18ホールの全長は7217ヤード(Aグリーン)ですが、特徴はA&Bの2グリーンでありながら、Aグリーンのコースレートは73.6、Bグリーンのコースレートも73.5(Bグリーン)と、それぞれに戦略性を持たせていること。
グリーンの芝生は、Aが「ペンA2」、Bが「ペンクロス」のベント芝。どちらも高速グリーンに仕上げられる芝種です。年間通じて10フィート前後の速さを保ち、仕上げれば12フィートまで速くなるそうです。ちなみに、クラブ競技では、AとBをあえて混在させて行うケースもあるとのこと。
コースの敷地面積は35万坪(116万㎡)、通常のコースで言えば27ホールぶんの広さです。おかげで、クラブハウス周りの動線はもちろん、すべてのホールに開放感があって贅沢な造りをしています。
さっそく「ゴルフ場調査隊」がコースに到着しました。
広くフラットなのに難しく、ひとホールずつ特徴が違う
隊長 京葉道「蘇我IC」から10キロちょっとで到着。玄関のクルマ寄せが広々しているクラブハウスです。
隊員 玄関でキャディさんたちが整列していてスゴイですね。恐縮します。
隊長補佐 クラブハウスからの眺めは「ここは千葉なのか」っていう印象です。練習グリーンを池が囲んでいます。
隊長 リニュアールしたという練習場は、芝からも打てる仕様ですね。トーナメントの開催に合わせているのでしょう。バンカー&アプローチ練習場は改修中でしたが、「パナソニックオープンレディース(5月3~5日)」の前には仕上がるとのことです。
隊長補佐 本日は青ティ(6849Y)で、10番(402Y・パー4)からスタート(Bグリーン)です。
隊長 10番は左右ともOBがなくて広々真っすぐ。スタートホールが気持ちよく打てるのは良いコースの条件ですね。(横に並ぶ1番ホールも左右OBのないパー4)
隊員 と思ったら11番は池越えのパー4(418Y)。フェアウェイが池に沿って右奥に向かって斜めになっていて、どのラインを狙うか悩ましいです。
隊長 フェアウェイがゆるく右に曲がり出すところが、青ティから220ヤード地点ですね。このラインを中心に、安全な左へ行くか、右を狙うか、ですね。(しかし、隊長は右に吹かして池へ)
AとBの2グリーン。どちらも甲乙つけられない戦略性がある
隊長補佐 浜野の特徴はグリーンにもありますね。速いうえに大きな傾斜と小さな傾斜の両方が混ざっています、慣れるまでは、2パットで上がれば御の字ですね。(プレーした2月初旬は10フィート、12フィートの超高速の日もあるという)
隊長 グリーンは全体に大きめですが、Aグリーン、Bグリーン、ともにバンカーがしっかりガードしているホールが続きます。そして、バンカーに入らずとも、乗ってからが厳しい…。
隊員 16番(374Y・パー4)も池絡みの名物ホールですね。左の池が斜めにフェアウェイに食い込んでいます。右奥の狭いところを狙っていくか、もっと手前に刻むか。
隊長補佐 こういう考えさせるティショットを、あえて打ち下ろしにして、ホールのすべてを見せてくれる、という点もいいホールの典型ですね。
隊長 グリーンは打ち上げの砲台状だから、刻み過ぎるとセカンドが届かないということに。でもグリーン手前には花道があるので、ボギーオン狙いなら別のルートが見えてくる。このあたりは上級者には厳しく、アベレージにはやさしいという「井上イズム」でしょうか。
調査隊の話題のとおり、「浜野GC」のインコースは、9ホールのうち、11番、13番、16番、18番に池が絡みます。
設計家・井上誠一は50余年にわたって、日本で40以上のコースを手掛けましたが、世界中の有名コースを視察した後の設計コースや、さらにコースデザインに芸術性を組み込んだ晩期の設計は、池をダイナミックに取り入れて「戦略性」と「美しさ」を両立させたコースが多くなりました。「浜野」もそのひとつと言えそうです。
午前を終えて昼食後、アウト9ホールをプレーしてきた調査隊。
隊長 池が多かったインに対して、アウトはバンカーに加えて、木と林がハザードの役を果たしていましたね。とくに6番と8番の2つのパー5が印象的でした。
隊員 6番パー5(540Y)は、左へドッグレッグしていて、そのコーナーにバンカーがあるホールでしたね。
隊長 回って気づきましたが、よくあるドッグレッグホールは、バンカーのわきを狙いたくなりますが、この6番は、実際の曲がり角がバンカーのはるか先にあります。だから左に打つと2打目が極端に狙いにくくなるわけです。キャディさんが「右から行ってください」と言った意味がわかりました。これも小さな罠ですね。
隊長補佐 8番(567Y)は、2打目と3打目付近のフェアウェイに大木が立っていて、印象的でした。木を避けて打とうとすると、その先に必ずバンカーがあるという立体構造。広いパー5なのに、いざ打とうとすると狙いが狭くなりました。
隊長 真っすぐのホールなのに、プレールートは蛇行になる。単純に「前に打つ、ピンを向いて打つ」だけじゃないことを、ホールが教えてくれます。
隊員 全組キャディ付きで、歩きのラウンドですが、起伏があってもゆるやかなので疲れませんでした。
採点。「箱庭」コースに見せて、罠にハマると大叩き。井上先生、晩期の秀作
隊長 それにしても、ここのメンバーになったら、パットが上達するだろうな…。今日回ったBグリーンでも、「サブ感」は皆無でしたね。まさに上質な「2グリーンコース」です。
隊長補佐 フェアウェイ、ラフ、グリーン、バンカー、メンテナンスが行き届いていて、気持ちよくラウンドできました。グリーン周りのバンカー群も特徴的です。いくつあるのか聞いてみたら、アウト46、インも46で合計92もバンカーがあるそうです。
隊員 5月の女子プロトーナメントでは、グリーンの速さを12フィートぐらいまで仕上げるとか…。
隊長 コース全体は、直線よりも曲線。フェアウェイのラインやバンカーの形状が柔らかいんですよね。美しいんだけど、随所に罠が仕掛けられている。トーナメントセッティングはもっとタイトになるはず、その罠を女子プロがどう攻略するのか、楽しみですね。
【浜野ゴルフクラブ・ターフデータ】
Aグリーン/ペンA2 Bグリーン/ペンクロス
通常時刈り高/ABともに3.2ミリ
フェアウェイ/高麗芝
ラフ/野芝
バンカー/鹿島産 川砂
【浜野ゴルフクラブ・コースデータ】
千葉県市原市永吉937
☎0436-52-3111
18ホール/7217ヤード(A) 7209ヤード(B)/パー72
コースレート/73.6(A) 73.5(B)
営業形態/メンバーシップ
開場/1984年12月22日
設計/井上誠一(仕上げ/小林光昭、大成建設)
アクセス最寄りIC/京葉道・蘇我ICより25分
最寄り駅/JR京葉線 蘇我駅(クラブバスあり)
公式ホームページはこちら
井上誠一
1908~1981 明治41年、東京・赤坂生まれ。東京GC朝霞コース、川奈ホテルGCの設計視察で来日したC・H・アリソンとの出合いを通じてコース設計の道へ。数々の名コースを残した。
小林光昭
昭和4年、愛知県生まれ。日本緑化土木設立時メンバーとなり、設計の道へ。設計家T・ロビンソンに影響を受け、巧みな水遣いで「水の小林」と評される。日本ゴルコース設計者協会名誉理事
月刊GD2019年4月号に「浜野GC」関連記事を掲載しています。
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