前期・中期・後期、井上誠一のキャリアを札幌近郊で追体験。
C・H・アリソンに影響を受け、コース設計を始めた井上誠一。彼が遺したコースは、元々の地形の 特色を上手く生かしながら、自然とコースの調和が図られ、個性のあるホールには上品さと優美さも 備わっている。だが同じ井上設計コースでも、経験の蓄積や造成技術の進化に伴い、時代ごとに変化がある。
まだ、重機がない時代の前期のものは、元の地形を最大活用することで、今でも色褪せないクラシックコースの趣が溢れている。
大型重機が登場した中期の作品は、元の地形を生かしながらも谷を埋め、土を盛り、池を造成したダイナミックなコースへと変化。また、スコットランドやアメリカの名コースへ視察行脚を重ねたのもこの時期だった。
そして後期はコース設計家の集大成として、女性的な曲線美、芸術的なセンスをを取り入れるようになる。
北海道の井上誠一設計は3コース。「札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース」「室蘭ゴルフ倶楽部」「札幌ゴルフ倶楽部 由仁コース」は、実は設計された時期がすべて違う。そのため、それぞれ前期、中期、後期の特徴を持ち合わせている。
しかも、すべてが千歳・札幌近郊で、3日あれば各コースを存分に味わうことができる。設計家やコースレイアウトにこだわるゴルファーには最高のロケーションだ。
【井上誠一・前期】1958年開場
札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース 地形を活かしたクラシック
北海道で初めて井上誠一が設計。当初は「札幌コース」だったが1962年に現在の「輪厚コース」に改称した。自然のゆるやかな起伏が攻略の大きなカギになり、ホールを取り囲む樹木がそれに拍車をかける。木の成長とともに、チャレンジング性の醍醐味が年々高まっている。
井上は17番ホールの曲がり角に立つ木について「この林の木々は今後も伐採しないように」と指示の言葉を残した。当初はメインとサブの2グリーンだったが、2006年、サブグリーンを撤去して、ベントの1グリーンコースとなっている。
札幌ゴルフ倶楽部 輪厚コース
18H・7063Y・P72
北広島市輪厚77
TEL.011-376-2231
アクセス:新千歳空港から車で40分、札幌から30分
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【中期】1965年開場
室蘭ゴルフ倶楽部 大地を削り、盛り、ダイナミックに
1929年に「イタンキGC」としてスタートした室蘭GC。1965年に、室蘭湾を一望する柏の樹林が生えるゆるやかな丘陵地で再スタートするっべく、井上誠一が設計した。自然の地形と樹木をなるべく利用しているが、必要な部分は重機を使い、大がかりな造成も行った。
バンカーは通常の半分の34個、そのぶん1グリーンのアンジュレーションとフェアウェイの起伏にこだわったという。完成間近の室蘭について井上は「この白鳥コースの仕上がりには満足しています」と語った。
室蘭ゴルフ倶楽部 白鳥コース
18H・6825Y・P72
室蘭市崎守町293-1
TEL.0143-59-4641
アクセス:新千歳空港から車で約1時間、道央道・室蘭ICから約2分
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【後期】1974年開場
札幌ゴルフ倶楽部 由仁コース バランスの取れた造形美
女性を描いた絵画の曲線美をコース設計にも応用したという井上誠一。由仁コースのグリーンやフェアウェイ、バンカーには曲線の美しさが表れている。また、美の極致であり、18ホールの調和がとれている。由仁はベントの2グリーン、単純なメインとサブではなく、それぞれに戦略性を持たせているのも特徴。
バンカーの少ない室蘭に対して、由仁には98のバンカーがある。そのなかには鳥が羽ばたくような形や浮雲のような造形のものがある。
ANAオープンは1987年、1988年、1993年の3大会は由仁コースで開催した。
札幌ゴルフ倶楽部 由仁コース
18H・7031Y・P72
夕張郡由仁町光栄588
TEL.0123-83-2777
アクセス:新千歳空港から車で40分、札幌から約1時間
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ゴルフダイジェスト・ツアーセンターで、北の大地の井上誠一をラウンドしよう!
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週刊GD2019年6月4日号より