世界各国に250以上のコースを設計し、日本国内でもコースレート「77.4」というモンスター級の難易度を誇るゴールデンバレーGCなど、数多くのコース設計を手掛けているロバート・トレント・
ジョーンズ.Jr。今回、ゴルフ場調査隊が訪れた栃木県宇都宮市にあるイーストウッドCCも彼のデザインによるものだ。
技術だけでは攻略できない。「ゴルフ脳」が必要なアメリカンコース
R・T・ジョーンズ.Jrのコース設計の基本理念といえば「リスク(危険)と報酬」。各ホールには複数の攻略ルートが設定され、より難易度が高ければ与えられる報酬も大きくなるというもの。プレーヤーは自分の技量や調子を考慮して、最適なルートを選択し、スコアメークしていくことになる。
技術はもちろんのこと、インテリジェンスも要求されるコースなのだ。
調査隊は6410ヤードのブルーティからスタートした。10番は右ドッグレッグのパー5で、谷を越えて右の林ギリギリをショートカットできれば、飛ばし屋なら2オンのチャンスが与えられる。当然、右にミスショットを放てば、ボールはOBゾーンに飲み込まれる。まさに「リスクと報酬」である。
![画像: 1番ホール(382ヤード、パー4)フラットなミドルホール。残り200Y地点から左側が崖になっているので、ティーショットは右の斜面にある木狙いが定石](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/8d4fd9b0e966e761bcc2d0cb46a9c8a823009a70_xlarge.jpg)
1番ホール(382ヤード、パー4)フラットなミドルホール。残り200Y地点から左側が崖になっているので、ティーショットは右の斜面にある木狙いが定石
![画像: 2番ホール(402ヤード、パー4)打ち下ろしのミドルホール。左右がOBとなり、セカンドショット地点には大きなバンカーが待ちうける](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/4adfd22d63bfd6cfdb41ca52ff86ae4dc3ed3d3f_xlarge.jpg)
2番ホール(402ヤード、パー4)打ち下ろしのミドルホール。左右がOBとなり、セカンドショット地点には大きなバンカーが待ちうける
夏の暑さのなか頭をフル回転させてコースと格闘する調査隊の面々。グリーンはポテトチップスのように大きくうねり、夏季にもかかわらず9.5フィートの速さ。アプローチにも多彩な技術とイマジネーションが要求される。フェアウェイ、グリーンまわりの整備も、「ここは本当にパブリックコースなの?」と疑いたくなるほど仕上がりがよかった。
栃木にいながらPGAツアーのトーナメントコースをラウンドしている気分にどっぷり浸かれてしまう。
【ここにも注目!】ショットの精度と寄せの技術が試される
グリーンの傾斜をうまく利用して、ピンに寄せていく……。PGAツアーではそんなアプローチを頻繁に見るが、日本のコースは手前からの受けグリーンが多く、砲台グリーンでは中央部が高くサイドが低い「おまじゅう型」があるが、「傾斜を使って……」というアプローチを要求されることは少ない。イーストウッドCCの大きくうねったポテトチップスグリーンは、そんなPGAツアーの雰囲気をグリーンまわりでも味合わせてくれる。
![画像: プレーヤーの技量が試されるPGAツアーを彷彿とさせるグリーン周り](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/1fc95b3a3aa8b5cf183ea824a11c57df47b35759_xlarge.jpg)
プレーヤーの技量が試されるPGAツアーを彷彿とさせるグリーン周り
たとえば、サイドに振られたピンの狭いエリアを狙ったショットが成功すれば、傾斜でボールはカップに吸い寄せられていく。しかし、失敗するとボールは芝が短く刈り込まれた傾斜を転がり落ち、打ち上げで落としどころが下りという難しいアプローチが残る。これも「リスクと報酬」。
常にピンの手前から攻めるというのが、日本ではコース攻略のセオリーとされているが、そんな日本的な常識は通用しない。だからこそ、新鮮でスリリングで面白いのだ。
三井住友グループが造った法人会員用コースが、バブル経済の影響でパブリックに……。どおりでね。
隊員 R・T・ジョーンズ.Jr設計のコースは、オークヒルズCC以来2度目の調査になります。
