ユハラ流“風のゴルフの作法”の2 回目。「風に対して小細工は要らない」というが、向かい風と追い風ではボールの飛び方に明らかな違いが生じる。その状況で知っておくべきこととは何か? 今週の通勤GDは「迷ったときは、ユハラに帰れ!」Vol.38。

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

【湯原信光プロ】
ツアー7勝、シニアツアー1勝の日本を代表するショットメーカー。とくにアイアンショットの切れ味は、右に出るものはないと言われた。現在は東京国際大学ゴルフ部の監督も務め、後進の指導にも力を注いでいる。

前回のお話し↓

風を気にせず
普通に打ちたい

GD 向かい風では、短いクラブで届く距離でも番手を2つ3つ上げて、スピン量を少なく、弾道を低くするべきだという話でしたね。でも、ドライバーショットの場合はそれ以上番手を上げられません。やはり、ティアップを低くするとか、なるべく入射角が鋭角にならないように振るとか、何かしらの対策が必要なのではないです?

湯原 いや、無理に低い球を打とうなど小細工をしないことが重要です。そして、小細工なしで打った結果を正面から受け止める。「こういう風のなかでは球筋はどうなるのか」をしっかりと頭にインプットして、同じようなケースに出合ったときにコースマネジメントとして活用すればいいのです。

GD 向かい風だと、それに負けないようについ力が入ってしまうし、あまりにも風が強いと、アドレスで体が揺れるし、ダウンスウィングではヘッドも風の抵抗を受けて、スムーズに振れないような感じもします。それで結局、さらに力んでしまいます。

湯原 打ったボールだけでなく、体も風の抵抗を受けるから力を入れたくなるのでしょうが、力を入れれば入れるほど、体の筋肉はカみで硬くなって、ヘッドは走らなくなってしまいます。できるだけ風を気にしないで、ノーマルなスウィングを心がけたほうがいい。向かい風だからといって、特別なことをしようとするから失敗を招くのです。昔のバラタボールなら、ボールそのものの品質上、スピン量が多かったので、向かい風に対してできる限りスピンがかからないようにして、低く打ち出す技術が必要でした。もちろん、いまでも状況に応じてそういうテクニックを使うこともありますが、あえて低スピンの低い球を打とうとしなくても、ボールの品質が進化してあまりスピンがかからないようになったので、プロでも、普通に打っていくことが多くなっています。普通に打って、それで飛んだ距離で勝負すればいい。ヘッドの人射角をゆるやかにしてスピンを減らすという打ち方をまったくしないわけではありませんが、それは例外中の例外です。

画像: 風の影響を考えて打ち方を変えると、アマチュアはミスする確率が高まるばかり。「風のなかでも普通に打 って、「この風ならどうなるか』という経験値を増やすほうが上達できるんです」(ユハラ)

風の影響を考えて打ち方を変えると、アマチュアはミスする確率が高まるばかり。「風のなかでも普通に打
って、「この風ならどうなるか』という経験値を増やすほうが上達できるんです」(ユハラ)

GD なるほど。プロでも普通に打っているのだから、アマチュアは小細工をしなくていいということですね。普通に打って風で飛距離が落ちれば、それはそれ。また攻め方を考えればいいと。

湯原 向かい風では、当然飛距離は落ちます。でも、その飛距離のマイナス輻は、人によってまちまちなのです。

GD プロでもそういう違いはありますよね。追い風だとものすごく飛ぶのに向かい風になると極端に飛ばなくなるプロもいれば、向かい風でも追い風でも飛距離に差がないプロもいます。

湯原 打ち出し角とバックスピンの量の違いでそういう差が出るのです。そういうことも知識として知っておくべきでしょう。

滞空時間が長いほど風の影響を受ける

GD プロもきっと嫌なんでしょうが、打ち下ろしのホールで向かい風が吹いていると、ものすごく神経を使います。

湯原 もちろんです。風の影響というものは、ボールがフライトしている時間、つまり滞空時間が長くなればなるほど多くなります。それは、風の影響を計算するときに考慮しておくべき大きな要素のひとつです。打ち下ろしの度合いにもよりますけど、ボールが落下し始めると、さらに風の影響を受けやすくなります。

GD そうなると、やはり少しでも低く打ち出したくなります。何か方法はないのでしょうか?

