今やクラブセッティングに欠かせない存在のユーティリティ(UT)。長めの距離のパー3はもちろん、ラフや斜面など、様々な場面で使いたいもの。それなのに実際には、当たったり、当たらなかったりの繰り返しという人も多いのでは。数多くのギアを試打してきた堀越良和プロは、やさしいはずのユーティリティが苦手というのは、「シャフトが『軽すぎ』か『硬すぎ』のケースが多いんです」と指摘する。使用頻度の高いUTだけに、自分に合ったクラブに仕上げて「頼れる武器」にしたいもの。その秘訣を聞いた。
画像: 【解説・試打/堀越良和プロ】 週刊GD連載「ギアログ」でお馴染み。これまでに2000本以上を試打分析してきたギアテストの達人


【解説・試打/堀越良和プロ】
週刊GD連載「ギアログ」でお馴染み。これまでに2000本以上を試打分析してきたギアテストの達人

UTでどんなミスが出がち? ミスの種類で合うシャフトがわかる

画像: UTでどんなミスが出がち? ミスの種類で合うシャフトがわかる

アマチュアが苦手とする150~200ヤードをカバーしてくれるユーティリティ(UT)は、使用頻度が高いクラブ。ところが「アイアンは好きなのにUTは苦手」、「FWは当たるけどUTは打てない」という人が多いのも事実。

そういう人こそ「シャフトを疑うべき」と語るのは試打のスペシャリスト・堀越良和プロ。なぜなら、UTのシャフトが「軽すぎる」「硬すぎる」ケースが多いのだという。

堀越 ドライバーのシャフトが50g台だとしたら、UTのシャフトは70~80g台が適正です。ところが最近のUTは50g台の純正シャフトが挿さっているモデルが多いんです。確かに軽いほうがヘッドスピードが上がるので、一発の飛びはありますが、クラブセットの中でUTだけが異質なクラブになってしまっています」

クラブセッティングでは、各クラブの「重さ」と「長さ」と「フレックス」の階段を揃えることが基本。きちんとフローが整っていれば、違う番手を持っても同じような感覚で振れるが、それがバラバラになっているケースが多いのだ。

堀越 UTのシャフトが合っているかは、ミスの傾向で分かりますよ。さっそく見ていきましょう。

【ミス】トップ・チョロ
【原因】シャフトが軽すぎ。軽いと手元が浮きやすい

画像: シャフトが軽すぎると、インパクトにかけて手元が浮いて前に流れてしまい、振り遅れてトップやチョロにになりやすい。

シャフトが軽すぎると、インパクトにかけて手元が浮いて前に流れてしまい、振り遅れてトップやチョロにになりやすい。

【ミス】打点がバラつく
【原因】シャフトが重すぎ。オーバースウィングになりやすい

画像: シャフトが重すぎるとオーバースウィングになりやすく、その結果、ミート率が下がってしまい打点にバラつきが出てしまう。

シャフトが重すぎるとオーバースウィングになりやすく、その結果、ミート率が下がってしまい打点にバラつきが出てしまう。

【ミス】ダフリ・スライス
【原因】シャフトが硬すぎ。硬いと力みやすい

画像: しならせようと力が入りやすく、クラブをアウトサイドから引き下ろしてかットスライスになったり、ダフったり、それを嫌がってチーピンが出ることも

しならせようと力が入りやすく、クラブをアウトサイドから引き下ろしてかットスライスになったり、ダフったり、それを嫌がってチーピンが出ることも

UTに適したシャフト重量を知っておこう

【シャフト重量の目安】       
1W:50g
FW:60~70g
UT:70~80g
アイアン:90g台
(1Wのシャフトが60gの場合は、それぞれ10gプラス)

堀越 番手が小さく(短く)なるにつれ、クラブは重くなるのが大原則。重量が適正にフローしなければ、振り感やタイミングが揃わなくなるのは当たり前です。UTの純正シャフトはドライバーのものを流用しているケースも多く、軽すぎる傾向が強いんです。

主要ブランドーのUT専用シャフトを打ち比べ

画像: 主要ブランドーのUT専用シャフトを打ち比べ

「UTこそリシャフト!」という堀越プロに、「UT専用シャフト」6モデルを試打してもらった。すると、走り感があって球がつかまる&上がるモデルもあれば、しっかり感があってコントロールしやすく、球が左に行きにくいモデルもあり、それぞれに個性があった。

