洋食一辺倒から、和食も洋食も選べるメニュー改革
──和食と洋食がメインですね。
以前は洋食がメインでしたが、メンバーを含めシニアのお客様の増加にともない和食メニューを増やしてきました。現在はメンバーの要望や意見を取入れながら、シニア層に喜んでいただける料理の提供を心がけています。
女性施設の改修を機に昨年からレディース会員(正会員)を募集していることと、女性のお客様にもっと来ていただきたいという想いから、「レディースランチ」を用意するなど女性も意識してメニューを考えています。
──女性とメンバーの来場比率は、それぞれどれくらいですか。
女性の来場比率は約1割です。メンバー比率は平均で約3割、土日は約5割です。
──シニアや女性を意識したメニュー作りとは、具体的に何でしょう。
〝ボリューム感〟です。ボリュームが少なすぎてもダメだし、あり過ぎても残すことに罪悪感を感じる方も多いので、量はやや控えめに、シニア層や女性にとっての適量を心がけています。
料理は見た目も大事なので、彩りを豊かに盛付けも重視しています。
以前、カロリーや塩分を控えめにしたヘルシーメニューを提供したこともありますが、反応はイマイチでした。普段は健康に気を使っている人も、ゴルフで体を動かした時くらいはお肉などがっつりした料理を食べたいと思われるようです。
──全体的に量は少なめとのことですが、30〜40代の男性から「量が少ない」と言われることは?
土日は30〜50代のお客様も来場されるので、ボリューム感のある肉料理を必ず1品入れるようにしています。
現在は「トンテキ定食」を提供していますが、大変好評でなかなか変更できません。注文を受ける際に、たとえば「こちらの◯◯丼の御飯の量はお茶碗に軽く1杯分です」とか「大盛りもできます(無料)」と案内しているので、量に関するクレーム等はありません。
──メニュー変更のタイミングは?
季節に合わせて、3カ月ごとに変更しています。「レディースランチ」や「さくら弁当」は通年提供していますが、季節ごとに内容を見直します。
メニューを変更する時は私(料理長)とマネージャー、レストラン担当役員の3人で試食して改良を加え、さらに支配人にも試食してもらってOKの出たものを提供します。
新メニューへの切り替えはクラブ競技のある日に行っており、メンバーの意見を聞いてさらに改良して完成させます。改良といっても基本的な味付けを変えることはありません。
──メンバーの要望を聞いて、新メニューを考えることはありますか。
私たちからお客様に食べていただきたい料理を提供し、感想や意見を聞いて改良するケースがほとんどです。感想をいただけるのはほぼメンバーさんですので、次のご来場までに改良するようにしています。
──メニュー作りで、シニアや女性の嗜好以外に意識していることはありますか。
ひとつは、旬の食材を使用するなど季節感です。この辺りは松茸が採れるので、初秋から松茸を使った料理を提供するなど、極力地元の名物も取入れるようにしています。
閑散期と予約の少ない日、コンペのお客様は昼食付きで料金を設定しているので、お客様に追加料金を払っても食べたいと思われる美味しい料理の提供を心がけています。現在、75%の方には追加料金が必要な料理を食べていただいています。
飽きさせない工夫として、「ローストビーフ丼」や「ハマグリラーメン」など巷で話題になった料理や、美容や健康を意識したコラーゲンたっぷりのラーメンなど、少し変わった料理も取入れるようにしています。
──反応はどうでしたか。
一時的によく出ますが、すぐに下火になってしまいます(笑)。かといって、定番の料理ばかり出していてはお客様も私たちも楽しくないですし、何がお客様にウケるのか分からないので、流行の食材や料理も極力取入れるようにしています。
おススメは、A5ランクの特選飛騨牛ステーキ重
メンバーの好みをメモに書き、スタッフ全員で共有
──接客・サービス面で意識していることは何でしょう。
メンバーシップのゴルフ場なので、メンバーの顔と名前、嗜好を把握して、何も言われなくても好みのものを提供するように心がけています。20年、30年と通っていただいている方も多く、皆さん、スタッフの名前を呼んで気軽に話しかけてくださいます。
お客様とのコミュニケーションは大切にしていますが、必要以上に馴れ馴れしくならないように、節度のある接客を重視しています。
──メンバーの嗜好にあったサービスを提供するために、どのような工夫をしていますか。
以前はボトルをキープしているお客様が席に着くとワゴンにボトルと氷、水などを乗せて持っていきました。でも、最近は同伴者にお酒を振る舞うことは少なく、キープしたお酒を個々で飲むケースがほとんどです。そこで、キープしたボトルに飲み方を書いたメモを貼って情報を共有し、飲み方を聞かなくても済むようにしています。
「いつもの」と言って注文が通ることに特別感を感じ、喜んでいただいているようです。また、「◯◯さんのサラダはトマト抜き」や「△△さんはご飯の量を半分に」といった要望もメモに書いてデシャップのところに貼っており、何も言われなくても好みの料理を提供するようにしています。
──メニューにない料理を注文されることも?
「カツカレーがあるけど、カツサンドはできないの?」と言われたり(笑)。そうした声には、できる限り対応しています。
──プレー後の利用についてはどうでしょう?
プレー後の利用促進のため、デザートメニューの販売に注力しています。土日はメンバーを中心に来場者の約2割の利用があります。人気なのが「珈琲セット」です。通常400円のコーヒーに、自家製チーズケーキとおはぎをつけて500円で提供しています。
──それはリーズナブルですね。
自家製チーズケーキはテイクアウトも可能なので、まず食べてもらい、ご家族へのお土産に繋げられればと考えています。昨年はチーズケーキ(ホール)を200個販売しました。
──自家製土産は他にもありますか。
アップルパイ(ホール)とカレーうどんです。アップルパイは焼き上げるのに2時間かかるので、昼までに注文をいただいて用意しています。昨年は300個販売しました。
カレーうどんは、国産牛を使ってじっくり煮込んだカレー出汁が好評で、当クラブオリジナルの人気No.1メニューです。加工会社にレシピを渡して土産用に作ってもらって販売しています。お土産はもちろん、コンペ賞品としても、とても好評です。
──ほかに、喜んでもらうために工夫していることはありますか。
当クラブはコース内に1300本の桜があります。それを楽しみに来場されるお客様が多く、桜の時季は連日ほぼ満員の状態です。そこで、ゴルフをしない方にも、三味線や和太鼓の演奏を聞きながらライトアップした夜桜と食事を楽しんでもらおうと、年1回、予約制(2000円と3000円の料理を用意)で、夜の営業を行っています。
今年は4月7日開催の予定でしたが、例年よりも開花が早く、急きょ1週間前倒しして行いました。参加者数は約60人と例年(80人超)より少なかったですが、お客様には大変喜んでいただけました。来年はより充実させたいと思っています。
さくらカントリークラブ(18H)
(岐阜県加茂郡八百津町上飯田字大屋)
開場日 昭和53年6月1日
テーブル数 24卓
スタッフ 厨房=コック4人、調理補助・洗い場5人 ホール=ウエイター1人、ウエートレス7人
営業時間 オープン/トップスタートの2時間後(朝食はカフェテリアで提供)
クローズ/お客様が帰るまで