ドジョウは「ニッポンの里川」で簡単に獲れる高栄養食として古くから食されていた。そんなドジョウを美味しく食べることはできないか。試行錯誤の末1800年代初頭に江戸で生まれたと言われる「どぜう鍋」は、長きにわたって愛されてきた、いわば江戸っ子たちのソウルフードと言える。

夏は「どぜう」だ! 飯田屋だ!

「現在ドジョウを専門的に扱うお店は4軒しかないんです。前はもっとあったそうですけど」。そう語るのは100年以上にわたって江戸っ子たちから愛され続ける「飯田屋」5代目の飯田唯之さん。

「この時期(夏場)のドジョウは抱卵期なので、卵も一緒に食べられるんです。香りとコクが増します」

画像: つやつやしたドジョウの上にのっているのが、夏場しか食べられない「ドジョウの卵」

つやつやしたドジョウの上にのっているのが、夏場しか食べられない「ドジョウの卵」

言ってみれば夏こそまさに旬のど真ん中。暖簾をくぐり下足番へ靴を渡すと引き換えに木札が渡される。この木札は勘定札にもなる昔ながらの仕組み。

メニューはどぜう鍋、ほねぬき鍋、柳川鍋を筆頭に、「どぜう」の文字がズラリと並ぶ。どぜう鍋は下煮された丸ごとのドジョウを割り下とともに煮て食べる「まる」と呼ばれるもの。

尾びれを箸でつまんで口に入れればプルプルした食感が楽しめるが、こちらは食べ慣れた玄人向きだそうだ。

今回いただいたのは、背開きにして中骨を抜き、頭と尾びれを落としたドジョウをゴボウのささがきとともに割り下で煮込む「ぬき」の方。「まる」と比べるとドジョウ初心者には食べやすい。

まーだだよ。鍋がグツグツ2分たったらネギ投下

火をかけ鍋が沸騰してから2分ほどがちょうど食べ頃。グツグツ煮立つ鍋にネギをどっさり入れ、いざ実食。

実はドジョウ初体験。恐る恐る箸を伸ばしてみると、これは旨い! というか箸が止まらない。

画像: どうぜう鍋にのせるネギは「木箱1杯分」が適量の目安

どうぜう鍋にのせるネギは「木箱1杯分」が適量の目安

ほんのり甘い割り下がしっかり歯ごたえを残す淡白な白身と、ささがきされたゴボウに染み込み、ネギと一緒に口に運べばネギの爽やかな香りが鼻を抜ける。

全体に絡みつく卵のコクが、この幸せなひと時を長引かせてくれている。巷でよく聞く泥臭さや川魚特有のクセなどまったく感じられない。

「ドジョウは千葉や茨城、秋田から取り寄せていますが、最近は秋田産が多いです。秋田のドジョウは『いい水』で育っているのでクセのない淡白な白身が特徴です」

活きたまま運ばれたドジョウは井戸水で2~3日泥を吐かせ、ネギやゴボウも厳選したものを使用。素材にはとことんこだわった飯田屋の「どぜう鍋」だが、食通たちをうならせ贔屓にされ本当の理由は「割り下」にある。

「うちは代々、割り下作りと下足番は店主の役目というのが家訓にあります。割り下は旦那がひとりで作るんですが、結婚して跡を継ぐことが完全に決まっていないと秘伝のレシピは教えてもらえないんです」

画像: 100年以上愛される伝統の江戸グルメを扱う西浅草「飯田屋」

100年以上愛される伝統の江戸グルメを扱う西浅草「飯田屋」

まさに一子相伝「味の心臓部」だ。飯田屋は慶応年間(1865年頃)に食べ物屋として開業。明治35年頃、当時江戸の町で流行していたドジョウ料理を扱う専門店となった。

画像: まーだだよ。鍋がグツグツ2分たったらネギ投下

【今回紹介した「旨いの基準」店】

どぜう飯田屋
台東区西浅草3-3-2
TEL.03-3843-0881
営業:11時30分~21時30分/水曜定休
公式ホームページはこちら

東武特急スペーシアで行く! 栃木でゴルフ&浅草で暑気払い

浅草発7時30分発の東武特急スペーシア「けごん5号」に乗って目指すは新鹿沼。途中、北千住、春日部、栃木に停車し、新鹿沼駅に8時54分に到着する。そして今日のゴルフは浅草に戻ってから「どぜう飯田屋」で暑気払いというプラン。

画像: 浅草~新鹿沼の特急券、乗車券あわせて片道2330円。スペーシア個室料金(1室)平日3090円、土休日3700円

浅草~新鹿沼の特急券、乗車券あわせて片道2330円。スペーシア個室料金(1室)平日3090円、土休日3700円

ゴルフ場は「食事が旨く、リーズナブルにプレーできる」と人気の鹿沼カントリークラブ、鹿沼72カントリークラブをチョイス。

人気ゴルフ漫画「風の大地」の舞台となったゴルフ場。原作者、坂田信弘プロが研修生時代を過ごした聖地巡礼。

鹿沼CCホームページ「風の大地」の記事はこちらから

画像: 鹿沼72カントリークラブ

鹿沼72カントリークラブ

鹿沼72カントリークラブ
栃木県鹿沼市楡木町1475 TEL: 0289-75-2111
公式ホームページはこちら

画像: 鹿沼カントリークラブ

鹿沼カントリークラブ

鹿沼カントリー倶楽部
栃木県鹿沼市藤江町1545-2 TEL. 0289-75-2131
公式ホームページはこちら

気持ちよくプレーを終えたら再び東武特急で浅草へ…。新鹿沼発16時21分(きぬ138号/浅草着17時45分)、16時51分(リバティけごん40号/浅草着18時15分)、17時50分(けごん44号/浅草着19時15分)。

飯田屋のラストオーダーが21時なので、けごん44号(浅草着19時15分)だとちょっとせわしないかも……。

PHOTO/Takanori Miki

月刊GD2015年10月号より

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