UTでどんなミスが出がち? ミスの種類で合うシャフトがわかる
アマチュアが苦手とする150~200ヤードをカバーしてくれるユーティリティ(UT)は、使用頻度が高いクラブ。ところが「アイアンは好きなのにUTは苦手」、「FWは当たるけどUTは打てない」という人が多いのも事実。
そういう人こそ「シャフトを疑うべき」と語るのは試打のスペシャリスト・堀越良和プロ。なぜなら、UTのシャフトが「軽すぎる」「硬すぎる」ケースが多いのだという。
堀越 ドライバーのシャフトが50g台だとしたら、UTのシャフトは70~80g台が適正です。ところが最近のUTは50g台の純正シャフトが挿さっているモデルが多いんです。確かに軽いほうがヘッドスピードが上がるので、一発の飛びはありますが、クラブセットの中でUTだけが異質なクラブになってしまっています」
クラブセッティングでは、各クラブの「重さ」と「長さ」と「フレックス」の階段を揃えることが基本。きちんとフローが整っていれば、違う番手を持っても同じような感覚で振れるが、それがバラバラになっているケースが多いのだ。
堀越 UTのシャフトが合っているかは、ミスの傾向で分かりますよ。さっそく見ていきましょう。
【ミス】トップ・チョロ
【原因】シャフトが軽すぎ。軽いと手元が浮きやすい
【ミス】打点がバラつく
【原因】シャフトが重すぎ。オーバースウィングになりやすい
【ミス】ダフリ・スライス
【原因】シャフトが硬すぎ。硬いと力みやすい
UTに適したシャフト重量を知っておこう
【シャフト重量の目安】
1W:50g
FW:60~70g
UT:70~80g
アイアン:90g台
(1Wのシャフトが60gの場合は、それぞれ10gプラス)
堀越 番手が小さく(短く)なるにつれ、クラブは重くなるのが大原則。重量が適正にフローしなければ、振り感やタイミングが揃わなくなるのは当たり前です。UTの純正シャフトはドライバーのものを流用しているケースも多く、軽すぎる傾向が強いんです。
主要ブランドーのUT専用シャフトを打ち比べ
「UTこそリシャフト!」という堀越プロに、「UT専用シャフト」6モデルを試打してもらった。すると、走り感があって球がつかまる&上がるモデルもあれば、しっかり感があってコントロールしやすく、球が左に行きにくいモデルもあり、それぞれに個性があった。
アッタスHY IPブルー(USTマミヤ)「スチールシャフト感覚で打てる」
堀越 手元から中間がしっかりしていて、スチールに近いコントロール性があります。でも弾道の高さは出るし、球も強い。HS43m/s以上のスウィングができている人向き。
アッタスHY IPブルー ラインナップ
HY65(R 65g・S 68g)
HY75(R 77g・S 78g)
HY85(S 88g・X 88g)
HY95(S 97g・X 98g)
MCH(フジクラ)「手元が重く、手が浮きにくい」
堀越 全体的にしっかりしていますが、先のほうがやや走るので、球がほどよくつかまって上がります。手元が重く先がしなるので、気持ちよく振り切れます。HSも上がって飛ぶ印象。
MCH ラインナップ
50(R 53.5g・S 55.0g)
60(R 63.5g・S 65.0g)
70(R 76.0g・S 77.5g・X 80.5)
80(S 85.0g・X 86.5g)
90(S 93.5g・X 95.0g)
100(S 104.0g・X 106.0g)
エアスピーダーUT for Utility(フジクラ)「女性やシニアに合う、重量は40.5g」
堀越 シャフトが軽く、すごくしなる。しかもトルクが大きいからテークバックがスッとあがります。HS40m/s以下の人でも「つかまる・上がる・飛ぶ」で、打つのが楽しくなるはず。重量は40.5gなので女性やシニアにも合います。
ツアーAD DIハイブリッド(グラファイトデザイン)「重量と硬さを選べば誰でも合いそう」
堀越 手元がしっかりしていて中間がややゆるめなスチールっぽさがありつつ、滑らかなカーボンの良さもあります。動きが素直で余計なことをしないUTのスタンダード的なモデルです。
ツアーAD DIハイブリッド ラインナップ
DI-75(R S X 78g)
DI-85(R S 87g X 88g)
DI-95(S 98g X 99g)
DI-105(S 106g X 109g)
ツアーAD U(グラファイトデザイン)「重量感がある。軽すぎてミスするタイプに」
堀越 全体的にしっかり感があり、重量感もあります。スチールみたいに当たり負けがなく、操作しやすく、シャフトがでしゃばらない。左へのミスを抑えたいアスリート向けです。
ツアーAD Uラインナップ
U-55(R S 59g)
U-65(R 68g S 69g)
U-75(R 78g S 79g)
U-85(R 85g S 86g X 87g)
U-95(S 95g X 96g)
OTツアーハイブリッド(三菱ケミカル)「ロフトどおりに球が上がって飛ぶ」
堀越 ハードな印象ですが、振ってみるとそうでもない。ロフトなりに球が上がりやすく、イメージに近い弾道で安定性も高いです。球が左に行かないので思い切って振り抜けます。
OTツアーハイブリッド ラインナップ
H80(R 85g S 89g X 95g)
H90(S 97g X 102g)
H100(X 108g)
大切なのは、1発の飛びより、球のつかまりと上がりやすさ
堀越 UTは飛距離を求めるクラブではありません。球を拾う、上げる、止めるのがメインなのでショットの安定性が重要になります。
ウッドとアイアンのつなぎ役になるUTは、使い勝手が良く、用途が広いぶん、ともすると中途半端な位置づけになりやすく、シャフトのスペックがないがしろにされがち。
堀越 まずは重さの階段を揃えながら、自分の技量やヘッドスピードに合うシャフトを選んでいきましょう。UTは気に入った1本を見つけると長く使い続けられますよ。
週刊GD2019年3月12日号より