18ホールすべてから富士山が臨める絶景コース
1958年(昭和33年)開場。大型重機のない時代に「人力」によって造られた手造りコース。そのためフェアウェイには自然の傾斜があり、落とし場所が限定されるので、ドライバーでのティショットにも縦と横、両方の精度が求められる。これだけでも十分タフなのだが、コース内の所々に自然のハロー(窪地)があり、グリーンは砲台が多い。富士山の対面にある箱根外輪山にコースがあるため、ここでは「富士山に向かって順目」となる。芝目が効いているためグリーンを狙うショット、アプローチ、パットと一瞬たりとも気を抜くことができない。
またホール間のインターバルが短いのでプレーがとてもスムーズに進行していく。あえてカートに乗らず、歩きでコース内の自然を楽しむのも悪くない。18のすべてホールから望むことのできる富士山。晴天の日であれば、雄大な自然と霊峰富士が織りなす大パノラマを存分に味わうことができる。
東名高速、御殿場ICから2キロというアクセスの良さ。景観、戦略性など間違いなく一級品であることを随所で感じる富士カントリークラブでした。
【ここにも注目!】アントニン・レーモンドが設計したクラブハウスは国の登録有形文化財
質素でありながら、上品で風格漂う、木造平屋風造りのクラブハウスは、旧帝国ホテルなども手掛けたチェコ出身の建築家、アントニン・レーモンドが設計。現在は建て替えられてしまったが、レーモンドは戦前に我孫子や相模、東京(朝霞)のクラブハウスを設計。戦後は門司や東京(狭山)の設計を手掛け、特に富士カントリークラブのハウスは、国の登録有形文化財(建造物)に登録されている。
レストランやラウンジは天井を張らずに小屋組を採用し、構造物には丸太を多く使用している。石張りの暖炉などレーモンドの作風が色濃く表れている。なかでもなかでも、レストランにある大きな1枚ガラスの窓は、富士山の全姿がすっぽりと額縁にはまる「ピクチャー・ウインドー」 。大自然を感じる眺めは圧巻です
コースの格式とコンディションを考えたら……お得感がハンパない
隊長補佐 「富士カン」の愛称で親しまれる富士カントリークラブといえば、歴史と伝統のある静岡屈指の名門コースです。「みんなが楽しめる」日本のベスト100コースを探すこの企画には、ちょっと敷居が高いと思ったのですが。
隊長 ところが、ネットの予約サイトをチェックしたら、平日はもちろん、週末でもビジターのみでラウンドできて料金も総額で2万円以下で済んじゃう。
隊員 東名高速・御殿場ICから2キロというアクセスの良さ、コースの格式とコンディションを考えたら、お得感がハンパないですよね。
隊長補佐 コースは自然の地形を生かした高低差のある打ち上げ、打ち下ろしのホールが多く、ドッグレッグなども絡んで、とても戦略性が高いと思いました。
隊長 山岳コースにありがちな、打ち下ろしでチョロしたのに、ゴロゴロ転がってグリーンに乗っちゃったりとか、「無理してコース造っちゃいました」みたいなチープな感じがまったくない。大型重機もない時代に、これだけの傾斜や起伏のある土地に、手造りで造成したとは思えないぐらい完成度の高いコースです。
隊長補佐 フェアウェイやラフの芝の状態、グリーンのメンテナンスも素晴らしいです。
隊長 傾斜や起伏が強くて機械が入れないところも多いのに、すべて手作業で芝が刈られています。労を惜しまないスタッフに拍手ですね。
【それでは採点!】日本のスゴイ偉い人たちの息吹を感じる名コースです
隊員 距離は短めですが、飛ばし屋が有利というわけではなく、正確なショット、的確なコースマネジメントが要求されます。グリーンは砲台で芝目もきつめなのでアプローチやパットの技術も必要です。赤星四郎の設計コースらしく、「ゴルフの総合力」が試されるコースだと思いました。
隊長補佐 たとえ大叩きしても、このコースをラウンドした後に「楽しかった」と思える人は、ゴルフのゲームに対する理解度が深いなと思います。
隊長 こんな名コースを気軽にラウンドできるなんて、いい時代になった。名誉会員には皇族の名もあり、世界の黒沢明監督も「富士カン」のメンバーだったとか。日本のスゴイ偉い人たちが、ここで交流していたかと思うと鳥肌が立ちます。名建築家フランク・ロイド・ライトのもとで旧帝国ホテルを設計したアントニン・レーモンドのクラブハウスも一見の価値です。
【富士カントリークラブ】
静岡県御殿場市東山2472
TEL.0550‐82‐1616
18ホール/6832ヤード/パー72
コースレート72.6/スロープレート130
練習場/200ヤード、11打席
設計/赤星四郎
開場/1958年8月16日
最寄りIC/東名高速・御殿場ICから2キロ
最寄り駅/JR御殿場、小田急御殿場
公式ホームページはこちら