アッタスHY IPブルー(USTマミヤ)「スチールシャフト感覚で打てる」

画像: アッタスHY IPブルー(USTマミヤ)「スチールシャフト感覚で打てる」

堀越 手元から中間がしっかりしていて、スチールに近いコントロール性があります。でも弾道の高さは出るし、球も強い。HS43m/s以上のスウィングができている人向き。

アッタスHY IPブルー ラインナップ
HY65(R 65g・S 68g)
HY75(R 77g・S 78g)
HY85(S 88g・X 88g)
HY95(S 97g・X 98g)

MCH(フジクラ)「手元が重く、手が浮きにくい」

画像: MCH(フジクラ)「手元が重く、手が浮きにくい」

堀越 全体的にしっかりしていますが、先のほうがやや走るので、球がほどよくつかまって上がります。手元が重く先がしなるので、気持ちよく振り切れます。HSも上がって飛ぶ印象。

MCH ラインナップ
50(R 53.5g・S 55.0g)
60(R 63.5g・S 65.0g)
70(R 76.0g・S 77.5g・X 80.5)
80(S 85.0g・X 86.5g)
90(S 93.5g・X 95.0g)
100(S 104.0g・X 106.0g)

エアスピーダーUT for Utility(フジクラ)「女性やシニアに合う、重量は40.5g」

画像: エアスピーダーUT for Utility(フジクラ)「女性やシニアに合う、重量は40.5g」

堀越 シャフトが軽く、すごくしなる。しかもトルクが大きいからテークバックがスッとあがります。HS40m/s以下の人でも「つかまる・上がる・飛ぶ」で、打つのが楽しくなるはず。重量は40.5gなので女性やシニアにも合います。

ツアーAD DIハイブリッド(グラファイトデザイン)「重量と硬さを選べば誰でも合いそう」

画像: ツアーAD DIハイブリッド(グラファイトデザイン)「重量と硬さを選べば誰でも合いそう」

堀越 手元がしっかりしていて中間がややゆるめなスチールっぽさがありつつ、滑らかなカーボンの良さもあります。動きが素直で余計なことをしないUTのスタンダード的なモデルです。

ツアーAD DIハイブリッド ラインナップ
DI-75(R S X 78g)
DI-85(R S 87g X 88g)
DI-95(S 98g X 99g)
DI-105(S 106g X 109g)

ツアーAD U(グラファイトデザイン)「重量感がある。軽すぎてミスするタイプに」

画像: ツアーAD U(グラファイトデザイン)「重量感がある。軽すぎてミスするタイプに」

堀越 全体的にしっかり感があり、重量感もあります。スチールみたいに当たり負けがなく、操作しやすく、シャフトがでしゃばらない。左へのミスを抑えたいアスリート向けです。

ツアーAD Uラインナップ
U-55(R S 59g)
U-65(R 68g S 69g)
U-75(R 78g S 79g)
U-85(R 85g S 86g X 87g)
U-95(S 95g X 96g)

OTツアーハイブリッド(三菱ケミカル)「ロフトどおりに球が上がって飛ぶ」

画像: OTツアーハイブリッド(三菱ケミカル)「ロフトどおりに球が上がって飛ぶ」

堀越 ハードな印象ですが、振ってみるとそうでもない。ロフトなりに球が上がりやすく、イメージに近い弾道で安定性も高いです。球が左に行かないので思い切って振り抜けます。

OTツアーハイブリッド ラインナップ
H80(R 85g S 89g X 95g)
H90(S 97g X 102g)
H100(X 108g)

大切なのは、1発の飛びより、球のつかまりと上がりやすさ

堀越 UTは飛距離を求めるクラブではありません。球を拾う、上げる、止めるのがメインなのでショットの安定性が重要になります。

ウッドとアイアンのつなぎ役になるUTは、使い勝手が良く、用途が広いぶん、ともすると中途半端な位置づけになりやすく、シャフトのスペックがないがしろにされがち。

堀越 まずは重さの階段を揃えながら、自分の技量やヘッドスピードに合うシャフトを選んでいきましょう。UTは気に入った1本を見つけると長く使い続けられますよ。

画像: 大切なのは、1発の飛びより、球のつかまりと上がりやすさ

週刊GD2019年3月12日号より

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