奥田の教え子に、バンカーショットを苦手とする子がいるとの話。それでも彼女はプロテストに合格したそうです。彼女のある種、規格外の“技”とはなんでしょうか? 今週の通勤GDは「もう一花のゴルフ」Vol.24

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.23 エクスプローションなしのバンカー ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

前回のお話し

バンカー嫌いな
アマチュア

奥田 最近、アリソンバンカーみたいな歯ごたえのあるバンカーが少なくなってきたと思われんですか?

海老原 そう言われればそうかもしれないね。入ったら絶対ダメなんていうバンカーがあったら、「もうあのコースは嫌い」となってお客さんが来なくなっちゃうからかな。営業的にはそれでいいかもしれないけど、お客さんの腕は上がらないよね。

奥田 何年か前にカーヌスティ(スコットランド)でやっていた全英女子オープンのビデオを見てたら、女子プロがバンカーから簡単に出すんです。

海老原 あのコースのバンカーは小っちゃくて、壁が高いし、垂直ですから、そんなに簡単じゃありませんよ。

奥田 壁から50㌢以上離れていないと出すのはムリですよね。それで「なんでやろ?」と思ってよーく見てたら、砂が壁に向かってスロープになるように盛り上げてあるんです。

海老原 なるほど。左足上がりになるように砂を壁に向かって寄せてあるんだ。それじゃあ簡単だね。

奥田 上手くエクスプロージョンすれば、壁から30㌢でも出せます。

海老原 カーヌスティは女子オープン用にそういうセッティングにしたのかどうかわかりませんけど、難しいバンカーが少なくなっているのに、相変わらずバンカーから逃げまくっているアマチュアは多いよね。

画像: 海老原清治

海老原清治

奥田 青木(功)さんなんか、わざと入れとるのに。でも、プロでもバンカー逃げまくってプロテスト通ったヤツがおるんです。

海老原 えっ! それでプロテスト通るの?

いろんな方法で
打ってみよう

奥田 高橋千晶といって、プロテストをトップ合格(05年)しとるんですわ。いまは僕が教えとるんですけど、初めて彼女とまわったときに「バンカー苦手なんです」と言うとったんです。それで見ていたら、バンカーに入ると砂の一粒も取らずに出すんです。

海老原 へえ~。フェアウェイバンカーならわかりますけど、ガードバンカーもクリーンに打つの?

奥田 そうなんです。せやから「そんなんで、ようプロになれたなあ。どないしてテスト合格したんや?」と聞いたら、「全部、バンカー避けていきました」と言う。

海老原 それもすごいね。

奥田 すごいですやろ。で、「オマエ、エクスプロージョンできへんのか?」と聞いたら、「はい」と。1回もエクスプロージョンやらないでプロテスト1位で通っとるんです。

海老原 へえ~。ゴルフの技術って目から入ってきて、それが常識みたいになるじゃない。たとえば、ドライバーショットなんかは、ティアップして打つのが当たり前で、セカンドの直ドラはともかくとして、ティグラウンドでティアップしないバカはいないよね。バンカーショットだって、先輩たちが砂を飛ばして打っているのを見れば、そういうふうにするもんだと思うよね。

奥田 そういう意味では、人に影響されへんのですから、ある種“規格外”のプロかもしれへんですね。とにかくバンカーは砂の一粒も取らずに、全部拾う。「目玉はどうするねん」と言ったら、「しょうがないから、諦めます」と。ドーンと打って、とりあえずどこかに出して、そこからアプローチするというんですわ。

海老原 じゃあ小っちゃい砲台グリーンなんかはダメだね。グリーンが大きければ、まだ何とかなりそうですけどね。

奥田 関西のグリーンはだいたい小さいんです(笑)。

海老原 バンカーで砂を取らないでボールが打てるなら、フェアウェイとか芝が薄いところからのアプローチでもチャックリはしないからいいかもね。

奥田 そうなんです。アプローチはチャックリがないんで、めちゃくちゃ上手いんです。技術的に細かい話をすれば、レベル軌道でヘッドを振れるわけなんですね。

海老原 それはそれである種の才能ですよ。やっぱりオクちゃんが言うように、ある意味“規格外”なんだね。

奥田 でも、ヘッドの落下で砂を爆発させるというのがバンカーショットの基本やないですか。それができんのですよ。きれいにレベルでボールだけを拾うんです。

画像: 「バンカーショットでエクスプロージョンはできたほうがいいけれど、砂をとらずにレベルでボールだけを拾う感覚を学ぶのも、1つの技術です」(海老原&奥田)

「バンカーショットでエクスプロージョンはできたほうがいいけれど、砂をとらずにレベルでボールだけを拾う感覚を学ぶのも、1つの技術です」(海老原&奥田)

海老原 バンカーの平らなところで、砂が締まっていたらそれでもいいのかもしれないけど、そういうケースばっかりじゃないからね。

奥田 砂がホカホカで、ちょっと砲台でも、ボールだけクリーンに打つ。でも、やっぱり、エビさんが言うように、いろいろなケースを考えるとエクスプロージョンができたほうがエエだろうと思って、毎日毎日エクスプロージョンをゴッツイやらせた。そうしたら、成績がイマイチになってしもうて、悪いことしたなと(笑)。

海老原 チャックリを覚えちゃったんだ(笑)。でもこういう話に、いろいろなヒントがありますからね。皆さんも考えてみましょう。

【花咲く一言】
砂を1粒も取らずに
バンカーショットしてみよう

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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