飛ばしには筋力アップが不可欠、だが、ハードなトレーニングはなかなか続けられない。そこで、2020年シーズンから渋野日向子選手のトレーナーを務める斎藤大介氏に、効果的な体づくりのコツを教えてもらった。
画像: トレーナー斎藤大介さん 柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。米女子選手のトレーナーを経て渋野プロの専属トレーナーに。インスタ(golf_fit_japan)発信中

トレーナー斎藤大介さん
柔道整復師、鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師。米女子選手のトレーナーを経て渋野プロの専属トレーナーに。インスタ(golf_fit_japan)発信中

スウィングで使う筋肉はプロとアマで違う

冬はラウンドの回数も減り、練習場通いが中心という人は多いかもしれないが、春のシーズンインはベストな状態で迎えたいもの。

そこで、今からできるゴルファーのための体づくりを渋野日向子の専属トレーナー・斎藤大介氏に聞いてみた。

斎藤 プロとアマチュアはフィジカル面でさまざまな違いがありますが、最も大きな違いはスウィングで使っている筋肉の部位にあります。

どんな違いがあるの? 具体的に聞いてみた

斎藤 プロはアドレスの際、股関節からしっかり曲げて前傾姿勢を作ります。そうすると体の背面にある大きな筋肉を使ってスウィングすることができます。ラウンド後に張りを感じるのも背中、お尻、ハムストリングスといった部位になります。

斎藤 一方、アベレージゴルファーはアドレスの姿勢が間違っていたり、正しいアドレスが維持できないため、重心が前のめりになりやすく、腹部や太もも前部といった体の前面の筋肉を使っているケースが多いのです。この違いがショットの飛距離、精度、コントロール力など、あらゆる面で影響してきます。

臀部の筋肉「尻筋」を育てたい

斎藤氏によると、プロはアマチュアよりもシビアにアドレス作りを重視しているという。それというのも、プロは基本的に再現性の高いスウィングを身につけているため、アドレスでほんの数㍉狙いがズレただけで、ミスショットになってしまうから。

つまりプロは、アドレスさえ決まれば、ナイスショットが可能なわけだ。そのカギが体の背面の大きな筋肉というが、背面の筋肉というと真っ先に思い浮かべるのは背筋。しかしゴルフでは、背筋よりも重要な部位があるという。

斎藤 背筋力や肩甲骨の可動域ももちろん重要ですが、最も大切なのはお尻の筋肉なんです。

尻筋がつくと、前傾の維持、素早い回転、骨盤が安定する

尻筋の効果①前傾姿勢の維持

ボールに力を伝えるには、股関節から折り曲げて作る前傾姿勢が大事。お尻の筋肉が弱いとその維持ができなくなるので、かかと体重やつま先体重になりやすく、ミート率が下がってしまう。

尻筋の効果②素早い体の回転

股関節から折り曲げて前傾姿勢を作ると、股関節にしっかり力が溜まり、お尻で押し込めるようになるため、素早い体の回転を生み出すことが可能だ。回転にともなう体の伸び上がりなどのミスもお尻で防げる。

尻筋の効果③骨盤の安定

ゴルフは再現性のスポーツ。100回振ったら100回同じように振れるのが理想的。お尻の筋肉が使えると骨盤が安定するのでプレーンも安定し、ボールを押せる姿勢もキープできる。

画像: 渋野日向子もお尻の筋肉で飛ばしているという。昨季ドライビングディスタンス12位、平均飛距離248.21㍎

渋野日向子もお尻の筋肉で飛ばしているという。昨季ドライビングディスタンス12位、平均飛距離248.21㍎

股関節からしっかり折り曲げて前傾姿勢

斎藤 股関節からしっかり折り曲げて前傾姿勢を作ると、股関節に力を溜めることができます。その力が体を素早く回転させる原動力になります。また、お尻の筋肉が使えると骨盤も安定しますから、スウィングの再現性が高まります。ナイスショットの確率が上がるので、結果的に飛距離アップにもつながるのです。

ただ、デスクワークが中心の現代社会において、日常生活のなかでお尻の筋肉を使う場面はあまり
多くないようだ。

斎藤 ですからゴルフでも重心が前のめりになり、お尻の筋肉が使えていないゴルファーが多くなっています。つま先下がりのライやバンカーの中など、足元が不安定な状態のときはひざで安定させるケースもありますが、ゴルフは基本的にお尻の筋肉を使うスポーツといってもいいくらいです。

デスクワークの人ほど尻筋を鍛えるべき

では、お尻の筋肉を鍛えるには、どんな方法があるのか。最も効果的なのが“スクワット”だという。

斎藤 スクワットをすることによって、股関節からしっかり折り曲げる姿勢と、お尻の筋肉に効率よく刺激を与えることができます。

【STEP1】大殿筋を鍛える「バックスクワット」

お尻を後ろに突き出す意識で股関節から曲げる 5回

背筋は垂直を意識し、お尻を後ろへ押し出すようなイメージで、股関節からしっかり曲げていく。どこまで深く曲げるかは人それぞれだが、大殿筋とハムストリングに張りを感じることが重要だ。体操感覚で毎日続けることが大事なので、強い負荷は必要ない。

画像: 【STEP1】大殿筋を鍛える「バックスクワット」
画像: 横から見るとこんな感じ

横から見るとこんな感じ

間違った動きは姿勢を悪化させる

スクワットはお尻の筋肉を鍛えるのが目的。ひざが前に出るとお尻に刺激がいかなくなるので意味がない。また、肩のラインが傾くのもよくない。鏡の前でスクワットの姿勢を確認しておこう。

画像: 間違った動きは姿勢を悪化させる

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【STEP2】股関節の可動域アップ「サイドスクワット」

左右の股関節に体重移動するイメージ 左右5回

足を左右に大きく広げ、右手を左肩、左手を右肩に置いてスタート準備。上半身は正面に向けたまま、右足に体重移動、左足に体重移動の流れで交互にスクワットを行う。

お尻の側面(曲げる足の外側)に張りを感じることが大切だ。

画像: 【STEP2】股関節の可動域アップ「サイドスクワット」

【STEP3】太もも前面を強化「フロントランジ」

上半身はブラさず腰をしっかり落とす 左右5回

サイドスクワットと手の位置は同じで、今度は足を前後に広げる。そして上半身を正面にキープしたまま、後ろ足のひざが床とスレスレになるところまで腰をしっかり落とす。前足と後ろ足を入れ替えて交互に行う。

画像: 【STEP3】太もも前面を強化「フロントランジ」
画像: 正面からはこんな感じ

正面からはこんな感じ

スクワットがきつい人は椅子を使えば簡単

画像: スクワットがきつい人は椅子を使えば簡単

斎藤 疲労が残るようなら最低でも1日は空けたほうがいいです。普段まったくトレーニングをしていない人であれば、弱い負荷でいいので、毎日続けることが大事だと思います。

春のシーズンインに向け、スクワットで飛ばせる体づくりを始めよう。

TEXT/Tomohide Yasui、PHOTO/Hiroyuki Okazawa

週刊GD2020年2月18日号より

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