稲見萌寧プロ(左)
いなみもね。1999年生まれ千葉県出身。昨年、センチュリー21レディスでツアー初優勝を果たす。
オリンピックランキングで日本人4番手につける
高橋彩華プロ(中)
たかはしさやか。1998年生まれ新潟県出身。黄金世代の一人としてアマチュア時代から注目を集めていた選手。初優勝が期待される選手のひ
三ヶ島かな(右)
みかしまかな。1996年生まれ福岡県出身。昨年は、優勝こそないものの、賞金ランク24位に入る活躍。飛距離アップをはかり、初優勝を目指す
【三ヶ島かな】
お尻で飛ばす!
―― オフシーズンに三ヶ島が本格的に取り組んだスウィング改造が軸の意識改革だ。以前は右から左へ移動させながら打っていたのをその場の回転で振るようにした。
三ヶ島 ずっとドローが持ち球だと思って打っていました。でも実は、私の持ち球はフェードだったんです。思い切り気持ちよく振り切れたときはフェードが出ていて……データをとっても飛んでいるときはフェードだったんです。それに気づいてから、インパクトで腕が詰まったり、体が起き上がったりする動きがなくなりました。腕が振れて、ヘッドも走るようになったので、飛距離は前よりも飛んでいると思います。
―― ドローを打ちたいから打っていたのではなく、ドローが持ち球だという思い込みから、ドローが出ないと不安になっていた。その結果、インパクトで手をこねる動きを招いていたと話す。
三ヶ島 今はとにかくお尻の位置を変えないように意識しています。すると体の軸が整って、その場でスムーズに回転できるし、腕も振れるんです。
お尻キープしやすくなる2つのポイント
ポイント①
切り返しで左ひざを開く
切り返しで左ひざを外側に開くように動かすことで、お尻の位置が変わらずクラブが下ろせる。
「切り返しのタイミングを自分なりにつかむことでスムーズな切り返しができます」
ポイント②
体の右側でスウィングを終わらせるイメージ
昨年までのスウィングでは左足の前に頭を移動させるイメージだったが、今はその場で回転するだけ。形だけを見ると右足の上で回転しているが、右サイドを使っているわけではなく左サイドで引っ張っている。
トップからお尻の位置はまったく変えない意識です
★こぼれ話
「青木翔コーチに指導をお願いしました」
昨年の途中から何度かアドバイスをもらっていたが、オフに入ってから本格的に青木翔コーチに指導を受けるようになった。自分がやりたいことを伝え、それを元に今の打ち方にたどり着いた。まだまだ道の途中だが、スウィングに対する考え方が180度変わったと話す。
PWのマン振りが効く
―― お尻で飛ばすスウィングを身につけるために三ヶ島が行っている練習がある。それが、PWでマン振りする練習だ。
三ヶ島 PWは昔から私の練習の基本のクラブですが、このオフはとくに振りました。PWで打つ理由は、クラブが短いので、スウィング中にヘッドの位置を意識しやすいから。クラブをある程度操作できないと、スウィングを固めるのは難しいと考えているので、PWでひたすら打っていました。ただ、軽く振ったら、手で操作できてしまうので意味がありません。
―― 三ヶ島はPWでコントロールショットをするわけではない。とにかく思い切り『マン振り』をする。これは、体の動かし方をマスターするのに非常に効果的だと本人は話す。
三ヶ島 PWはクラブ自体に重さがあるのでマン振りするのって結構疲れるんです。手でマン振りをしようとしても数回しか振れません。だから、体の大きな部分を使わなければならないんです。それが私はお尻を意識することだったというわけです。PWのマン振りはそれをマスターするための練習です。
―― 目一杯振って、フィニッシュまで振り切れればお尻は動いていない証拠だ。
ポイント①
打球は気にせずとにかくマン振り
実際にマン振りでボールを打つときにいい球を打つ必要はない。とにかく体の動きに集中して、バランスよく振り切ることだけを考える。インパクトを意識すると、体が止まって合わせる動きが入ってしまう。
ポイント②
一球一球お尻の動かし方を確認
マン振りしたときにフィニッシュでピタッと止まれるかどうかは上手く振れているかのバロメーターになる。三ヶ島のように左右の動きが大きいタイプは右に残るくらいの意識が必要になる。
手で合わせる動作がなくなりました
【高橋彩華】
足裏で飛ばす!
―― 高橋彩華は足の裏で地面を踏むことで飛距離が伸びたと話す。そして、それまでは腕の力に頼ったスウィングをしていたと続ける。
高橋 私の悪い癖は、腕の力を使って飛ばそうとしてしまうことです。しかし、足の裏を意識することで克服でき、飛距離が伸びたんです。
―― 足の裏、とくに足の内側に力を入れることが大切だと言う。テークバックでは右足の内側に力を入れて、切り返しからダウンでは左足裏の内側で受け止める。後はインパクトからフォローにかけて受け止めたパワーを爆発させるというわけだ。
高橋 なぜ足の内側かというと、外側だと左右の体重移動が大きくなって力が逃げてしまうんです。すると体の軸がブレてその場で回転することができなくなる。内側に力を入れると軸が安定して、スウィングの再現性も高くなるんです。地面の力を使えるようになり、自分のパワー以上の力が出せるようになりました。
ポイント①
外側ではなく
内側に力を入れる
テークバックで右足裏の内側に力を入れると、体重を股関節で受け止めることができる。トップの位置が自然に決まり、力が溜まった状態が作れるようになった。
ポイント②
フォローでは
左足の内側で踏ん張る
ダウンでは左足内側に力を入れてしっかり力を受け止める。これによって足がめくれなくなり、インパクトで効率よくボールにエネルギーが伝わるようになった。インパクト以降は左足裏全体で地面を蹴る。
「腕は何もしない」が
究極の理想
―― 足を使う最大の理由は腕の意識を完全に消すためだ。
高橋 わかっていても力が入ってしまうのが腕です。練習ではできても本番でできなければ意味がない。でも、足の裏を意識するようになってからは不思議と腕を使う感覚が消えたんです。極端に言えばトップでクラブを置いたままにしている感覚が出てきた。それくらい腕には力が入っていないんです。
手の力みが消えて上体で打たなくなる
スウィング中にもっとも力が入るのが切り返しだが、ここで力が抜ける感覚があるとクラブは自然に下りてくれる。要するにオンプレーンにクラブが動いてくれるわけだ。
⇩⇩⇩⇩⇩
インパクトが通過点になりますよ
体の左右のブレをお尻のポジションで矯正した三ヶ島はインパクトが通過点になった。「前はすべて右サイドで球を打っていたのですが、左で引っ張れるようになってからは、インパクトを意識しなくなりました」
手の力みがとれると飛距離は確実にアップします
お腹に力を入れることで軸を中心とした回転運動でスウィングできるようになった稲見。「ヘッドを走らせようとしなくても走る感じが今はあります。体を回せばいいだけという安心感も飛距離アップにつながっています」
3人とも、腕の力みを消すために別の箇所を意識している。そして、腕の力みが消えたとき、理想的なインパクトを迎えることができるのだ。
TEXT/Masato Ideshima
PHOTO/Takanori Miki、Shinji Osawa
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