【通勤GD】通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。ワンテーマを3回~6回のシリーズでお届け。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。栄えある第1回目は、星谷孝幸氏のパッティングレッスンです。
【解説/パット研究家・星谷孝幸】
株式会社サーパスゴルフ代表取締役。パット科学研究者として2012~17年まで月刊ゴルフダイジェストで「振り子の教室」を連載。2015年から「ゴルフ脳身体運動条件とコンディションニングマシンシステム」を開発。ツアープロやティーチングプロを指導・教授する。 サーパスゴルフの公式ホームページはこちら
ボールの「角」が微妙に方向を変えていた
なぜそんなことが起きるのか? 実はディンプルの周囲は最大で8度くらいの「角」になっています。
パターフェースのように固いもので打てば、打ち出し角は微妙に変化する可能性があるのです。
では、どうすればディンプルの影響を抑えられるのか。ひとつは技術、もうひとつはギアです。技術的にはボールに「強い順回転」をかけること。ディンプルの角に当たると打ち出しが変わることに加え、サイドスピンがかかるので、目標からさらに遠ざかってしまいます。そこで、ボールを左足寄り(左耳の下)に置き、こすり上げるように打つ。また、テークバック(バックスウィング)「1」に対して、フォロー(フォワードスウィング)を「2」の大きさを取ることで加速して当たるのでボールが潰れる度合いが増え、ヘッド軌道の歪みも抑えられます。
ギアはパターのフェース素材が「ソフト」なものを選ぶといいでしょう。柔らかさの限界値は「ショアA」硬度という基準で規定されていますが、打感が柔らかいなと思うものを選べばディンプルの「角」を吸収する効果が期待できます。
【解説】「ショアA」硬度とは、一般ゴムを測る規格で、表面を押針を押し込み変形させ、その深さを測定。0から100までに数値化。ウレタンやその他のソフトなインサートを使用するパターに適用される。ルール規則上では「ショアA」硬度85以上が条件で、あまり柔らかすぎるものは認められていない。
【ほしや先生の研究レポート】
研究①/フェースがたわむことで打ち出しの誤差を小さくできる
ボールには約3ミリのディンプルが300~400個配置されていて、それぞれに「角」がある。最大8度の角をいかに緩和するかがパッティングの鍵となる。フェース面がやわらかければパラボラアンテナのように中央に向けてたわむので、角に当たってもボールの打ち出しが乱れない効果が期待できます。
研究②/ディンプルの角に当たるとサイドスピンがかかってしまう
ディンプルの角に当たった場合と、オーバースピンをかけ直進性を強くしたものを比較すると、角に当たったパットは打ち出しから右回転、左回転がかかった。もし、スライスラインで右回転がかかってしまうと、どんどん傾斜に流されていってしまう。オーバースピンを強めたケースではボールは順回転で転がり、角の影響をほとんどうけなかった。
ディンプルの角に当たると、1.5度打ち出しが乱れる。すると1メートル先では2.5センチ、2メートル先では5センチずれることになる。ソフトなフェースインサートのパターにするとズレの角度が0.5度に軽減され、2メートル先のズレも1.5センチに収まった。これに順回転のストロークをプラスすれば、ディンプルの角の影響を相当防ぐことができる
【通勤GD・今日のポイント】ディンプルに勝つストロークのコツ
ポイント①順回転を強めるとサイドスピンが軽減される
ディンプルの角に当たると出球がズレるうえ、横回転もかかるので目標から遠ざかるように転がりやすい。それを防ぐにはアッパー軌道で「オーバースピン」を強くかけ、横回転をかけること。またインパクトでの緩みも当たりが弱くなるので加速して当てることを心がけよう。
ポイント②フェースインサートで「ディンプルの角」を吸収する
最近のパターにはやわらかい素材の上にメッシュ状の金属素材を配したものもあり、そういったパターは、フェースのたわみによってディンプルの角の影響を減らし、ボールの打ち出しを安定させる狙いが見てとれる。それとは違い、フェースに「溝」が刻まれたパターもある。これらはボールに順回転をかけやすくするもので、サイドスピンを減らす効果がある。いずれも接触面積が小さくなるので、打感がソフトになる効果も期待できます。