運命を変えたのは"切り返し"
50ヤードアップの源は、トップの手前でダウンへ移ることだった!
── この一年で飛距離が50ヤードも伸びたというウワサを聞きましたが、本当なんですか?___
小澤 本当ですよ(笑)。実は数年前、身体を故障してしまい、まともにスウィングができない時期があったんです。それからです、スウィングについて真剣に向き合って考えたのは。
── 何を考え、どんな結論にいたったのでしょう。
小澤 スムーズに体を動かし、速く振ることです。以前は型にハメた窮屈なスウィングをしていました。当然ヘッドスピードも出ず、身体にも負担が大きい。無理な動きをしたために故障したのだと思います。
── では、具体的にどのように変えたのでしょう。
小澤 まず、体重移動の仕方と考え方を変えました。それまではテークバックで右足に体重を乗せてトップを作り、ダウンスウィングで左足に乗せて振り切る、というおそらく皆さんと同じイメージで振っていました。でも、それだと速く振れなかった。そこで、テークバックしたら、すぐにダウンに入るようにしました。
小澤 トップに行く前にダウンに移るこの速度が、上と下の捻転差を生み、腕もしなやかに振れるので、当然ヘッドスピードがあがります。スウィング中に体重移動をしようと考える時間が無駄だったことがわかったんです。
これが50ヤードアップを果たした、新しい小澤美奈瀬のスウィング
おヘソの向きは正面。お腹のネジれがパワーを生みます
── 体重移動のほかに、速く振るためにしたことはありますか?
小澤 しっかりした土台を作ることです。上体が上ずっていたら、ボールにパワーを伝えることはできません。私は、足の指で地面をギュッと掴んだままスウィングしています。
── 足の指で地面を掴む?
小澤 以前は下半身。とくにひざから下に力が入っていませんでした。そのため、スウィング中の重心が高くなっていたのです。インパクトでの衝撃に耐えることができず、パワーがロスして飛距離が出ませんでした。今は力加減のイメージはひざから下が100%です。
── それくらい土台が大事ということですね。
小澤 速く振るということは遠心力に負けずに耐えられる土台が必要なんです。私の場合、土台がしっかりしているかどうかは、おへその向きでチェックします。
── おヘソですか?
小澤 以前はひざから下に意識がなかったので、前傾が起き上がりやすく、トップで右腰が引けるような形になっていたのです。おへそが上を指す感じでした。
小澤 それを、アドレスからおへその向きを変えない意識で上げると、前傾角を保つことができ、重心を低くキープしたまま振れるようになりました。実際はおへその向きは変わるのですが、そのくらいのイメージを持たないと、重心を低く保てないんです。
飛びのしなりを体感! 手首グニャグニャ連続素振り
── 重心を下げることで、インパクトでボールにパワーを伝えられる土台を作るということでしたが、それ以外に速く振るために取り組んだことはありますか?
小澤 クラブの重心点を意識して動かすことで、一気に速く振れるようになりました。
── 普通はヘッドを動かす意識をすると思うのですが……
小澤 ヘッドスピードを上げるには、ダウンスウィングから速く振ろうとしても遅いんです。ヘッドを感じずに、クラブの重心点を意識するほうが、テークバックからフィニッシュまで速く振り抜くことができるんです。
── テークバックも速く上げるんですか?
小澤 はい。そうすることで、スウィングプレーンが安定し、リズムとテンポが作りやすくなります。それを体感するために、私はシャフトだけを左右に連続して振る練習をしています。下半身がしっかりしてテークバックから速く振れる脱力の仕方も身につきました。
ボールに力を伝えきる!フォローまでお尻を壁から離さない
── インパクトで重心を下げてボールにパワーを伝えるコツは、他にもありますか?
小澤 アドレス時のお尻の位置をフォローまで変えないことです。私は、お尻をずっと壁につけているイメージです。前傾角度が変わるとお尻は壁から離れてしまいます。大きな体重移動と速い体の回転を意識すると、右足に体重が残ったり、上体が突っ込んだりしてしまいます。
小澤 体重移動や体の回転を意識せず、クラブの重心点を意識して速くテークバックしたら、すぐダウンに移る。そのとき左足母指球に踏み込むことだけ考えれば、重心が下がった強いインパクトができるので必ず飛ぶようになります。
小澤美奈瀬の新スウィングを背中アングルから
週刊GD2018年9月18日号より
PHOTO/Takanori Miki
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