今年のゴールデンウィークに開催する「パナソニックオープンレディース」の舞台、「浜野ゴルフクラブ」。設計界の匠、井上誠一が描いた18ホールの図面をもとに、本人が亡くなった後、後輩で親交のあった設計家、小林光昭が引き継いで仕上げられました。開場は1984年、以来35年間、大きな改造をすることなく、上質なターフコンディションを保ち続けてきた、千葉県市原市にあるメンバーシップコースです。

18ホールの全長は7217ヤード(Aグリーン)ですが、特徴はA&Bの2グリーンでありながら、Aグリーンのコースレートは73.6、Bグリーンのコースレートも73.5(Bグリーン)と、それぞれに戦略性を持たせていること。

グリーンの芝生は、Aが「ペンA2」、Bが「ペンクロス」のベント芝。どちらも高速グリーンに仕上げられる芝種です。年間通じて10フィート前後の速さを保ち、仕上げれば12フィートまで速くなるそうです。ちなみに、クラブ競技では、AとBをあえて混在させて行うケースもあるとのこと。

コースの敷地面積は35万坪(116万㎡)、通常のコースで言えば27ホールぶんの広さです。おかげで、クラブハウス周りの動線はもちろん、すべてのホールに開放感があって贅沢な造りをしています。

さっそく「ゴルフ場調査隊」がコースに到着しました。

画像: クラブハウスのエントランス。クルマ寄せが広い

クラブハウスのエントランス。クルマ寄せが広い

広くフラットなのに難しく、ひとホールずつ特徴が違う

隊長 京葉道「蘇我IC」から10キロちょっとで到着。玄関のクルマ寄せが広々しているクラブハウスです。

隊員 玄関でキャディさんたちが整列していてスゴイですね。恐縮します。

隊長補佐 クラブハウスからの眺めは「ここは千葉なのか」っていう印象です。練習グリーンを池が囲んでいます。

隊長 リニュアールしたという練習場は、芝からも打てる仕様ですね。トーナメントの開催に合わせているのでしょう。バンカー&アプローチ練習場は改修中でしたが、「パナソニックオープンレディース(5月3~5日)」の前には仕上がるとのことです。

隊長補佐 本日は青ティ(6849Y)で、10番(402Y・パー4)からスタート(Bグリーン)です。

隊長 10番は左右ともOBがなくて広々真っすぐ。スタートホールが気持ちよく打てるのは良いコースの条件ですね。(横に並ぶ1番ホールも左右OBのないパー4)

隊員 と思ったら11番は池越えのパー4(418Y)。フェアウェイが池に沿って右奥に向かって斜めになっていて、どのラインを狙うか悩ましいです。

隊長 フェアウェイがゆるく右に曲がり出すところが、青ティから220ヤード地点ですね。このラインを中心に、安全な左へ行くか、右を狙うか、ですね。(しかし、隊長は右に吹かして池へ)

画像: 10番 445Y P4 OBはなく広く真っすぐ。240ヤード付近に起伏があり、上手く打てると前へ転がる(写真のヤーデージはAグリーンのフルバックティ)

10番 445Y P4 OBはなく広く真っすぐ。240ヤード付近に起伏があり、上手く打てると前へ転がる(写真のヤーデージはAグリーンのフルバックティ)

画像: 11番 439Y P4 イン最初の難関、どのラインを狙ってティショットを打つか

11番 439Y P4 イン最初の難関、どのラインを狙ってティショットを打つか

画像: 11番のBグリーン奥。奥から手前に速い

11番のBグリーン奥。奥から手前に速い

AとBの2グリーン。どちらも甲乙つけられない戦略性がある

隊長補佐 浜野の特徴はグリーンにもありますね。速いうえに大きな傾斜と小さな傾斜の両方が混ざっています、慣れるまでは、2パットで上がれば御の字ですね。(プレーした2月初旬は10フィート、12フィートの超高速の日もあるという)

隊長 グリーンは全体に大きめですが、Aグリーン、Bグリーン、ともにバンカーがしっかりガードしているホールが続きます。そして、バンカーに入らずとも、乗ってからが厳しい…。

隊員 16番(374Y・パー4)も池絡みの名物ホールですね。左の池が斜めにフェアウェイに食い込んでいます。右奥の狭いところを狙っていくか、もっと手前に刻むか。

隊長補佐 こういう考えさせるティショットを、あえて打ち下ろしにして、ホールのすべてを見せてくれる、という点もいいホールの典型ですね。

隊長 グリーンは打ち上げの砲台状だから、刻み過ぎるとセカンドが届かないということに。でもグリーン手前には花道があるので、ボギーオン狙いなら別のルートが見えてくる。このあたりは上級者には厳しく、アベレージにはやさしいという「井上イズム」でしょうか。

