首都バンコクの中心街から西へ50キロ、約1時間で到着する「ニカンティ ゴルフクラブ」は、2015年オープン。新コンセプトの18ホールは、とにかく斬新と話題です。

これまでのタイのコースと言えば、R・T・ジョーンズやピート・ダイといった米国の設計家か、ジャック・ニクラス、ニック・ファルド、ゲーリー・プレーヤーといった往年のレジェンドが設計することが定石でした。

バンコクの街から1時間で到着、「ニカンティ ゴルフクラブ」。設計は「ピラポン・ナマトラ」氏

「ニカンティ ゴルフクラブ」は、自国タイの「ピラポン・ナマトラ」という新進気鋭のデザイナーによる設計。ナマトラは1990年代に、タイのゴルフ場建設ブームが起きた際に、前述の著名設計家のもとで多数のゴルフ場設計と建設に携わり、その際、現場で尽力したエンジニアや建築家たちと「ゴルフ・イースト社」を立ち上げました。

画像: Pirapon Namatra タイ「GolfEast社」のエンジニア兼コースデザイナー。1968年生まれ。「ニカンティGC」の他、ホアヒンの「バンヤイGC」、バンコクの「バンサイCC」などを手掛ける

Pirapon Namatra
タイ「GolfEast社」のエンジニア兼コースデザイナー。1968年生まれ。「ニカンティGC」の他、ホアヒンの「バンヤイGC」、バンコクの「バンサイCC」などを手掛ける

ナマトラは、ゴルフ・イースト社のデザイナーとして、ゴルフ場計画、設計、施工、運営といったゴルフコースのプロジェクト全般を推し進めて、これまでに手掛けたコースプロジェクトは15以上。「サイアムカントリークラブ ウォーターサイドコース」や「アルパインゴルフリゾート チェンライ」も同社が携わっています。そのなかで、新たに造ったのが「ニカンティ ゴルフクラブ」。

1~6番、7~12番、13~18番、6ホール単位の18ホール

特筆すべきは、ロングヒッターも、シニアプレーヤーも、ショートゲームプレーヤーも、「公平にプレーできるように」と、パー3、パー4、パー5を6ホールずつに振り分けた18ホールにしたこと。確かに、これまでにありそうで無かったホール配分を具現化したというわけです。

さらに、スタートホールは、1番、7番、13番からの3ウェイスタート。スコアカード自体も1~6番、7~12番、13番~18番と6ホールごとにスコア合計を出して、最後に合算する仕組みです。

スタートは1番、10番ではなく、1番、7番、13番の3ウェイスタート

画像: ニカンティGCのヤーデージ。1番、7番、13番からのスタートは、いずれもパー5、パー3、パー4の流れ

ニカンティGCのヤーデージ。1番、7番、13番からのスタートは、いずれもパー5、パー3、パー4の流れ

画像: 1番/596ヤード(ブルー)/パー5 左にドッグレッグしていく

1番/596ヤード(ブルー)/パー5 左にドッグレッグしていく

肝心のコースレイアウト自体もモンスター級です。フェアウェイは全体を通してうねり続け、そこにマウンドや窪地が入り、平らなライから打てるエリアが非常に限られています。パー4、パー5でグリーンを狙うアプローチショットは、打ち上げが多く、距離感を合わせるタッチが必要です。

タイ特有の潜りやすく粘質の高いラフ芝が、フェアウェイとファーストカットをぐるりと囲み、フェアウェイに止まるのとラフに入るのでは、天と地ほどの違いが生じます。グリーン周りのカラーはボールがよく転がるようにスロープがつけられ、こぼれたボールがそのまま池やバンカーに入るケースが多く、アプローチやパットでも傾斜をよく見たうえで打たくなくてはなりません。

画像: 4番/321ヤード(ブルー)/パー4 大きくうねるフェアウェイ、セカンドは砲台グリーンへ打ち上げ

4番/321ヤード(ブルー)/パー4 大きくうねるフェアウェイ、セカンドは砲台グリーンへ打ち上げ

パー3は6つあるが、似たロケーションは皆無

画像: 8番/222ヤード(ブルー)/パー3 プレッシャーが掛かる見た目、グリーンは中央に大きな尾根がある

8番/222ヤード(ブルー)/パー3 プレッシャーが掛かる見た目、グリーンは中央に大きな尾根がある

画像: 14番/165ヤード(ブルー)/パー3 右は池、グリーンの傾斜は大きく複雑

14番/165ヤード(ブルー)/パー3 右は池、グリーンの傾斜は大きく複雑

画像: 16番/214ヤード(ブルー)/パー3 距離感に加えて方向性も必要。ティの周りはウェイストエリア

16番/214ヤード(ブルー)/パー3 距離感に加えて方向性も必要。ティの周りはウェイストエリア

「ゴルファー全員が公平に」という設計コンセプトですが、初心者にはかなり難しいコースです。反面、ゴルファーならば、誰もが挑戦したくなるチャレンジングなホールの連続です。18ホール、似かよったレイアウトがなく、7番、13番からのスタートでも、リズムを作りやすい流れがあるので、どのスタートからでも「公平」にプレーできます。

カートにはGPS機能が付いて、ホールロケーションや距離表示が出るので、カートでのプレーがおススメ。タイの若手設計家 P・ナマトラが心血を注いだ「ニカンティ ゴルフクラブ」、バンコクの旅ならば、チャレンジしたい新世代コースです。

プレーフィーに、プレー前後の食事代がインクルーシブされているというのも、新コンセプトのひとつです!

画像: 2階のテラス。食事代はすべてプレーフィーに含まれている

2階のテラス。食事代はすべてプレーフィーに含まれている

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