兵庫県の「青山ゴルフクラブ」は、例えるならば、同好会から端を発して地域ぐるみのホームコースとなったゴルフ場と言える。「姫路ゴルファー養成所」(龍田敬太郎名誉顧問)から、その歴史は始まった、創立者の石見元秀は戦後初の民選による姫路市長だった。

ゴルフコースことはじめ
文芸評論家を経て、ゴルフジャーナリストとしても活躍した田野辺薫氏。ゴルフコースの目利きとして全国のコースを取材し、週刊ゴルフダイジェストで「ゴルフの歴史を歩こう」を連載(2005~2013年)。それを一冊にまとめた「美しい日本のゴルフコース」から多くの人に名コース誕生の歴史を知ってもらおうと再編集公開しています。

昭和34年4月1日、ゴルフ練習場「姫路ゴルフヤード(30打席)」のスタートが、「青山GC」の創立日である。同年11月1日にゴルフコース4ホールを併設、名称を「姫路青山カンツリークラブ」と改める。

3年後に9ホール・2750㍎・パー35に増設。6番は、710㍎の超ロングホールで、腕に覚えのあるゴルファーが京阪神から駆けつけた。設計者・森島勉は、昭和27年山口市の毛利藩邸敷地に造られた「山口CC」のアウトコースを設計している。

18ホールが揃うのは、昭和41年4月18日。4650㍎・パー66、ヤーデージ不足だったが、池あり谷ありの男性的なレイアウトが人気で、姫路から播磨一円のゴルファーを集めた。

画像: 1番ホール/381㍎/パー4 ゆるやかな打ち上げのパー4で、1打目はフェアウェイ右にある楠方向を狙う。右側の傾斜上の林はOB

1番ホール/381㍎/パー4 ゆるやかな打ち上げのパー4で、1打目はフェアウェイ右にある楠方向を狙う。右側の傾斜上の林はOB

画像: 4番ホール/502㍎/パー5 左ドッグレッグ、ティショットは左の池を避けて右サイドへ

4番ホール/502㍎/パー5 左ドッグレッグ、ティショットは左の池を避けて右サイドへ

改造に次ぐ改造

昭和49年5月、本格的コースへの大改造計画を決定。名称も、社名は青山開発㈱に、クラブ名は「青山ゴルフクラブ」、50年1月に改造着工。51年7月31日18ホール・6660㍎・パー72が本開場した。

会員は大喜び、当時の理事長・高島健八は「蛹から蝶への華麗なる変貌」と表現している。しかし「蝶はまだ紋白蝶だ、理想は国蝶オオムラサキになること」と面白い一文を付け加えている。大改造で生まれた18ホール造成には、測量&設計・木田満、設計監修・福井八十八の名がある。

画像: クラブハウスから見えるコースと姫路市青山の風景

クラブハウスから見えるコースと姫路市青山の風景

福井は、関西では知られた設計家。しかし現在の公式ガイドでは、設計者・石見満寿太となっている。現社長、理事長である。改造に次ぐ改造で、森島、福井の設計の足跡が消えて、事実上の自社に変わっていったらしい。

10周年からさらに40余年、その間も改造は続いたはず。オオムラサキは翔び始めただろうか。

青山ゴルフクラブ
兵庫県姫路市青山1464 ☎079-266-1125
開場日:昭和34年4月1日
コース:18H/6493Y/P72
設計:石見満寿太
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取材・文/田野辺薫

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