「2グリーン」なのにぜんぜん和風じゃない。ここは隠れたアメリカンモダン
8月の鳴沢、河口湖エリアとなれば、それはそれなりのプレミアムなゴルフ。メンバーだって夏のこの最高の時期にプレーするために会員権を購入して、年会費を払っているのだからスタート枠は希少であること間違いなし。
今回は河口湖CCメンバー歴20年のシングル氏にお誘いを受け、夏の河口湖カントリークラブを体験調査できることになりました。
河口湖CCは1977年に外国人設計家のロバート・ボン・ヘギーによって造られた標高950メートルに位置する、標高差200メートルの林間丘陵コースです。ホールをセパレートする赤松、カラマツは大きく育ち、時に空中ハザードとして行く手を拒むプレーラインが絞られた戦略的なコースです。
河口湖CC「特徴その2」は、2グリーンであるにも関わらずグリーンはそれぞれが独立したデザインとなっていること。ひとつのホールに2ホールあるような設計のホールがいくつもあり、プレーラインは使用するグリーンによって大きく異なってきます。
フェアウェイにあればオッケーではなく、フェアウェイの左右どちらか、さらに飛距離何ヤード以上、以下と、ティショットから前後左右のポジショニングを要求してきます。
そして「特徴3」は27ホールで「195個」のバンカー群。ひとつとして飾りのバンカーはなく、ほぼ花道は皆無といっていいでしょう。所属の陳清波プロが「アメリカ遠征に行く前に、ここ河口湖CCで特訓を……」というように、日本ではほとんどない経験できないグリーンまわりの難しさがありました。
グリーン小さッ! バンカーに1回も入らない人いるの?
河口湖CCは27ホールですが、代表的な18ホールは「西、東」のAグリーン。「今日は西、東」と聞いてちょっとビビり気味の調査隊でしたが、短めのBグリーンと聞きちょっとだけ安心ムードになる。しかし、西の1番パー5で隊長補佐がまずハマりました。3打目をグリーン左のバンカーに入れ、そこから「4往復ビンタ」。いきなり「9」の大叩き。
河口湖CCのバンカーはおおむねアゴとグリーン面が近く、さらにグリーンが下っているためちょっと強めに打つと逆サイドのバンカーに入るデザインになっている。キャリー2ヤードの“ソフト”バンカーショットが打てないと即大叩きとなる。
グリーンは富士の麓特有の芝目がある。スティンプメーター「8.9フィート」とあったが、上りの逆目は超重く、下りの順目は超速い。そのスピード差に調査隊は大混乱。左右のラインは50センチでも「常にカップ外し」。ガイド役をしてくれた河口湖CCのシングル氏は「1メートルは壁ドン」で打っていた(外れたらグリーン出ちゃいますよ)。
ここにも注目! 大きな木は風を遮り、距離感を狂わせる
ティグラウンドに立つと左右は大きく育った赤松とカラマツがグリーンの奥まで続く。「ほぼ壁」と言っていい林がホール幅を狭く見せる一方で、ターゲットを絞りこませるフォーカス機能も働いていることに気づく。しかし、厄介なのが前後の距離感を狂わせる作用も。
「さすが、調査隊。気づきました?」とキャディさん。
「通常の木の倍ぐらいの高さがあるので、球が飛んでいないように錯覚するお客さんが多いんですよ」
近く見えるが距離はしっかりある。さらに標高1000メートル級で球が飛ぶややこしさも相まって、あれやこれや考えることがいっぱいで頭の中は大混乱をきたす。整理のつかないまま打つとザックリ。洋芝のフェアウェイは容赦ない。
写真を見てお気づきでしょうか? 大きな木が風を遮り、河口湖CCではピンプラッグがなびかないんです。風は感じるがフラッグはなびかず。小さなグリーンとそれを囲むバンカー群。ここは日本なのに、日本のゴルフ場にあらず。これまでの経験がほとんど役に立ちません。
調査隊「7」「8」「9」の大叩き連発!スコア大崩壊するも「楽しい!」
シングル氏 夏の河口湖CCはどうでしたか?
隊長 いや~。面白かったですね。距離は短めですがグリーンが小さいのでほとんどパーオンしません。グリーンが小さいコースはありますか、ここまで小さいグリーンは初めてです。
隊長補佐 スタートホールで洗礼浴びちゃいました。バンカーから4往復ビンタなんて初めてですよ。東の6番だったかな? 手前のバンカー群もすごい。バンカーの先にピンがあるように見えて、
プレッシャーで入れちゃいました。
隊員 「7」(トリプルボギー)をこんなに打ったのは初めてかも(5ホール以上)。すぐに4オン3パットになっちゃいます。100ヤードからがやさしくない。
シングル氏 河口湖CCはグリーン手前にバンカーがあって花道がないのでキャリーでしっかり乗せられないと好スコアは望めません。バンカーを避けてもアプローチは上げて止めるロブ系の球が要求されます。
隊長 東の8番は逆S字のパー5。河口湖CCを象徴する名物ホールですね。ティショットは240ヤードやや右目へ。2打目はほぼ90度左にドッグレッグしていて200ヤード打たないと3打目が狙えない。距離と方向をしっかりマネジメントしないとパーが獲れないホールなので、僅差の勝負をしているときは明暗分かれるホールでしょうね。
シングル氏 隊長は今日2打目を右の林に打ち込みながら3打目を出して4打目を寄せてパーを獲っていましたが、河口湖CCを初めて回って8番でパーを獲った方はメンバー歴20年で初めて見ました。
隊長 私はまぐれのパーですが、隊長補佐は「9」、隊員は「8」でした。ティショットで歯車狂うと4オンも難しいホールですね。
それでは採点!「高原リゾート」となめてかかると大叩き。河口湖CCは日本に唯一無二の難コース
隊員 スコアは近年記憶にないワーストでしたが、楽しいゴルフでした。なんだかいつもと違うゴルフをしているようで。
隊長補佐 河口湖CCを訪れる際は、バンカー練習をしっかりこなして苦手意識をなくしてこないとやられちゃいますね。あまりにもバンカーに入りすぎて途中から打ち方を開眼しました。次回はもう少しいいスコアで回りたいです。
隊長 ターゲットゴルフの「極み」と言っていいかもしれません。バックティからプレーするならドライバーの飛距離は240ヤード。アイアンの精度はできるだけ高く。ガイドをしてくれたシングル氏は、アイアンもFWも上からしっかり球を打っていました。アプローチとバンカーはソフトに。ベント芝に慣れていないとザックリが怖く、やわらかい球が打てません。次回来るときは「ソフトロブ」
をしっかり練習してきます。
隊長補佐 あとPGAツアーの選手がやるFWやUTを使うアプローチも。グリーンまわりのペタッとしたライでは、そういうアプローチも効果的なのでは。あっ、それともうひとつお伝えしたいことが……。河口湖CCに初めてきたら「担々麺を」とメンバー氏にいわれましたが、旨かったです。
隊長 私は「せいろ蕎麦」(小丼付)でしたが、高原で手繰る蕎麦は空気と水が合うのかな、これもおすすめですよ。
【河口湖カントリークラブ・コースデータ】
山梨県南都留郡富士河口湖町船津6236
TEL.0555-73-1211
27ホール/9956ヤード/パー108
コースレート/71.7(西、東のAグリーン)
営業形態/メンバーシップ
開場/1977年6月2日
設計/ロバート・ボン・ヘギー、ブルース・デブリン
アクセス最寄りIC/中央高速・河口湖ICより10分
東富士五湖有料・富士吉田ICより5分
最寄り駅/富士急行河口湖駅
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