今シーズン、男子ツアーでは日本オープンの稲森、KBCオーガスタの出水田など、20代の初優勝プロが続いている。フジサンケイクラシックでツアーで初勝利を挙げた星野陸也もそのひとり。ツアーデータで平均299ヤードという飛距離を誇る彼の魅力を、プロコーチ・内藤雄士が分析する。

【星野陸也】
ほしのりくや。186㎝、75㎏の長身から放たれるドライバーの飛距離は300Yを軽く超す(ツアー記録の299Yはドライバー以外のクラブでのティショット飛距離も加味される)。フジサンケイクラシックで初優勝。賞金ランクは7位(約5090万円/10/25時点)

飛距離を高める2つのモーション by内藤雄士

強く振っているように見えないのに飛ぶ。それが星野プロの最大の魅力です。これは、体の使い方が理に適っている証拠と言えるでしょう。

右の肩が見えるほど体を回すバックスウィング

トップで右の肩甲骨が見えるほど、胸椎を大きく回旋している点に注目してください。この回旋力の高さは飛ばし屋の絶対条件(J・B・ホームズなど筋力が異常に強い例外を除く)です。胸椎を大きく回し、右股関節上でそのエネルギーを溜めこむことで、パワーを生み出しているのです。

オーバースウィングが気になるかもしれませんが、彼の場合は、それがゆるみにつながっていないので問題はありません。通常、これだけ体が締まっている(右わきが締まり、右ひじが地面を差し、トップで左手首が折れていない)と、オーバースウィングにはなりにくいのですが、彼の柔軟性がそれを可能にしているのです。

もうひとつ注目したいのが、バックスウィングで顔を右に向ける動作です。この動きによって、上体は右に回りやすくなります。そこで胸椎の回旋力を高めながら、クラブが上がり切る直前に顔を目標方向に戻し始めるのです。すると、その瞬間に頸椎に大きな捻転差が生じ、筋肉の引っ張り合いが生まれて、それが飛距離につながります。

この動作はD・ジョンソンや一部のドラコン選手などが取り入れている飛ばしの高等テクニックです。彼が意図してやっているかどうかは別として、それが大きな飛距離につながっていることは間
違いないでしょう。ただし、顔を右に向けてバックスウィングするとスウェイやゆるみにつながりやすいので、参考にするときにはご注意ください。

顔を右に向けてバックスウィング。体を回しやすくなる

今のドライバーに合った、「フェースを閉じたまま振る」お手本

クラブの動きを見ると、いま主流のスウィングをしていることがわかります。ストロンググリップでフェースをシャット(閉じ気味)に使い、腕を胸の前に固定した状態で胸椎の回旋を主体にスウィング。そして、フェースローテーションを抑えてハンドファーストにインパクトする。

画像: アドレス

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画像: ハーフウェイバック フェースが斜め下を向くシャットフェース

ハーフウェイバック フェースが斜め下を向くシャットフェース

これはD・ジョンソンやB・ケプカなどにも見られる動きです。慣性モーメントが大きく重心距離の長い現代のドライバーで飛距離を出す最新の技術で、米ツアーではメインになりつつあるモーションなのです。

フェースをシャットにする度合いは、ジョンソンやケプカほどではありません。しかし、星野プロは日本の若手のなかで、最もこの動きの完成度が高いように思われます。

前傾角度をキープし、手首とクラブの角度を90度に保ったまま、胸椎をキレイに回旋させていく。この動きがあるから大きな飛距離を出しつつ方向性を安定させることができるのです。

PHOTO/Tadashi Anezaki Shiji Oosawa

週刊GD2018年10月30日号より

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