『ゆるゆるグリップ』は、奥田ゴルフの代名詞。余計な力を抜き、ヘッドを走らすための大事なポイントだと説きます。対して、海老原プロは「グリップの力加減」をどうとらえているのでしょうか?今週の通勤GDは「もう一花のゴルフ」Vol.10。
画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.10 “ゆるゆる”以上の“がら空き”グリップ。ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

前回のお話

チカラ=ブレーキになる

奥田 いよいよ本日の最終ホール(練習ラウンド中)ですね。最後に「もう一花」といきますか。お先にいかせてもらいます!

海老原 お~!  オクちゃんナイス! いまのは飛んでるよ。フィニッシュで両腕が襟巻みたいに首に巻きついていたもの。あれは、きちんと左に振り切れた証拠です。

奥田 ありがとうございます。

海老原 やっぱり、腕は首から離れちゃダメですよ。じゃあ、僕も負けずにいきます!

奥田 これもええですね。エビさんのスウィングを見ていると、ユーチューブで見たベン・ホーガンを思い出します。なんとも言えんスピードのある回転力スウィング。なかなか難しくて、僕の憧れですけど、最近、ちょっとだけですが、近づけたような気もするんです。

海老原 僕はね、力っていうものは、ブレーキ(リキむほどスピードが落ちる)だと思っているんです。力をスピードに変えられればいいんですけど、そこがなかなか難しい。じゃあどうすればいいかというと、グリップを必要な強さだけで握るようにする。まあ、オクちゃんの「ゆるゆるグリップ」と同じだね。

奥田 ヘッドがボールに当たる瞬間に、どれだけの力で握っているのかはわかりませんし、そんなこと、考えたこともないです。だけど、構えてからクラブを上げていく途中で、無駄な力が入っていない、というのが大事なんや、と僕は思うんです。

海老原 そう。それは大事。

左手の小指から3本を
握らない

奥田 僕が思うに、ひとつひとつの筋肉には、それぞれオンとオフがあって、その筋肉が必要なときに、必要なだけ動いてくれればええんですけど、オフになっていなきゃいけない筋肉まで働きだしてしまうから、もつれるわけです。「無駄な力」というやつですね。まあ、アクセルを踏みながら、ブレーキも踏んどるようなものですわ。

海老原 よく、ミスショットをした人に「力が入ったね」と言うけど、その力って、無駄な力なんだよね。

奥田 僕が先生(高松志門)に習った「ゆるゆる」は、そういう意味。無駄をなくして、必要最小限という意味なんです。

海老原 僕は若いころ、佐藤(精一)さんにトップの位置に上げたら左手の小指から3本を外せって教わったんです。小指も薬指も中指もです。

奥田 僕も佐藤さんに習ったことがあって、ダウンスウィングで「左手小指から3本を放せ」と言われましたよ。そこに力を入れてダウンスウィングに入ると、グーンとクラブを引っ張るでしょ。そうすると、ヘッドが来なくなっちゃうんです。3本の指を放すことで、ヘッドが来やすくなる、来るまで待てる、ということなんですね。待てるからクラブヘッドが走る。下ろすときに3本をがら空きにすれば、それができる、いうんです。

画像: 「上げて下ろすときに左の三本指を、がら空きにするんですわ」(奥田)。するとヘッドが勝手に走りだすという。振り遅れやすい人は試してみる価値あり

「上げて下ろすときに左の三本指を、がら空きにするんですわ」(奥田)。するとヘッドが勝手に走りだすという。振り遅れやすい人は試してみる価値あり

海老原 3本をがら空きか(笑)。いろいろ表現はあるよね。握らないとか放すとか。でも、みんな同じ意味なんですね。

奥田 そうやって練習してたら、それまでにない、ええ感じのボールが出て、勉強になりました。

海老原 オクちゃんも、佐藤さんから僕と同じことを教わっていたんだね。

奥田 それは、打ちにいかないということにもなるんです。練習場へボールを打つ練習をしに行くのに、そこでやっとることは、ボールを打ちにいかない練習なんですわ(笑)。

ゆるめたり握ったり
クラブによって違う

海老原 なるほどね。打ちにいかないか。でもね、青木(功)さんに習うようになったら、まったく逆なんですよ。その3本の指をしっかり握れって。

奥田 ハハハ。青木さんはそう言わはりますよね。で結局、エビさんはどっちを採用したんですか?

海老原 左手の3本指を外していたときはシードを取れなかったけれど、青木さんのところへ行ってシードが取れましたからね……。

奥田 なるほど。

海老原 アプローチなんかは、少し強く握ったほうがいいし、ティアップしているドライバーなんかは、左手の指3本を遊ばせていたほうがスピードは出るし、「こりゃ、両方できたほうがいいんじゃないか」と思うようになったんです。

奥田 この前、エビさんが「青木さんやジャンボさんは、ドライバーは軽く打って飛ばすけど、アプローチは強く打って飛ばさない。それが技術じゃないか」と言うとりましたけど、そういう話ですな。

画像: アプローチは強く握ったほうが、飛ばなくなる

アプローチは強く握ったほうが、飛ばなくなる

海老原 そう。だけど、そう思うようになったのは、50歳ぐらいになってからです。

奥田 いや、エビさんは、もっと前から気づいてはったと思います。若いときは、目の前の成績が最優先やから、とにかく1点でもよくしないとあかんとなるやろし、ゆるめるとか握るとか、どっちでもええ話になりますからね。

海老原 そうだったのかもしれないね。

【花咲く一言】
左手の3本を握る?
外す? やってみよう

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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画像: golfdigest-play.jp
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