【解説】合田洋プロ
94年日本プロ覇者。現在、アマチュアを中心にレッスンを展開中。豊富なしだけいけんからクラブの性能を的確に分析する。ゴルフダイジェスト誌のレッスン企画でも活躍中
ウェッジの"顔"といっても、フェースの輪郭はもとより、ネック、リーディングエッジ、トップラインなど、いくつかのパーツに分けられる。とりわけネックの形状は、見た目の違いだけでなく、クラブの性格(性能)に大きく影響すると合田プロは指摘する。
「ネックの形状によって、出球の高さが変わります。ストレートネックは球を拾いやすくて上げやすく、グースネックは球を低く抑えやすい。アベレージゴルファーにとっては、前者はポンと高くあがりますが、目標へ落とすのがやや難しい。後者は高さを抑えられるので距離感が合わせやすいでしょう」(合田プロ)
【ストレート】すっきりしたイケメン顔
ストレートネック特徴①「フェースを開きやすい」
「フェースを開いてもグースのようにネックが出っ張らないのでスッと構えられるし、刃先で球を拾いやすい。リーディングエッジに丸みがあると、フェースの向きがシビアにならず、より開きやすくなります」(合田)
ストレートネック特徴②「方向性が出しやすい」
「ネックからリーディングエッジにかけてストレートなので、ターゲットに対し、スクェアなラインをイメージしながらセットアップしやすい。またオーソドックスな形状も構えやすさにつながっている」(合田)
特徴3「球が上げやすく、拾いやすい」
「シャフトの中心線よりもリーディングエッジが前に出ていて、ボールに対していち早くコンタクトし、球の下に刃先を潜り込ませやすい。そのためボールが拾いやすく、出球も高くなりやすい」
【グースネック】やさしく包む顔
グースネック特徴①「球をつかまえやすい」
「フェースやリーディングエッジが後ろに引っ込んでいて、インパクトするまでにヘッドがターンする時間を稼げる。つまり球をつかまえやすい。ボールをやさしく包み込むイメージがあり、アイアンと同じ感覚で振れます」(合田)
グースネック特徴②「距離感を合わせやすい」
「ヘッドが遅れ気味に入るぶんロフトが立ってインパクトしやすく、球が上がるよりも低めに出て前へ行くので距離感を作りやすい。また、振り幅が小さめでも距離を出せるため、ミート率も安定させやすい」
グースネック特徴③「トップしにくい」
「リーディングエッジが引っ込んでいるのでストレートネックのように速いタイミングで刃先がボールに"カツン"と当たる(トップ)のを防げる。それと同時に刃先が地面に突き刺さる(ザックリ)のも抑えてくれます」
ウェッジの顔は、時代のスターの影響を受けてきた。
ウェッジの"顔"にも時代によって流行があるという。日本では1980年~2000年頃まで、ジャンボ尾崎が使った大型・丸顔・グースネックのウェッジが主流だった。
1997年以降、タイガー・ウッズがティアドロップ型・ストレートネックのウェッジでツアーを席巻すると、タイガーと同様のいわゆるアメリカンタイプのウェッジが一躍トレンドとなった。
「クラブは全体のバランスが整った普通の顔がいちばんカッコよく見えるんです。でも、作りがシンプルなだけにミスに対してシビアになりがち。ネックが曲がっていたり、フェースが大きい個性的な顔はバランスが崩れてみえますが、そこには"やさしさ"が宿っているんです」(合田プロ)