画像: 16番 374Y P4 打ち下ろしのティショットのランディングエリア。グリーンへは池越え砲台。手前の花道に打つのも手だ

16番 374Y P4 打ち下ろしのティショットのランディングエリア。グリーンへは池越え砲台。手前の花道に打つのも手だ

画像: 16番 グリーン左サイドから見たフェアウェイ

16番 グリーン左サイドから見たフェアウェイ

画像: 17番 218Y P3 ABグリーンが斜めに並ぶ。その手前はバンカーがガード

17番 218Y P3 ABグリーンが斜めに並ぶ。その手前はバンカーがガード

画像: 18番 527Y P5 右へドッグレッグしてきた3打目付近。左がAグリーン、右がBグリーン

18番 527Y P5 右へドッグレッグしてきた3打目付近。左がAグリーン、右がBグリーン

調査隊の話題のとおり、「浜野GC」のインコースは、9ホールのうち、11番、13番、16番、18番に池が絡みます。

設計家・井上誠一は50余年にわたって、日本で40以上のコースを手掛けましたが、世界中の有名コースを視察した後の設計コースや、さらにコースデザインに芸術性を組み込んだ晩期の設計は、池をダイナミックに取り入れて「戦略性」と「美しさ」を両立させたコースが多くなりました。「浜野」もそのひとつと言えそうです。

午前を終えて昼食後、アウト9ホールをプレーしてきた調査隊。

隊長 池が多かったインに対して、アウトはバンカーに加えて、木と林がハザードの役を果たしていましたね。とくに6番と8番の2つのパー5が印象的でした。

隊員 6番パー5(540Y)は、左へドッグレッグしていて、そのコーナーにバンカーがあるホールでしたね。

隊長 回って気づきましたが、よくあるドッグレッグホールは、バンカーのわきを狙いたくなりますが、この6番は、実際の曲がり角がバンカーのはるか先にあります。だから左に打つと2打目が極端に狙いにくくなるわけです。キャディさんが「右から行ってください」と言った意味がわかりました。これも小さな罠ですね。

隊長補佐 8番(567Y)は、2打目と3打目付近のフェアウェイに大木が立っていて、印象的でした。木を避けて打とうとすると、その先に必ずバンカーがあるという立体構造。広いパー5なのに、いざ打とうとすると狙いが狭くなりました。

隊長 真っすぐのホールなのに、プレールートは蛇行になる。単純に「前に打つ、ピンを向いて打つ」だけじゃないことを、ホールが教えてくれます。

隊員 全組キャディ付きで、歩きのラウンドですが、起伏があってもゆるやかなので疲れませんでした。

画像: 1番 423Y P4 起伏はあるが、広くフラットなスタートホール。OBはない

1番 423Y P4 起伏はあるが、広くフラットなスタートホール。OBはない

画像: 2番 413Y P4  右サイドへ打つと木が邪魔に。左サイドを進むのが常套

2番 413Y P4 右サイドへ打つと木が邪魔に。左サイドを進むのが常套

画像: 6番 559Y P5  左ドッグレッグ。目標のバンカーと実際の曲がり角が微妙にズレているためだまされやすい。右サイドがベストルート。ハンディ1の難ホール

6番 559Y P5 左ドッグレッグ。目標のバンカーと実際の曲がり角が微妙にズレているためだまされやすい。右サイドがベストルート。ハンディ1の難ホール

採点。「箱庭」コースに見せて、罠にハマると大叩き。井上先生、晩期の秀作

隊長 それにしても、ここのメンバーになったら、パットが上達するだろうな…。今日回ったBグリーンでも、「サブ感」は皆無でしたね。まさに上質な「2グリーンコース」です。

隊長補佐 フェアウェイ、ラフ、グリーン、バンカー、メンテナンスが行き届いていて、気持ちよくラウンドできました。グリーン周りのバンカー群も特徴的です。いくつあるのか聞いてみたら、アウト46、インも46で合計92もバンカーがあるそうです。

隊員 5月の女子プロトーナメントでは、グリーンの速さを12フィートぐらいまで仕上げるとか…。

隊長 コース全体は、直線よりも曲線。フェアウェイのラインやバンカーの形状が柔らかいんですよね。美しいんだけど、随所に罠が仕掛けられている。トーナメントセッティングはもっとタイトになるはず、その罠を女子プロがどう攻略するのか、楽しみですね。

画像1: 採点。「箱庭」コースに見せて、罠にハマると大叩き。井上先生、晩期の秀作

【浜野ゴルフクラブ・ターフデータ】
Aグリーン/ペンA2 Bグリーン/ペンクロス
通常時刈り高/ABともに3.2ミリ
フェアウェイ/高麗芝
ラフ/野芝
バンカー/鹿島産 川砂

【浜野ゴルフクラブ・コースデータ】
千葉県市原市永吉937
☎0436-52-3111
18ホール/7217ヤード(A) 7209ヤード(B)/パー72
コースレート/73.6(A) 73.5(B)
営業形態/メンバーシップ
開場/1984年12月22日
設計/井上誠一(仕上げ/小林光昭、大成建設)
アクセス最寄りIC/京葉道・蘇我ICより25分
最寄り駅/JR京葉線 蘇我駅(クラブバスあり)
公式ホームページはこちら

井上誠一
1908~1981 明治41年、東京・赤坂生まれ。東京GC朝霞コース、川奈ホテルGCの設計視察で来日したC・H・アリソンとの出合いを通じてコース設計の道へ。数々の名コースを残した。

小林光昭
昭和4年、愛知県生まれ。日本緑化土木設立時メンバーとなり、設計の道へ。設計家T・ロビンソンに影響を受け、巧みな水遣いで「水の小林」と評される。日本ゴルコース設計者協会名誉理事

画像2: 採点。「箱庭」コースに見せて、罠にハマると大叩き。井上先生、晩期の秀作

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