あのパットさえ入っていたら…。どうしてあそこで3パットしちゃったんだ~? 
ゴルファーなら誰だってひとつやふたつ、苦い経験を心の奥に秘めている。ストロークの実に4割を占めるパットはもったいない①打になってしまう反面、スコアを縮める突破口にもなり得るのだ。ここはひとつ、パット上手で知られる時松隆光プロと香妻陣一朗プロの九州仲良しコンビに聞いてみよう。さぁ、あなたのパッティングのヒントになるのはゲンくん方式か! ジンくん方式か!
画像: 【パッティング(前編)】苦手なラインにさようなら。時松&香妻プロがパットの悩み全部解決します!

【香妻陣一朗プロ】

こうづまじんいちろう。1994年生まれ。鹿児島県出身。横峯さくらプロの父・良郎氏が作った「めだかクラブ」で、姉・琴乃プロとともにゴルフを覚えた。2019年、ラウンド当たりの平均パット数は28.01で堂々の1位。賞金シードも復活し、次にめざすはツアー優勝だ

【時松隆光プロ】

ときまつりゅうこう。1993年生まれ。福岡県出身。桜美式ゴルフを極め、ツアー3勝。今シーズンは選手会長も務め、名実ともにツアーを牽引するひとりに。本名の源蔵から「げんちゃん」と呼ばれる愛されキャラは、スポーツバラエティ番組でもおなじみ。筑紫ヶ丘GC所属

【ラインの読み方】
歩いてグリーンに上がる

香妻 今日はツアー屈指のパット巧者といわれるゲンくんとパッティングのレッスン取材。勉強させてもらいます!

時松 昨年だって、ツアーの平均パット数ランクは、ジンのほうが上位じゃない!

香妻 ボクらはグリーンの傾斜を知ったうえで試合を戦っている。でも、アマチュアの方はそうじゃないよね。

時松 そう。でも、グリーンに上がってから傾斜を読んでいたら、時間もかかるし、正確な判断ができないよね。

香妻 グリーンの手前から、歩きながらグリーン全体の傾斜を見れば、ある程度の状況はつかめるよね。

画像: 「自分がカートを運転するとき以外は、グリーンの手前から歩いて上がるようにするといいんです。手前の花道あたりから、グリーンの高い場所と低い場所をチェックします。それで自分のボールがどういう状況にあるかが、ある程度はつかめます」(時松)

「自分がカートを運転するとき以外は、グリーンの手前から歩いて上がるようにするといいんです。手前の花道あたりから、グリーンの高い場所と低い場所をチェックします。それで自分のボールがどういう状況にあるかが、ある程度はつかめます」(時松)

時松 できれば最後までカートに乗らないで、歩いてグリーンに上がるといいよね。いちばん低い位置から、全体の傾斜を把握しておけるから。

上り10㍍。時松式
ライン読みのルーティン

画像1: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン
画像2: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン
画像3: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン
画像4: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン
画像5: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン
画像6: 上り10㍍。時松式 ライン読みのルーティン

【時松流】
芯の少し下が
おいしい打点

―― 高校卒業後、すぐにプロ転向を果たした時松。ルーキー時代からパット巧者ぶりを見せつけ、いまもツアープロたちから一目置かれる存在だ。

時松 パットはパターの芯で打つのが基本と言われますけど、ボクは芯よりもほんの少し下でヒットしています。フェースの面を変えず、芯の少し下でアッパーにボールの芯をとらえていくんです。

―― いわゆる、〝ライジングパット〞と言われる、時松流のパッティングスタイルだ。

時松 ボールにオーバースピンをかけるイメージ。そのほうが順回転で転がりがよくなるので、傾斜や芝目に負けにくく、ラインに乗せやすいんです。

―― 特徴的なのが、フォローでの左ひじの抜き方だ。

時松 大文字の“Y”の形をキープしたまま、フォローでヘッドを上昇させていくんです。カップまで上りでも下りでも、打ち方は変えないほうが、タッチが合いやすいですよ。

打ち方のポイント①
パターの芯の少し下で打つ

パターのフェースに打点シールを貼って打ってもらうと、芯よりも少し下に跡がついた。

時松 自分のイメージどおりですね。ボクにとっては、ここがパターの“芯”なんです。正確にここでヒットできているときは、パットの調子がよくて、上位争いできます。

画像: 打ち方のポイント① パターの芯の少し下で打つ

打ち方のポイント②
ライジング軌道でラインに乗せる

時松 パターのヘッド軌道の最下点を少し過ぎたところでインパクトして、ボールに順回転をかけていくつもりで、アッパーにストロークします。これが、傾斜や芝目に負けずに転がる秘密。ただ、以前に比べるとアッパーの度合いは小さくなりました。

