【指導/マリウス・フィルマルター】
1955年生まれ。南アフリカ共和国出身。南アからジンバブエ、ドイツ経て、アメリカに移住。タイガー・ウッズ、アーニー・エルス、ブラッド・ファクソン、石川遼など、これまでPGAツアーで活躍する数多くのプレーヤーのパッティングコーチを務めてきた
【指導/吉田洋一郎】
よしだひろいちろう。1978年生まれ。北海道出身。2019年レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞。世界中のプロコーチの理論を直接、学んだスウィング研究家で、マリウスとは旧知の仲。今回はレポーターとして登場
アドレスの3要素「正確なアドレスが方向性をアップさせる」
①姿勢(ポスチャー) ②ボールポジション ③体の向き
打ち出し方向に大きく影響するのが、アドレスの「姿勢」、「ボール位置」、「体の向き」。ストロークは完璧なプロでさえ、この3要素の微妙なズレによって、不調に陥ってしまうこともある。
①背中を丸めず、真っすぐにするとストロークしやすい
②体の中心より少し左に置きたいので、左目の下がベスト
③右腕と左腕が同じ高さだと、体の向きが正しくなる
マリウス カップの幅で狙うのと、時計で言う6時ジャスト(カップ手前のど真ん中)を狙うのでは難しさが大きく違う。でも、細かく狙えなければ、微妙に切れそうなラインのカップ内側ギリギリには打てない。正確なアドレスは、方向性をアップさせるためにも必要なんだ。
「RYOにはクロスハンドを勧めたんだ」
吉田 マリウスは石川遼プロも教えていたんですね。
マリウス 2016年から2017年にかけてね。
吉田 石川プロのパッティングはどうでした?
マリウス パターを丸く振るストロークができる、とても才能のあるプレーヤーだよ。でも、体の向きがわずかにオープンになるクセがあったんだ。
吉田 オープンになる?
マリウス そう、ホールが進むにつれて、右肩が少し前に出て、体がオープンになる。そのため、ヘッドがインから下ろしにくくなる。「パート1」でも言ったように、パットの名手は絶対にインからヒットして、パターを丸く動かしているんだ。だから遼には、右腕が左腕よりも出ないように、クロスハンドで握るようにアドバイスしたんだよ。
タイガー、ニクラス、クレンショー、「パット名手はインサイドアッパー」はこちら↓
吉田 そういえば、石川選手は2016年頃からクロスハンドグリップで打つケースが増えましたね。
マリウス クロスハンドにしてから、パッティングの精度はさらに上がっているはずだよ。
アドレスで大事なのはボール位置。「ボールは左目の下に置く」が正解
【ポイント】ボール位置は左目の真下
マリウス 体の中心の少し左に置くには、左目の真下に置くといい。身長や前傾角などによって、つま先からボールまでの距離は変わるが、大切なのは、いつも同じ位置にセットすること。自分のベストのボール位置を見つけておくことをお勧めするよ。
【練習法】1メートルを6時ジャストから連続で何球入るか
吉田 マリウスがお勧めする練習法はなんですか?
マリウス パッティングで重要なのは、方向と距離。そのため、1メートルを6時ジャストから入れる練習を勧めたいね。たとえカップインしても、5時半でも6時半でもダメ。ど真ん中から入れなくてはならないんだ。これはショートパットにも直結する、とてもいい練習だよ。
マリウス パターマットで1メートルを練習すれば、インから正確に打つコツがつかめる。狙いはカップのど真ん中、66時ジャスト。ボールの10センチ先の内側に棒を立てて、アウトサイドイン軌道だと、棒を倒してしまうようにしておくのさ。
【ドリル】インサイドから正確にボールをとらえる
タイガー、ミケルソン、ガルシア…欧米対抗戦「ライダーカップ」の舞台をプレーする旅。おススメです!
週刊GD2019年4月9日号より