スタイリッシュでも室内の広さは十分
斬新な前後ランプや台形のグリル、ラインやエッジを極力廃したボディパネルなど、メルセデスの新世代デザイン手法が全身に用いられているのは見てのとおり。
4ドアクーペの開拓者・CLSが、スタイリッシュ度合をさらに磨きをかけて3代目にフルモデルチェンジした。
この試乗車のボディカラーは、セレナイトグレーマグノというスペシャルマットペイント。最近プレミアムカーに人気のマットカラーだ
全長は5m、全幅は1.9m近くあるが、引き締まったスタイルは大きさをあまり感じさせない
こちらは220d。外観はリアのエンブレム以外450とまったく変わらない。ボディカラーはメタリックのヒヤシンスレッド
一見、車高が低そうだが、Eクラス･セダンとの差はわずか25mmで、このフォルムにして室内空間やトランクは狭くなく、歴代CLSで初めて5人乗りになった。
後席に平均的な男性大人の体格（身長173cm）の記者が座っても不満を感じない広さ。また、運転席での視界も従来よりもワイドになった印象だ。
写真の450は左ハンドルも選べるが、220dは右のみ。グレーアッシュのウッドパネルやタービン風のエアアウトレットが、スポーティで豪華な雰囲気に
メーターとセンターのパネルは、2枚の12.3インチワイドディスプレイ。ステアリングのスイッチやセンターコンソールのコマンドダイヤルで画面の変更などの操作が可能
デザインだけでも十分に魅力的なCLSは、走りにも要注目だ!
メルセデスとして20年ぶりに復活した直6エンジン。
オルタネーターとスターターの機能を兼ねたISG(インテグレーテッド･スターター･ジェネレーター)と、48V電気システムを搭載した点が特筆ポイント。ターボチャージャーを備えるが、ひとあし先に登場したS450とはスーパーチャージャーが付かない点が異なる。
2トーンのナッパレザーシートはエクスクルーシブパッケージのオプション。前席はヒーターだけでなくベンチレーションも内蔵する
トランク容量は490Lと、けっこう広い。リアシートバックは分割可倒式で、センター部のみのスルーも可能だ。トランクリッドは電動開閉式
ISGの恩恵でエンジン始動が素早く静かで振動もない。
アイドリング回転数が520rpmと低いのが印象的で、踏み込むとバランスのいい直6らしいスムーズな吹け上がりが美味しい。
あえて抑えずドライバーで聞いてもらうようにしたような、低く響くエキゾーストサウンドが印象深い。
官能性能うんぬんよりも、効率を追求した結果こうなったといえるエンジンで、“直6”らしい味わいを求めるユーザーの期待にもしっかり応えている。
Sクラスに次いで搭載されたISG(インテグレーテッド･スターター･ジェネレーター)を採用した3Lの直6エンジンは、カバーに“6 CYLINDER”と刻まれている
Eクラスにも採用されている2L 直4の新世代クリーンディーゼル。例によってカバーに覆われて、エンジン本体はほとんど見えない
2Lの新型クリーンディーゼルモデルは、ディーゼルらしいトルクフルな加速を味わえて、音や振動がとても小さく抑えられている。こちらのモデルは450よりも240万円近く安く、購入後の経済性に優れることも魅力だ。
快適性と操縦性を兼ね備えたフットワークも申し分なし。ハンドリングは220dの方がいくぶん軽快で、450は4マチック(4WD)が効いてオンザレール感覚は上回る。
安全運転支援システムは、さすがメルセデスの最新モデル。レーンチェンジや渋滞にも対応してドライバーの負荷を軽減してくれるのがありがたい。まさに才色兼備な3代目CLSだ。
メルセデス・ベンツ CLS450 4MATIC スポーツ（CLS220d スポーツ） スペック
●全長×全幅×全高：5000×1895×1425mm
●ホイールベース：2940mm
●重量：1970kg（1820）
●エンジン型式･種類･排気量：256型･直6 DOHCターボ･2996cc（654型･直4 DOHCディーゼルターボ･1949cc）
●最高出力：270kW[367ps]/5500-6100rpm（143[194]/3800）
●最大トルク：500Nm[51.0kgm]/1600-4000rpm（400[40.8]/1600-2800）
●JC08モード燃費：11.9km/L（18.6）
●燃料･タンク容量：プレミアム（軽油）･66L
●トランスミッション：9速AT
●タイヤサイズ：245/40R19･275/35R19
●価格：1038万円（799万円）
TEXT/Kohichiro Okamoto、 PHOTO/Mitsuru Tamai
