バンカー配置に持たせた「戦略性」と「罰則性」
コース設計に欠かせないもののひとつとして、バンカーがある。上田治がバンカーに持たせる役割として、特に重要視したのが「戦略性」だった。攻略法にバラエティを持たせ、さまざまな判断をプレーヤーにさせることで、技量に応じた「攻略の道」を用意した。
なかでも上田の思想が見えるのが、グリーン周りのバンカー配置。両サイドからグリーン前面に張りだし、花道を絞るように置かれた配置は、よく目にするタイプだが、上田治はこのような配置(設計)は、「難度は高くされているが、戦略性はない」とバッサリと斬る。
そのグリーンを攻めるルートに応じた配置をしなければ、むやみに難しくするだけで終わってしまうというのだ。「戦略的なバンカーとは、あくまでも『挑む』ものだと私は考える。だから、果然と挑んだときの結果は、たとえ失敗してもあまり厳しくしない、いわば勇気への報酬があってよいと思うのである」
上田治が考えるバンカー配置の代表例を紹介すると、バンカーの先に立つピンに対して、バンカー越えに挑んだ者にはやさしく、バンカーから逃げ、安全性の高いルートを狙った者がミスをした場合、ペナルティが待っている。
バンカー配置「勇気への報酬」
果敢な挑戦には寛容を持って受け容れる
2打目地点から見ると、右手前に大きくバンカーがあり、その先にピンが立っている。バンカー越えのルートを狙い、もし球が止まらずオーバーしたとしても、その先にはエスケープゾーンを設け、それ以上のペナルティを負わせないのが上田治の考え。
右手前のバンカーを避け、花道(逃げルート)を選んだ場合、その先にはバンカーが待ち受けているため、距離感が試される(欲をかいて突っ込むと、奥のバンカーにつかまる)。花道ルートから、さらに左に逃げた場合にもバンカーを置き、ミスショットにペナルティを科す設計をとった。
上田治のバンカリング①茨木国際ゴルフ倶楽部北コース2番
上田治のバンカリング②古賀ゴルフ・クラブ3番
上田治のバンカリング③よみうりカントリークラブ1番
上田治のバンカリング④塩嶺カントリークラブしらかばコース4番
上田治設計コースなどの会員権情報はこちら。お気軽にお問合せください↓
ゴルフ会員権のお問い合わせは、取引実績57年、成約件数10万件以上をお手伝い してきたゴルフダイジェスト社会員権サービス部にお任せください。
剛の設計家・上田治のコース論、生い立ちはこちら↓
柔の設計家・井上誠一のコンテンツはこちら↓