より遠くへ飛ばすことを目指し、南出仁寛が作り出した「スプリント打法」。その南出のスウィングを分析したクォン教授は「これはまさに反力打法だ!」と絶賛。そして、2人の技術対談が実現した。飛ばしの声を聞いていこう!

画像: 南出仁寛プロ 1978年生まれ。ドラコンのトッププロとして世界で戦う。432ヤードの日本記録を持つ。「スプリント打法」を提唱、アマチュアにもレッスンを行う

南出仁寛プロ1978年生まれ。ドラコンのトッププロとして世界で戦う。432ヤードの日本記録を持つ。「スプリント打法」を提唱、アマチュアにもレッスンを行う

画像: 吉田洋一郎プロ 1978年生まれ。世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収するスウィング研究家。クォン教授との「反力打法」を週刊GD誌で連載中

吉田洋一郎プロ1978年生まれ。世界の名だたるコーチのもとを訪れ、最新理論を直接吸収するスウィング研究家。クォン教授との「反力打法」を週刊GD誌で連載中

スプリント打法も、反力打法も、「右ひざを伸ばしてテークバック」

吉田 スプリント打法はどのようにして生まれたのですか?

南出 腰のケガが原因でした。ケガをしないためにはどうしたらいいのか。また、体格の違う海外の選手に飛距離で追いつくことを考えたとき、足を使うことに行きついたんです。

吉田 足を使って振ることは反力打法の基本の部分です。ただ、地面からのパワーを受けるということを初めて聞いたときは、わけがわかりませんでした。

南出 自分は昔、体重移動をして、思い切り横回転するスウィングをしていました。そのほうが飛ぶと思っていましたが、横回転のスウィングだと手元が動きすぎて思っていたよりも飛距離は出せなかったんです。

吉田 それはわかります。反力打法では「テークバックで右ひざは動かしていい」と言っていますが、それまでの考え方は「右ひざは止める」というもの。一瞬でも動いてはいけない。そう教わってきました。

画像: 「右ひざを伸ばす=地面を踏む」、一連の動作が両理論の骨格だ

「右ひざを伸ばす=地面を踏む」、一連の動作が両理論の骨格だ

南出 ダウンでも左に踏み込んで、そこで我慢して体にロックをかけることでヘッドを走らせて打っていた感じです。

吉田 でも、その動きだと体にかなり負担がかかるスウィングになりますよね?

南出 そうなんです。体にブレーキをかけることは、体のどこかに無理が生じます。自分は腰を痛めてしまったわけです。

吉田 スウィングは窮屈で苦しいのがいいと、わけのわからないことを思っていました。

南出 自分も苦しいと感じながらスウィングするものだと思っていましたよ(笑)。

吉田 スウィングを変えているとき、違和感はなかったでしたか?

南出 もちろんありました。ただ、スウィングを回転で考えた場合、横よりもその場で回ったほうが速いのではと思っていました。だからあとはどうやってそのスピードを出していくかが課題だったわけです。それで足を動かしていくほうが楽に速く回れることに気づいたわけです。

吉田 なるほど。僕も違和感はかなりありましたね。ただ、クォン教授と出会って、データを見せられていくうちに「これでいいんだ!」という感覚に変化していったんです。それでもこの動き方はまだまだ多くのゴルファーにとって特殊な動きだと思われがちです。南出プロはどのように説得力を持たせているのでしょう?

南出 自分の場合はまずその場で歩いてくださいと教えます。「歩く動作なら誰にでもできますよね」と。

吉田 なるほど。確かに反力打法も筋力がある海外の選手だけができる、特別な打ち方だと思われがちですからね。

南出 誤解されている部分です。特別な力が必要なわけではない。例えるなら、自転車に乗るようなものなんですよね。

吉田 そう。誰にでもできるメソッドで、かなりの効果が期待できるものだということを今回は南出プロのスウィングを使って説明できればと思っています。

始動から右ひざを‟ゆっくりじわ~っ”と伸ばしていく。大きな反力が生まれる

吉田 早速技術的なこと聞きたいのですが、始動では、南出プロはどのようなことを意識していますか?

南出 足を使うために始動から右ひざを伸ばすように使っています。「ゆっくりじわぁ〜っと伸ばしていく」感じです。

吉田 意識が足にあるから上半身の形がキープされるわけですね。写真(下)を見ればわかるようにシャフトが逆しなりを起こしています。これは手元よりもヘッドが遅れて上がっている証拠で、足を使わないと起こらない現象です。

画像: テークバックの始動でシャフトが逆にしなる。「右足で地面を踏まない限り、このしなりは起きません」(吉田)

テークバックの始動でシャフトが逆にしなる。「右足で地面を踏まない限り、このしなりは起きません」(吉田)

南出 結局、右ひざを伸ばすときに地面を踏んでいるんですよね。足踏みをしている感覚で、その延長で体が回っているだけです。

吉田 それが反力なんです。要は右かかとを踏み込むことで地面から上に力が働いていきます。力の働き方として上に行ったものは、次は下に向かうわけで、つまりはダウンスウィングで下に力が向かっていくことに繋がるんです。

