このコラムでは、1980年に週刊ゴルフダイジェストが短気集中連載で報じた「県別、優良会員権ガイド」と、2019年現在の相場等状況を照らし合わせることで見えてくる、現在のゴルフ場の「本当の価値」を考察していきます。第1回は「東京都」の巻。1980年当時、東京のメンバーコースは18コース、うち5コースが1000万円超の高相場をつけており、その希少性から、6~8番目の相場をつける相武、青梅、多摩も「早晩、1千万の大台に乗るだろう」と予想しています。しかし、現在大台を超えているのは、小金井と東京よみうりの2コース。府中と八王子は、大きく相場を下げています。

当コラムは、1980年の記事(『』で囲んだ部分)に、2019年現在の市場を加筆して構成しております。

【ゴルフダイジェスト社・会員権サービス部】
会員権取引57年、10万件超をお手伝い
1962年(昭和37年)から、ゴルフ会員権取引業務を始めました。以来57年、ゴルフダイジェスト社でお手伝いさせていただいた方は、延べ「10万件」を超えております。ゴルフダイジェスト・ブランドがもつ安心感に加え、豊富な情報量、経験豊かなスタッフによる適切なアドバイスで全国をカバー。よりよいゴルフライフ、豊かなメンバーライフのお手伝いをさせていただきます。

近さと希少価値で高値を呼ぶ。1980年当時のおすすめは「立川国際」

1980年2019年
ゴルフ場相場名変相場名変
小金井850030044001500
東京よみうり20001001050800
府中150080240500
桜ヶ丘125080830600
八王子120050270400
相武7506040250
青梅7305018300
多摩72070290300
武蔵野5806022100
東京国際45040150100
立川国際3005048140
五日市1254010以下50
赤羽95303560
GMG八王子55301150
東京都民4010縮小
東雲4050閉鎖
相場/2019年7月現在
画像: 現在の立川国際カントリー倶楽部(36H・13110Y・P144)

現在の立川国際カントリー倶楽部(36H・13110Y・P144)

『全国のゴルフ場数は1336コース(昭和55年3月末)。そのうち東京は21コース(パブリック3コース)。1コース当たりの面積は平均73万平米(約22万坪)で最下位に近い。土地がないだけに18ホールのコンパクトなコースが多い』

『ゴルフ場数トップ北海道の100は別格として、2位の兵庫94に比べて東京の21は全国24位。他府県では、まだ新設コース誕生の余地は残されているが、東京だけはまったくないため、近い将来、(25位以下の他府県に)追い越され、さらに順位は下げるだろう』

『しかし、現在の21コースは一段と評価が高まるだろう。ただ余り値が上がってしまうと一般大衆が入れない。すでに、その現象は表れている。小金井、東京よみうり、府中、桜ヶ丘、八王子が1千万円の高相場をつけている。早晩、相武、青梅、多摩あたりまで希少価値がさらに高まり、1千万円の大台に乗るだろう』

【GD会員権サービスから一言】
高嶺の花であったゴルフも、ゴルフ場開発が昭和46年頃から爆発的に増えたのを契機に、一般の方もゴルフができるようなゴルフ場のすそ野を広げていきました。とはいえ、人口の過密傾向にあった東京都心からのアクセスが良いところは、高額で敷居が高く、入会条件を厳格にし、入会難度を上げていきました。多摩地区の丘陵地帯でさえも高額になっていったのは、やはり一般の方が入会できるコースは郊外であり、当時アクセスも良くなく、丘陵で狭小な土地でも値を上げたのは、「東京都」という希少性の高さを表していました。

山はイヤ、フラットなコースがいい

画像: 東雲ゴルフ場(1965年撮影)

東雲ゴルフ場(1965年撮影)

『コースはフラットな所にこしたことはない。となると、河川敷コースになってしまう。赤羽、東京都民に東雲も入れてみよう。なかでも、東雲(しののめ)がいい』

『昭和27年11月、井上誠一氏設計で造られたコースだが、意外に最近の人は知らない。コース自体が、国からの土地明け渡し請求をめぐって、長い訴訟が続いており、PRもはばかっている節が多分にみられる。』

『こそこそやっているわけでもあるまいが、余り派手にやって、国を刺激してはいけないという神経質なほどの配慮がみられる。しかし、運営はきちんと、きびしすぎるほど、堅くやっている。もう、壊れそうな木造のクラブハウス(平屋)だが、銀座からでも車で約20分と近いことから、常に来場者は絶えない。東京湾の埋め立て地にできたコースだが、適度なアップダウンはさすが井上誠一の設計らしい』