画像: オーバースピンをかけるイメージです

オーバースピンをかけるイメージです

打ち方のポイント③
大文字の「Y」の
形のまま左ひじを抜く

時松 アドレスでは両ひじを曲げて、アルファベットの大文字の“Y”の形になるように、左右対称に構えます。両腕でできた五角形を崩さないように、フォローでは左ひじを抜いていきます。ヘッドを低く真っすぐ出そうとして、小文字の“y”になるのはNGです。

画像: 〇大文字の「Y」が正解です、×小文字の「y 」だとフォローが詰まります

〇大文字の「Y」が正解です、×小文字の「y 」だとフォローが詰まります

打ち方のポイント④
上りも下りも
打ち方はまったく同じ

時松 下りのときは芯を外して打ったり、打ち方を変えるプロもいますが、ボクは上りも下りも同じ打ち方です。そのほうがボールの転がり方が一定になるので、タッチも合わせやすいし、打ち出しの方向も正確になります。

画像1: 打ち方のポイント④ 上りも下りも 打ち方はまったく同じ
画像2: 打ち方のポイント④ 上りも下りも 打ち方はまったく同じ

【香妻流】
打ち終わるまで
顔を上げない

―― 19年シーズン、ラウンドの平均パット数で1位、パーオンホールの平均パット数で3位だった香妻。いまやツアー屈指のパット巧者と言われる彼に、そのコツを聞いてみた。

香妻 特別なことは何もしていないんですよ。パットでいちばん大事なのは、狙った方向に、いかに正確に打ち出せるか。それにはヘッドを暴れさせないこと。インパクトからフォローで手元が浮くと、ヘッドが暴れて、フェースも開いてしまいます。右手首の角度をキープしたまま、ほんの少しダウンブローにボールをとらえるイメージです。

画像: 【香妻流】 打ち終わるまで 顔を上げない

―― アッパーにとらえる時松とはイメージが逆だが…。

香妻 プロによってもタイプが違うので、自分に合うほうを見つけるといいですよね。ダウンブローが合うなら、フィニッシュまで顔を上げずに我慢。インパクトが安定しますよ。

打ち方のポイント①
右手首の角度を保つ

香妻 アドレスでできた右手首の角度を、ストローク中はずっとキープします。パットは右手の感覚を大事にしているので、右手のひらでフェース面を意識。ややダウンブローにとらえて、自然なイン・トウ・イン軌道でストロークしています。

画像: 打ち方のポイント① 右手首の角度を保つ

打ち方のポイント②
フィニッシュまで顔を上げない

香妻 右手首の角度をキープすると同時に、打った後もボールがあった場所を見続けることも、インパクトからフォローで手元を浮かせないためには大事です。ヘッドアップすると、手元も体も浮いてしまいます。インパクト後はワンテンポ遅らせて、ボールを目で追います。

画像1: 打ち方のポイント② フィニッシュまで顔を上げない
画像2: 打ち方のポイント② フィニッシュまで顔を上げない

パットの精度を上げる練習

【練習法1】
パターマットの線の上を真っすぐ転がす

香妻 カップまで真っすぐの線が引いてあるパターマットがベストです。線の上にボールを置いて、ひたすらその線上を真っすぐ転がす練習が効果的。フェースの向きもチェックできるし、転がりもきれいになります。

画像1: パットの精度を上げる練習

【練習法2】
カップの左右からカップインさせる

香妻 コースの練習グリーンでは、ただ漠然とカップに入れるのではなく、カップの手前にティを刺し、右から入れたり、左から入れたりする練習が精度アップには効果的。曲がるラインの練習にもなります。

画像2: パットの精度を上げる練習

TEXT/Toshiyuki Funayama

PHOTO/Yasuo Masuda、
チームはちどり(ドローン撮影)
Tadashi Anezaki

週刊ゴルフダイジェスト2020年5月5日号より

自宅でのパッティング練習が劇的に成果アップ!

画像: golfdigest-play.jp
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