振り子の支点に問題があった!
森 アイアンショットはダウンブローが基本です。アプローチでもフェースを返しながらボールを上からとらえることが基本です。スウィングのメカニズムがわかっていないとザックリは解消できません。
── グリーン周りからのアプローチでダフってザックリが出てしまうのは何が原因でしょう?
森 皆さんはスウィングが悪いからと考えますが、そもそもスウィングのメカニズムを理解していないところに問題点があると思います。スウィングの原理から説明しましょう。
森 スウィングは振り子運動です。ボールを体の中心線の前にセットして、クラブを体の真正面で振り子のように動かすとします。支点を体の真正面で固定すればスウィング軌道の最下点は体の真正面となりますね。それでも間違いではないのですが、ボールを上から正確にとらえやすくするには振り子の支点を左に動かすほうが確実です。
── 最下点が体の真正面よりも左側となるからですね。
振り子の視点を左に移動……軌道の最下点がボールの先になり、ザックリ防止に直結
森 ザックリが出るのは支点が右に動いて最下点がボールの手前側となるから。ボールをとらえたい意識が強い人や、フェースをスクェアに保とうとしてノーコックで打とうとする人はこの動きになりやすいです。グリップを柔らかく握り、クラブヘッドが運動しやすい環境をつくってあげることが先決です。
左にスライドさせてインパクトする
森 ザックリがよく出る人はクラブのロフトどおりに打とうとする意識が強いですね。これもいけません。
── フェースをスクェアに戻して、ロフトどおりに打つのが正しいと思っていたのですが。
森 サンドウェッジのロフト角が58度なら、40度くらいまで減らすイメージでロフトを立てて打つのが正解です。スウィングの支点を左にスライドし、ハンドファーストの形をつくってインパクトしましょう。そうすればインパクトエリアでフェースがゆるやかにターンし、ボールがしっかりとつかまりますよ。
ロフトが立てばフェースはターンする
ヘッドで芝を軽くこすり、アドレスよりもロフトを立ててインパクトする
【ポイント①】ロフトを立ててフェースターン
── きっちり当てようとしたり、真っすぐ振る意識が強すぎると、クラブの振り子運動がスムーズにいかないうえに、フェースターンもできなくなるわけですね。
森 その通り。ゴルフスウィングはクラブが主役です。クラブヘッドの重心が進みたがる方向に振ってあげればいい。ダウンスウィングからインパクト、フォローに向かってシャフト軸を左に回して重心を先に行かせてあげればフェースターンが自然と行なわれます。それを可能にするのが、グリップを強く握りすぎないことなんです。
【ポイント②】ダウンでシャフトを左に回わしながら振る
左手首を手のひら側に折り曲げる
森 腕の振り方としては、インパクトで左手が「掌屈」の形となるようにしましょう。
── 掌屈とは?
森 左手首を手のひら側に折り曲げることです。インパクトに向かって左手の甲を下に向ける感覚す。ザックリが出る人はインパクトで手のひらが甲側に折れる「背屈」になっています。
── 振り子の支点を左にスライドし、ロフトを立てて打つには左手首を手のひら側に折って打つことが前提ですね?
森 自然なフェースターンを生み出す上でも、左手首の掌屈が欠かせません。背屈になるとフェースを返せなくなってしまいます。フォローでは手を高く、クラブヘッドを低く出すイメージで打つのがコツです。
【ポイント③】掌屈(ようくつ)を使ってインパクト
── 左手首の掌屈を使ってボールをヒットし、フォローでヘッドを低く出すのはランニングアプローチの打ち方のように思えてしまうのですが?
森 いい質問ですね。これはランニングアプローチだけの打ち方に限ったことではありません。ボールを上げるアプローチもインパクトで左手首の掌屈が行なわれて、それからフェースターンを抑えて振り抜くのです。
手とヘッドの位置関係を知る
ヘッドを低く長く出していく
森 ザックリがよく出る人はインパクトゾーンが「点」になっています。アプローチに限らず、ドライバーなどのショットにもいえますが、上手な人とそうでない人の一番の違いはインパクトゾーンの長さです。
── 長いインパクトゾーンをつくる練習法を教えてください。
森 竹ぼうきで落ち葉を払うイメージで、クラブヘッドを真っすぐ引きずる練習が最適です。
── 左手首を掌屈させないと、長く引きずることができないことがよくわかりますね。
森 この感覚でインパクトすればザックリは絶対に出ませんし、実をいえばドライバーの飛距離アップにも直結するのです。
【ドリル】クラブヘッドをひきずってみよう
森 右足外の前から左足外の前に向かってクラブヘッドを50㌢ほど真っすぐ動かしてください。ロフトを立てる感覚や左手首の掌屈がよくわかりますよ。
ヘッドを返すアプローチショット
Text/Takashi Mishiro
Photo/Hiroaki Arihara
週刊GD2018年11月13日号より
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