『会員は1400名たらずだが、いつ返還の判決がおりるか、気が気じゃないないだけに、絶対のおすすめ品とは言えない。よしんば解散となったら、どこまで預託金が償還できるかも、考えなくてはいけない。土地は国有地、河川敷コースと同じ運命をたどる公算も大きい』

【GD会員権サービスから一言】
東雲ゴルフクラブ(開場昭和27年11月、閉場昭和56年)は、まさに「まぼろし~っ!」なクラブといえるかもしれない。現在は一部が有明の森となり、首都高速・湾岸線が走っています。東雲は、当初10年間の期限でゴルフ場として解放されたため、メンバーは、この10年間のうちに、どこか別の場所に、ゴルフ場を造らないといけない…そしてできたのが大浅間と嵐山になります。栃木の東雲は、代替コースとして建設中のゴルフ場を買い取り、名称を残しました。

画像: 上空から見た、赤羽ゴルフ倶楽部

上空から見た、赤羽ゴルフ倶楽部

『赤羽もいいが、これまた荒川沿いのコースで、いつ裁断がおりるか、わからない。パブリックにしようとの動きも2、3年前から噂としてある。いま、フェアウェイ、グリーンを改造中。より良くしようとの前向きの姿勢は買う。しかし、ここも解散となったら、恐らく一銭も会員には戻らないだろう。過去、新川崎、六郷などがいい例である』

『東京の中で、あとフラットなコースとなると、名門、小金井ぐらいしかない』

【GD会員権サービスから一言】
河川敷のゴルフ場は国有地の上に間借りしている居候のようなもの。赤羽ゴルフ倶楽部に入会しようとした時に、入会書類の一部に承諾書というものがあります。書かれている内容は、当クラブは河川敷(国有地)を借用しているため、国土交通省の行政指導を受けメンバー制よりパブリック制に運営を変更されても、異議を申しません。というもの。この書類の存在を知っていたら、入会を検討し直す人がいるかもしれません。

東京都内なら、多少の山坂は仕方ない…

画像: 現在の東京国際ゴルフ倶楽部(18H・6615Y・P72)

現在の東京国際ゴルフ倶楽部(18H・6615Y・P72)

『東京国際、立川国際、どちらもおすすめできる』

『東京国際は、来年秋開場20周年を迎える丘陵コース。ちょうど今から10年前の春に、多摩ニュータウン建設のために、東9ホールを削られ18ホールになり現在にいたった』

『66万平米しかないが、赤星四郎氏の設計で上手くまとまっている。京王線聖蹟桜ヶ丘駅から約25分と近い。相場450万円にしては起伏があるが、近いことでこの値をつけている』

『立川国際にしても、かなり起伏がある。この付近は、どこにしても起伏に関しては大同小異。高値をつけている青梅にしても、相武にしても、起伏が少ないとはいえない。しかし、その半値だから立川国際は、おすすめ品と言える。第一、36ホールあり、会員数2400名たらずは、少ないほう。過去、毎年春に従業員の長期ストが評判を落とした。いまはおさまったようだから、現在値ならいいだろう』

【GD会員権サービスから一言】
手が出ないから、より遠くのゴルフ場へ出向いていた頃が懐かしいです。東京国際は、スイーツ製造で飛ぶ鳥を落とす勢いのあるシャトレーゼグループになり、立川国際は、老朽化したクラブハウスも一新。グローバル企業の小松製作所が母体となっています。経営母体が、社会的に信用性の高いゴルフ場は、今後評価を高めると思われます。

プレーさえできればいいという人に…

画像: 現在のGMG八王子ゴルフ場(27H・9609Y・P108)

現在のGMG八王子ゴルフ場(27H・9609Y・P108)

『GMG八王子がいい。中央高速・八王子ICから約15キロと近い。値ガサものの八王子カントリーの奥。地形は大体、似たようなもの。それでいてかたや1200万円、かたや55万円は、あまりにも差がありすぎる』

『会員数の違いもあるが、長い間、GMGのほうは、土地を返せ返さないで、すったもんだしたことが、大きなマイナス要因となっている。おまけにメンバー数が多すぎるの噂が消えないこと、コース側では、3千人弱とはいうものの、小首をかしげる人が多い』

