日本最高記録を叩き出した

画像: 和田正義プロ わだただよし。1976年生まれ。山形県出身。ドラコン選手。最高記録は420ヤード。高島プロのコーチを務める。泉ビレジゴルフガーデン所属

和田正義プロ
わだただよし。1976年生まれ。山形県出身。ドラコン選手。最高記録は420ヤード。高島プロのコーチを務める。泉ビレジゴルフガーデン所属

ねじりも回転もなし! スピードアップはタテの動き

和田 まずはドラコンの日本最高記録、おめでとう。

高島 ありがとうございます。師匠の教えどおり、タテ軌道でスピードアップさせましたよ。

和田 そうだね。ヘッド軌道はアップライトのタテの動きになるほどスピードが上がる。たとえば野球のピッチャーだって、オーバースローのほうが速い球が投げられます。

高島 そうですね。

和田 上から下に腕を振り下ろせば、腕とクラブにかかる重力も使ってスピードアップできるからね。これが、サイドスローだと重力のぶんは使えない。ましてアンダースローだと、重力に逆らうわけだから速くなんてとても振れません。

高島 だからゴルフも、アップライト軌道になるほど、腕とクラブにかかる重力を使ってスピードアップできるんですよね。高いトップで“上から下”にタテにパワーを使う。これですね。

ポイント①「アップライト」なタテ軌道に振る

画像: タテ軌道だと、腕とクラブにかかる重力も手伝ってスピードアップしやすい

タテ軌道だと、腕とクラブにかかる重力も手伝ってスピードアップしやすい

画像: 低いトップのヨコ軌道では重力を活かせない

低いトップのヨコ軌道では重力を活かせない

ポイント②「トップの位置」は頭よりも高く

画像: 手元は頭より高く上げ、右ひざは伸ばす

手元は頭より高く上げ、右ひざは伸ばす

画像: ポイント②「トップの位置」は頭よりも高く

右ひざを伸ばしてテークバック

高島 タテに振るにはトップを高くするのがポイントだと思います。頭より高く、が目安です。

和田 それと同時に、右ひざを伸ばします。少し伸び上がり気味に感じるかもしれませんが、これでOK。手を高く正しく上げられたら、右足はかかと重心、左足はつま先重心になりますよ。

紙ヒコーキを飛ばすくらい、手首もグリップもゆ~るゆる

和田 タテにパワーを使うとき、大切なことはなんだと思う?

高島 グリップをソフトに握ることです。上体から力が抜ければ、ヘッドがダウンスウィングで体の近くを通るし、インパクトからフォローにかけて腕が伸びてヘッドが加速できます。

ポイント③「フ~ッ」と息を吐いてグリップをソフトに握る

画像: 「グリップが脱力できれば、上体から力が抜けて、ヘッドの動きにブレーキをかけることなく、スムーズに加速できます」(高島)

「グリップが脱力できれば、上体から力が抜けて、ヘッドの動きにブレーキをかけることなく、スムーズに加速できます」(高島)

和田 どうやって脱力している?

高島 アドレスで『フ~ッ』と口からゆっくり息を吐きます。これで、グリップと上体から力が抜けます。勢いよく『フッ!』って吐くと、かえって力むので、『フ~ッ』ですね。

和田 ヘッドを走らせるって、どんな動きに近いでしょう?

高島 紙ヒコーキを飛ばすときなんか近そうですけど……。手首を柔らかく使いますよね。

画像: 紙ヒコーキをガチガチに握っていては、うまく飛ばせません

紙ヒコーキをガチガチに握っていては、うまく飛ばせません

和田 そうだね。ダーツの矢を投げるときも近いかな。ホウキでチリトリにゴミをササッと入れる感じも似てるよ。

高島 ヘッドを速く動かすには、とにかく脱力がポイントってことですね。

ポイント④「ストレッチ」で肩、ひじ、手首をやわらかく

和田 柔軟性は大切です。肩甲骨のストレッチでは、ドライバーを頭上にかかげ、ゆっくりと後ろに回します。短いアイアンは無理でも、ドライバーなら回せるようになることが目標です。 

