プレーがとても早いふたりですが、それには、ルール上だけでない理由があるのです。「時間泥棒」になっている皆さん、ティグラウンドで、奥田プロが叱る声が聞こえてきますよ! 今週の通勤GDは「もう一花のゴルフ」Vol.25

【通勤GD】
通勤GDとは‟通勤ゴルフダイジェスト”の略。世のサラリーマンゴルファーをシングルに導くために、月曜日から金曜日(土曜日)までの夕方に配信する上達企画。帰りの電車内で、もしくは翌朝の通勤中、スコアアップのヒントを見つけてください。

画像: 【通勤GD】海老原清治&奥田靖己 もう一花のゴルフVol.25 “もじもじくん”は、大迷惑! ゴルフダイジェストWEB

海老原清治
千葉生まれ。02年欧州シニアで3勝、賞金王。還暦すぎて飛距離を伸ばす超ベテラン
奥田靖己
大阪生まれ。93年日本OPなど6勝。シニアで2勝。ゴルフの侘び寂びを追求する

前回のお話し

スロープレーは
悪循環

奥田 プロアマのお客さんで、たまに、プロにもおりますけど、アドレスでもじもじしておって、なかなか動きださん人っておるでしょ。

海老原 もじもじもしないで固まっている人もいるね。

奥田 どうも、どこから動かすのか考えておるらしんです。

海老原 あと、どこにどう上げるかなんていうのも、考えているんじゃないかな。

奥田 そういう人とまわることになるともう大変やね。

海老原 話もしたくなくなっちゃうこともありますよね。

奥田 前の組と間を空けるわけにはいかないので、「すみません。ひとつだけいいですか?」って僕は言うんです。「ボールのところに来たら、5秒以内で打ってください」って。相手はそこそこの大社長でも僕は言ってしまうんです。そうすると、「遅いか?」って言うから、「はい、遅いです」と言ってやります。

海老原 オクちゃんは、ずいぶんズバリと言うんだね。

奥田 たいがいのアマチュアの人は、プロとまわると、何か教わりたいものやないですか。チェックして、チェックして、素振りして、素振りして、それから打つ。それでボールは真っすぐ行くかというと、やっぱり曲がるわけです。でも、それをやらんで打っても同じように曲がる。だから、「それを覚えておいてください」と言うんです。「50秒かけて曲がっておったのが、同じ曲がりでも5秒で打てるようになったわけやから、それで10倍上手くなれたと思ってください」と。

海老原 ハハハ。オクちゃんは、上手いこと言うね。

画像: 「いろんなことをごちゃごちゃ考えていると、プレーに集中できません。そんなゴルフのどこがおもろいんですか!」

「いろんなことをごちゃごちゃ考えていると、プレーに集中できません。そんなゴルフのどこがおもろいんですか!」

奥田 でもね、「もう奥田からは教わらん」ってなってしまうんですわ(笑)。

海老原 シニアツアーはレギュラーツアーと比べれば早いけど、最近はシニアも遅くなってきましたね。僕がシニア入りしたころは、ハーフ1時間45分だったから、これはいいやと思っていたら、2時間20分もかかかるようになって、いまじゃ2時間30分もかかってます。

奥田 ティグラウンドで待たされると、僕なんかは「早はよ行けよー」と言いそうになっちゃいますけど、エビさんはなんにも言いませんよね。どんなこと考えて待っとるんですか?

海老原 いやなんにも。景色がいいなあ、とか、今晩はなにを食おうかなあ、とかです。

奥田 前に僕がティグラウンドでクラブを持ち替えたら、エビさんの右足のつま先がトントントンって動いてて「早打てよ」って言ってました(笑)。

海老原 ルールで1打は40秒で打つことになっています、と言うことはありますよ。
(委員会が定めるローカルルールで、目安は最初の打者は50秒以下で次に打つ人からは40秒以下というのが一般的な持ち時間。パー3が10分、パー4が15分、パー5が20分を目安にする場合もある)

奥田 それを守っておったらスロープレーはなくなるんやろね。仮に40秒ルールだとして、1番バッターがそれをフルに使こうてしまったら、2番バッターは1番が打つのを見ている時間がかかるから、持ち時間20秒しかないの。3番手は10秒で、4番手は5秒という感じやね(笑)。しかし、エビさんやったら10秒ルールでもオッケーですやろな。

海老原 4人で10秒はないだろうけど、1人10秒なら可能ですよ。僕が「40秒ルールですよ」って言ったら、その次のショットを38秒で打った人がいましたね。それでその人に「30秒ルールになりました」って言ったら、今度は28秒で打ったんです(笑)。

奥田 それもすごいですね。タイムアウト2秒前!

海老原 スロープレーはトーナメントだったら、まわり切れなくてサスペンドになったりという弊害がありますけど、やっぱり、人を待たせてペースを乱すという配慮ができないのがよくないですね。

奥田 自分のことしか考えていないKY(空気が読めない)ですな。

海老原 それだけじゃなくて、スロープレーをやっている本人にもいいことないんです。

奥田 そうですよ。1打1打チェック、チェックで、いろんなことをごちゃごちゃ考えていると、プレーに集中できません。そんなゴルフのどこがおもろいんやろな。

海老原 考える時間が長くなればなるほど、余計な情報が入ってきて、体が動かなくなることもありますからね。

奥田 だいたいそういうスウィングのチェックばかりしているKYの人は、人のプレーも見とらんから、風もグリーンも読めんのです。人様に迷惑かけているだけやのうて、自分も損をしているのに気づかなあかんのです。

海老原 チェック、チェックは練習場では必要ですよ。でも、コースに出たら、それは忘れてプレーを楽しまなくちゃね。

奥田 ゴルフを楽しむ。それが一番大切なことやというのを気がついてほしいですな。そうすれば、ほかの人も楽しいし、自分のスコアかてよくなります

【花咲く一言】
チェック、チェックは
練習場だけ

画/伊藤方也

TEXT/Chiharu Kubota

週刊ゴルフダイジェストより

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