『こうしたことが、相場の足をひっぱり、55万円という過小評価される一大要因になっている。これをふまえておく必要はあるだろう』

【GD会員権サービスから一言】
安かろう、悪かろうといった言葉は、会員権選びにも当てはまります。しかし、1200万を出す余裕はないし、勇気もない。55万円だけれど、駄目であっても、さほど大打撃をくらうほどの支出でもない。コスパを割り切って、家からのアクセスを優先してゴルフをするという選択もあります。実際に、GMG八王子はこれまで多くの苦難を乗り越え、現在に至っています。

心温まるサービスを期待する人に…

画像: 現在の鴻巣カントリークラブ(18H・7027Y・P72)

現在の鴻巣カントリークラブ(18H・7027Y・P72)

『またも、GMG。ここの肩を持つわけではないが、この関連グループ、埼玉の鴻巣、長瀞を含めてキャディの評判はいい。ことしの1月、東京では大手の会員権業者、住地ゴルフが、関東一円の主要コース108コースについて、会員15万人を対象にアンケートをとったことがある。この質問の中で、従業員のサービスは? というのがあった。良い、ふつう、悪いの三項目でとり、栃木の小山がトップで、以下、鷹之台、姉ケ崎(ともに千葉)、飯能、武蔵(ともに埼玉)と、姉ケ崎を除き「超」がつく一流コースがつづくなかで、前記、鴻巣が、埼玉の嵐山につづいて19位、そしてGMGが27位にランクされている』

『30位までの中で百万円以下は、このGMGだった1コースだけ。「良い」が68.3%に対し、「ふつう」と答えた人24.5%、「悪い」はわずか7.2%しかいなかった。それだけでも感じのいいコースであることを実証する』

【GD会員権サービスから一言】
過去にこんな話を聞いたことがあります。プレーヤーがウェアや下着を入れたバッグをフロント横に置き忘れて帰宅。気が付いて電話をかけ、「来週取りに行きますから…」と言ったものの、忙しくなって行けずじまい。ようやく行けたのが2カ月後。再来場した際に、フロントのスタッフがバッグを出してきてくれました。「お客様、大変申し訳ありません。勝手にバッグの中を開け、洗濯をいたしました」と。恐縮しながら開けると、中にはきちんと折りたたんで、洗濯されたウェアと下着が入っていた、そうです。

多少高くても、値下がりしなければいいという人に…

『立川国際になるでしょう。従来の高値が350万円。3月をピークに落ち込んできたが、これは売りが出たからだろう。過去、このコースは高くなると、売りが出た。しかし、これも、そろそろ淘汰されるだろう。高値更新は間違いない。「損しなければ…」となれば、結論は値ガサものになってしまう』

【GD会員権サービスから一言】
現在の相場正会員50万円。名変料が100万から70万円へ減額、入会預託金も150万が70万円へ減額。 会員権はこの先も50万前後で推移していくと考えられます。入会預託金は退会時に返され、会員権も50万円で売却すれば、持ち出しは実質、名変料の70万円と年会費の5万円になります。経営母体のしっかりとした「準名門的」な立ち位置の立川国際は、絶対にアリだと思います。

ところで、東京五日市は?

『まったく東京五日市が出てこなかったたが…。相場から見れば安い。ここもかつて開場当初(昭和48年)経営陣のトラブル、訴訟問題があり、それがお尾を引いている』

『昨年から、コース、ハウスとも抜本的に改良工事を進め、大手銀行の融資も受けられるようになったと聞く』

『コースレートも西・南コース69.3と、まあまあ。プロの月例競技も昨年から行われるようになった。経営努力は、買いたいが、まだ、ひっかかる面もある。株式会員制だが、これからの動きをもう少し見守りたい』

【GD会員権サービスから一言】
相場10万円以下、名変料50万円に対して、年会費5万円はちょっと高い気がしますが…。土地の高い東京都にあるのだから仕方ないと理解しなければいけないかも…。27ホールあって、それぞれ趣があり、通ううちにコースマネジメントがわかるコースだと思います。とにかく、ご高齢のメンバーが多く、元気にラウンドをされている様子をみると、とても居心地のいいゴルフ場であることがわかります。現在は圏央道開通で、都心から、地元の方から、神奈川からも通いやすいゴルフ場です。

(週刊ゴルフダイジェスト1980年10月8日)

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