画像: 両腕でクラブを持ち頭上にかかげて、ゆっくり後ろへ下ろす

両腕でクラブを持ち頭上にかかげて、ゆっくり後ろへ下ろす

和田 さらに手首をグルグル回す運動。ドライバーを右手に持って、体の横でクラブをタテに回転させます。前回し5回、後ろ回し5回でワンセット。左手も同様に回してください。

画像: わきを締めたまま、ヘッドが体のすぐ横を通るように回すのがポイント

わきを締めたまま、ヘッドが体のすぐ横を通るように回すのがポイント

高島 ヘッドのないクラブを振るとスピードアップにつながります。カチャカチャモデルのドライバーならヘッドを取って素振りしてみてください。

画像: ポイント③「フ~ッ」と息を吐いてグリップをソフトに握る

高島 ヘッドをとったら、シャフトだけのクラブを振ります。軽く、ビュンビュン振れるため、そのスピードを体に覚え込ませることで、スピードアップできますよ。

画像: グリップはソフトに握るようにしましょう

グリップはソフトに握るようにしましょう

和田 スウィングの流れのなかで、高島は何を大切にしている?

高島 私が意識しているのは、力を使うタイミングですね。ムチのような軟らかいものを振るイメージかな。腕だけいくら速く動かしても、ムチの先は動きませんよね。タイミングを合わせることでムチの先がピュッと走る。ヘッドもそんな感覚で走らせています。

画像: ムチの先をどう振ればいいのか考えるだけ

ムチの先をどう振ればいいのか考えるだけ

ポイント⑤「ヘッドの先」を走らせる

高島 トップで右ひじは伸びている感覚ですが、切り返しではひじが曲がってタメができます。ダウンスウィングの後半からひじが伸びることによって、手よりも遅れて下りてきたヘッドが加速されます。これが、ヘッドをムチのように走らせる感覚です。

和田 そうだね。飛ばすためのパワーの“タメ”は、関節を曲げることによって生まれるよね。たとえばダウンスウィングのクラブのタメも、肩、ひじ、手首の関節が曲がることで作られている。インパクトからフォローにかけて、その関節が伸びることでヘッドスピードが上がるんだ。

ポイント⑥「関節が曲がる」ほどパワーがたまる

画像: 飛ばしに必要なパワーは、曲げた関節にたまる。切り返しでは肩もひじも手首も曲がっていて、パワーがたまっている状態。実際にクラブの“タメ”も発生する。ここから関節が伸ばされることで、パワーが放出できる

飛ばしに必要なパワーは、曲げた関節にたまる。切り返しでは肩もひじも手首も曲がっていて、パワーがたまっている状態。実際にクラブの“タメ”も発生する。ここから関節が伸ばされることで、パワーが放出できる

ポイント⑦体のタテの伸縮を使う

飛ばしの合言葉は「伸びて、縮んで、伸びる」!

高島 地面を踏み込んで得られる力、地面反力を活かす動きも同じですよね。

和田 そのとおり。高島も僕も、体のあらゆる関節を曲げて伸ばしてヘッドを加速させています。『トップで伸びて、ダウンで縮んで(曲がって)、フォローで伸びる』これが飛ばしの秘訣だね。

新ドラコン女王のスウィング

ティグラウンドでヘッドの走り、確認!

和田 最後に、実際にコースに出て、ティグラウンドでできる“ヘッドスピードを上げる方法”を特別公開しますね。

高島 何ですか、それ。私も聞きたいです。

和田 ヘッドを走らせる秘策だから、高島には必要ないと思うよ。指先でつまむように“超フィンガー”で握って、足踏みしながらクラブを振るんだ。ヘッドがビュンビュン走るはずだから、この感覚を体に覚えさせてからティショット!

高島 スピードアップしそうですね!

画像: 指先でグリップをつまんで素振りするといいですよ

指先でグリップをつまんで素振りするといいですよ

【スピードアップドリル】超フィンガーで握って、足踏みしながら振る

和田 このドリルをやる際、グリップは指先でつまむような超フィンガーにしてください。フォローサイドにいったんクラブを上げて、その反動を使って、右足体重、左足体重と足踏みするように素振りします。「伸びる、縮む、伸びる」が自然に出てくるはず。ヘッドが走る感覚をつかんでみてくださいね。

PHOTO/Yasuo Masuda

週刊GD2018年10月16日号より

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