湯原 ボールを通常より右に置いてロフトが立った状態でインパクトすれば、打ち出しは低くなります。しかし、そのとき体の軸もボールに合わせて右寄りになってしまっては、普通に構えたのと同じロフトになってしまうので、体の軸とボール位置の関係をしつかり把握しておかなければなりません。

GD ロフトが立つ形に構えても、体の軸が右寄りになっていたら、普通に構えたときと同じになってしまいますからね。

湯原 ボールが右にあるとヘッドが鋭角に入りやすくなるので、フイニッシュまで振り抜きにくく、フォローで止まるパンチショット気味になります。

GD 確かにフィニッシュまで体をターンさせるのが難しそうです。

湯原 しかし、何度もいっていますが、今のドライバーとポールは、基本的にスピンがあまりかからない設計になっているので、あえてそういう打ち方をする必要はありません。まして、パンチショットの練習をしたことのないアマチュアが、向かい風の打ち下ろしというシビアな状況で、失敗のリスクを冒す必要はないのです。

打ち方変えず
番手を変える

GD 滞空時間が短い打ち上げのときは、向かい風の影響が少ないということになりますね。

湯原 そうです。滞空時間が短いから風の影響は打ち下ろしよりもずっと少なくなります。そして、打ち上げの度合いによっては地面に対してボールは低いところを飛んでいくので、風の影響を受けづらくなります。

GD 風の流れを考えてみると、打ち上げの斜面が風をある程度遮ってくれているとも考えられますね。こういうときも、あえて球筋を低くしようとせずに、普通に打っていくべきなんでしょうね。

湯原 そのとおりです。

画像: 打ち方変えず 番手を変える

強風と打ち下ろし、2つの要素がショットを悩ませる状況。「ミスショットにならない選択が最優先です。風の影響を極力抑えようとテクニックに走るとミスしやすい。ここてゃ風の影響は受けるものだとわきまえて、どこにどう打てばミスにならないかマネジメントして打つのが正解」と湯原(打ち下ろしの明ホール、川奈ホテルGC大島コースの13番)

GD 強い追い風のときは、何とかボールを高く上げて風に乗せて飛ばそうと思って、ボール位置を左にしてティアップも高くして、少しアッパーブローに、力いっぱい打ちたくなるものです。

湯原 そういうテクニックももちろんあります。ボールを左に置けば、インパクトでロフトが多くなって高い球が出ます。ただし、そうやって打つときには、体の軸をボールに合わせて左寄りにしないことが前提になります。アドレスでそういう構えができていても、打とうとしたときに、ボールが左にあるので届かないと反射的に思って、体の軸を左に移動させる人が多いのです。それではロフトは普通に構えたときと同じになってしまいます。

GD しかも、左へ突っ込む形のフィニッシュになってしまいますね。

湯原 体の軸を保って“ステイ・ビハンド・ザ・ボール”がしつかりできるようにしなければなりません。

GD そういう高いボールの打ち方ができれば、打ち上げのホールなどで、なるべくキャリーを稼いで飛ばしたいときに役立ちそうですね。

湯原 しかし、実際よりロフトを多くしてボールを打つということは、アッパーにコンタクトするので、スピン量は減ります。ヘッドスピードが遅い人がそういう打ち方をすると、確かに打ち出しは高くなりますが、ボールに浮力がないので、ポトンと失速してすぐに落ちてしまうのです。最近のドライバーは、スピン量が少なくなるように設計されているので、そうした現象が起きやすくなっているのです。

クラブを変えるのも
一つの手段

GD では、高い球でなるべく大きなキャリーがほしい場面はどうすればいいのでしょうか?

湯原 簡単ですよ。ロフトの多いクラブを使えばいいのです。

GD ということは、ドライバーではなく3Wなどを使うということですか?

湯原 そうです。テクニックでボールの高低を打ち分けなければならないと思っている人が多いようですが、何といっても、ロフトを変えて普通に打つのがもっともミスしない方法です。

週刊GDより

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