渋野日向子プロのプレーに、みんなのゴルフダイジェストのプロゴルファー・中村修が密着取材した、週刊ゴルフダイジェストの連載「しぶこプレス」を再録。今回は、賞金女王争いの行方を大きく左右しそうな高額賞金大会「NOBUTA GROUPマスターズGCレディース」をレポート!

渋野選手は富士通レディースを休場してリフレッシュし、賞金総額2億円、優勝賞金3600万円という高額賞金試合「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」に出場しました。

プロアマの時点からショットがバラついていた

休み明けとなったこの大会は、水曜日のプロアマの時点からショットがバラつき、初日のプレーもアイアンの距離感が合わないなどショット面の不調を感じさせ、1オーバー49位タイというピリッとしない出だしでした。

しぶこチャージを予感させるも、本人は「ポンコツでした」

続く2日目は、悪天候のためスタート時間が2時間遅れとなり13時ごろのスタート。15番で日没サスペンデッドとなりましたが、この日はショット、アプローチ、パットともに復調の兆しを見せ、競技終了までに6バーディ・1ボギーの好プレーを見せました。

3日目は、7時スタートで第2ラウンドの残り3ホールをプレー。18番でバーディを奪ってさらに順位を挙げ「しぶこチャージ」を予感させます。

しかしこの後、ペアリングを組み替えるために2時間ほどの待ち時間ができたことから、歯車が狂いはじめました。

本人が「(中断前のいい感覚が)消えちゃった」と話したように、ショートゲームに苦労し、4バーディを奪うもののボギーも3つ叩き、スコアを1つしか伸ばせませんでした。

画像: 「ポンコツですね」最終日はパーオン16回もパットが決まらず

「ポンコツですね」最終日はパーオン16回もパットが決まらず

今年がツアールーキーとなる渋野選手にとっては、サスペンデッドやそれに伴うバタバタは初体験。不規則な展開のなかで、2日目で上向きかけたプレーのリズムをつかみ損ねたのだと思います。

実際、7時スタートのために3時に起きて普段のスタート前のルーティンをこなそうとすると、睡眠時間は削られてしまいます。

これは「たくさん寝ないとダメな子」(青木翔コーチ)という渋野選手にとっては不利に働いたのではないでしょうか。

結局最終日も流れを引き戻せず、イーブンパーに終わってトータル6アンダーの12位タイフィニッシュ。

この日は、ショットは抜群に冴えていたのですが、バーディパットを外しまくる展開。

渋野選手にとってはものすごくストレスのたまる内容だったと思います。

アプローチに関しても、先週のオフの間に練習したやわらかい球のアプローチが上手くいかず、スタンレーレディスの最終日につかみかけていたように見えたものが、まだ身についていないことを痛感させられたはずです。

トータルで見ると、中断などがあって流れも悪いうえ、決して好調とは言えないゴルフのなかでしっかり12位タイという順位をキープしたことは実力の表れでもあり、成長の証でもあります。

賞金女王を狙いますと公言

中断で流れを失い調子を崩したのは残念ではありますが。サスペンデッド初体験のツアールーキーにとっては非常にいい経験になったはずですし、アプローチに関してもミスしたとはいえ試合のなかで新しいことにトライでき、その結果、今後の課題が明らかになったという意味ではポジティブにとらえてもいいはずです。

一方で渋野選手は試合後、賞金女王を狙うと公言した結果、「いままでにはなかったプレッシャーを感じるようになった」と話していました。

画像: シン・ジエ選手(8位タイ)練習日にパット練習を5時間! 9月に左足首を痛め本調子でなかったものの、それでもトップ10に入るのはたゆまぬ努力の証

シン・ジエ選手(8位タイ)練習日にパット練習を5時間! 9月に左足首を痛め本調子でなかったものの、それでもトップ10に入るのはたゆまぬ努力の証

画像: イ・ボミ選手(2位)復活優勝まであと一歩。優勝した柏原明日架とは1打差

イ・ボミ選手(2位)復活優勝まであと一歩。優勝した柏原明日架とは1打差

というのも、賞金女王を獲るうえではシン・ジエ選手という具体的なライバルがおり、目標を達成するためにはシン選手のスコアや順位を意識しながらプレーする必要があります。これは、渋野選手にいままでとは明らかに違う類のプレッシャー下での戦いを強いることになります。

最終日、ショットはキレていながらパットに悩んだ展開なども、シン選手が自分よりも上位にいる状態のなかで「スコアを伸ばして追いつきたいけれどボギーを打って離されたくもない」という迷いが少なからずあったのではないかと思います。

しかし、繰り返し述べているように、渋野選手はツアールーキー。

これらすべてが初めての経験です。今回の状況や展開は、残り少ない試合のなかで「賞金女王」というプレッシャーとどう向き合っていくのかということを考えると、大きな経験になったと思います。

週刊GDより

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