南出 なるほど。だから楽にトップで力を溜められるようになったわけですね。

画像: 図は南出プロのスウィングをデータ化したもの。赤線は右足、青線は左足で、地面からの反力を示したもの。黒線は赤と青の合力で、始動で地面を踏むことで、上向きの力が発生し、その反動でクラブが上がっていることがわかる

図は南出プロのスウィングをデータ化したもの。赤線は右足、青線は左足で、地面からの反力を示したもの。黒線は赤と青の合力で、始動で地面を踏むことで、上向きの力が発生し、その反動でクラブが上がっていることがわかる

【アドレスのポイント】体の重心を意識しながら立つ

画像: 胸を張らずに前傾したほうが足踏みをしやすい。地面反力が使えるアドレス

胸を張らずに前傾したほうが足踏みをしやすい。地面反力が使えるアドレス

【テークバックのポイント】左足かかとは浮いていい

画像: 足を止めようとすると上半身に余計な力が発生する。足は動かしていいと思うと、上半身も脱力した状態になる

足を止めようとすると上半身に余計な力が発生する。足は動かしていいと思うと、上半身も脱力した状態になる

切り返しで、しゃがむように“スクワット”反力がマックスに!

吉田 テークバックで下から上に力が働きました。あとはそこから下への力が自然に発生するわけですが、切り返しで南出プロが意識していることは?

南出 体が沈みこむようにしゃがむ動きを入れています。このとき、クラブはトップの位置に置いたままのイメージを持っています。

吉田 なるほど。素晴らしいですね。スウィング中に体が上下動するのはタブーとされてきましたが、実際は上下動を使ってスウィングするほうがヘッドスピードを上げるには効果的です。

画像: 右足を伸ばしてトップへ

右足を伸ばしてトップへ

画像: 上半身はトップのまま、スクワットするように下半身を沈み込ませる。「つまり、地面を強く踏んでいるわkです」(吉田)

上半身はトップのまま、スクワットするように下半身を沈み込ませる。「つまり、地面を強く踏んでいるわkです」(吉田)

画像: 切り返しからダウンにかけては、両足に反力が生まれるが、左がより強くなる。力のベクトルが左股関節を通り、頭の上まで突き抜ける

切り返しからダウンにかけては、両足に反力が生まれるが、左がより強くなる。力のベクトルが左股関節を通り、頭の上まで突き抜ける

南出 しゃがむように沈み込む動きを入れることで、確かに速く振れるようになりました。吉田プロから見て、私のメカニズムは?

吉田 南出プロの沈み込む動きは、切り返しで左にしっかり踏み込み、地面に圧をかけることを意味します。そして、左に踏むことで生まれた地面反力を、左ひざを伸ばしながら左股関節を切り上げることで体を回転させています。また、踏み込むことで、力のベクトルが左へ傾き、左股関節を突き抜けるように進むため、スムーズな回転ができるというわけです。

しゃがむように沈み、左ひざを伸ばす

南出 下から上に力が働くから軸がブレずにその場で回転することができているわけですか?

吉田 そのとおりです。よく左のカべという表現をしますが、反力を使えば自然にできるもので、軸が整うからカベもできるし回転力も大きくなるわけです。

ダウンからは左ひざを伸ばしていく。軸回転が生まれる

画像: インパクトからフォローにかけて左ひざを伸ばすことでスムーズな回転が生まれる。「踏ん張る意識はありません」(南出・吉田)

インパクトからフォローにかけて左ひざを伸ばすことでスムーズな回転が生まれる。「踏ん張る意識はありません」(南出・吉田)

画像: 足を積極的に使うことで、速く振る力を得た南出。腕力や筋力に頼らなくても「地面反力を使えばまだまだ速く振れる可能性があると確認できました」(南出)

足を積極的に使うことで、速く振る力を得た南出。腕力や筋力に頼らなくても「地面反力を使えばまだまだ速く振れる可能性があると確認できました」(南出)

クルッと回って反力を体感しよう

吉田 では最後に、反力を使ったスウィングを体感できるドリルを南出プロにもやってもらいます。

南出 ドリルですか?

吉田 テークバックで右足を踏んだら、トップから左に踏み込みながらジャンプします。するとクルッと一回転できるはずです。

トップの体勢からジャンプ回転

画像: 右足を踏んだバックスウィングから、切り返しと同時、左に踏み込んでそのままジャンプ。筋肉がなくても回転スピードを速くなることが実感できる

右足を踏んだバックスウィングから、切り返しと同時、左に踏み込んでそのままジャンプ。筋肉がなくても回転スピードを速くなることが実感できる

南出 確かに回っちゃいますね。腕を振ろうと意識してもこれだけ振ることはできませんね。

吉田 これはフィギアスケートのジャンプと同じ原理で、反力で回転力を最大に高められることを体感するドリルです。

地面の力を意識してジャンプ

画像: フィギアスケートであれだけの回転ができるのは地面の力を利用しているから。まずは回転できるということを体感することから始める

フィギアスケートであれだけの回転ができるのは地面の力を利用しているから。まずは回転できるということを体感することから始める

南出 まだまだ飛ばせる実感を得た対談になりました。吉田プロ、ありがとうございます。

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TEXT/Masato Ideshima

PHOTO/Hiroshi Yatabe、Shinji Osawa

週刊GD2018年12月18日号より

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