隊長 オークヒルズもそうでしたが、コースのデザインが美しくて、日本なのにアメリカのコースでプレーしている気分になります。
隊長補佐 フェアウェイは広くてフラットなので、気持ちよくドライバーを振っていけますが、しっかり戦略を立てないと設計者の罠にハマって痛い目に遭います。
![画像: 13番ホール(550ヤード、パー5)ティショットは打ち下ろしの右ドッグレッグ、セカンドショットは左ドッグレッグの戦略性豊かなホール。池・OB・2段グリーンと様々なトラップがある](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/da4b37f02c3dac230c2561a3ad9baa23daeb04e1_xlarge.jpg)
13番ホール(550ヤード、パー5)ティショットは打ち下ろしの右ドッグレッグ、セカンドショットは左ドッグレッグの戦略性豊かなホール。池・OB・2段グリーンと様々なトラップがある
隊長 難易度の高いルートだけじゃなく、安全なルートも用意されているからプレーヤーの技量を問わず楽しめるのがいいですね。
隊員 グリーンの傾斜、凄くなかったですか? グリーンまわりもエッジから外はラフじゃなくて芝が短く刈り込まれてスロープもきつい。アプローチもピッチ&ラン一辺倒では対応できませんでした。
![画像: 8番ホール(498ヤード、パー5)グリーン周りに12個のバンカーがある名物ホール](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/f172b85025ad09522b6f0f80bd862390fb878ed2_xlarge.jpg)
8番ホール(498ヤード、パー5)グリーン周りに12個のバンカーがある名物ホール
隊長補佐 技術、知力、そして運。真のゴルフ力が試される、素晴らしいコースだと思いました。コース、管理、施設、どれも最高ですが、聞けばここは「三井住友グループ」が造った法人会員用コースとしてスタートし、バブル経済の影響でパブリックになったそうです。
隊長 どおりでね。パブリックじゃなかったら庶民が気軽になんてプレーできない高級コースだったんだ。
【それでは採点!】1日ゴルフが楽しめる施設とおもてなし精神に感動
隊員 コースのクオリティはもちろん、ゴルファーが喜ぶ施設や企画が充実しています。
隊長 ドライビングレンジがないのが残念ですが、芝から打てるウェッジのフルショットが可能な広いアプローチ練習場はよかった。
![画像: 芝の上から打てるアプローチ練習場](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/47638170d19aa360915be707f7d6ac66b44109f8_xlarge.jpg)
芝の上から打てるアプローチ練習場
隊長補佐 友の会に入ればプレーしなくてもアプローチ練習場は1日使い放題。近所に住んでいたら通っちゃいますね。
隊員 クラブハウス内では最新のマシンを導入したジムや、トラックマンを使った弾道計測がしてもらえます。
隊長 ランチのビール飲み放題とか、1日ゴルフを楽しんでもらおうという姿勢に感動です。
隊長補佐 都心からは少し遠いですが、それでも足を運ぶ価値があります。こんなゴルフ場がもっと増えたらいいですね。
![画像: 【それでは採点!】1日ゴルフが楽しめる施設とおもてなし精神に感動](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783386/rc/2018/10/02/dc0f0a50331d0827822101c22c01857ce18dbcac.jpg)
【イーストウッドCC・コースデータ】
栃木県宇都宮市冬室町1039‐3
TEL.028‐674‐8848
18ホール/6854ヤード/パー72
コースレート72.5/スロープレート132
コースタイプ/丘陵コース
設計/ロバート・トレント・ジョーンズ.Jr
開場/1992年10月4日
営業形態/パブリック
アクセス/上河内SAスマートICから5分
最寄り駅・JR宇都宮駅から30分。クラブバスあり(要予約)
公式ホームページはこちら
【イーストウッドCC・芝刈り情報】
グリーン芝種/ペンクロス/4.0ミリ
フェアウエイ/野芝/16ミリ
ラフ/野芝/40ミリ
バンカー/高萩砂さらさら