昭和31年10月、設計者の井上誠一は、龍ヶ崎CC新設計画書の中で「立地条件としては100点満点」と書いている。その満足感の中で、初めてのツーグリーンコースを設計する。オリジナル設計としてのツーグリーンは龍ヶ崎が第1号である。以後半世紀、ツーグリーンが日本の主流となった。

ゴルフコースことはじめ
文芸評論家を経て、ゴルフジャーナリストとしても活躍した田野辺薫氏。ゴルフコースの目利きとして全国のコースを取材し、週刊ゴルフダイジェストで「ゴルフの歴史を歩こう」を連載(2005~2013年)。それを一冊にまとめた「美しい日本のゴルフコース」から多くの人に名コース誕生の歴史を知ってもらおうと再編集公開しています。

龍ヶ崎CCの2グリーン制は、2つのグリーンがそれぞれに違った戦略ルートをもっている。井上の弟子にあたる設計家・大久保昌は、その代表例として11番ホールを挙げる。

「11番は、左のベントグリーンを攻める時の第1打は右のフェアウェイバンカーを狙い、右の高麗グリーンを狙う時のティショットは、左のフェアウェイバンカー方向へ打つ、それぞれにルートが違う」と指摘する。

画像: 10番ホール/419㍎/パー4 フェアウェイはS字状で、左右から法面が迫る。飛距離と方向性が求められる

10番ホール/419㍎/パー4 フェアウェイはS字状で、左右から法面が迫る。飛距離と方向性が求められる

国際試合に通用するコース作り

18ホール・7047㍎・パー72。昭和33年11月3日開場時からヤーデージは7000㍎を超えていた。設計者は、始めから“国際的な競技に通用するコース”にこだわった。

画像: 12番ホール/168㍎/パー3 距離的に難易度は高くないが、池越えに苦手意識のあるゴルファーにはプレッシャーがかかる

12番ホール/168㍎/パー3 距離的に難易度は高くないが、池越えに苦手意識のあるゴルファーにはプレッシャーがかかる

画像: 同じく12番。パー3でも右と左のグリーンでは、狙うイメージががらり変わる

同じく12番。パー3でも右と左のグリーンでは、狙うイメージががらり変わる

開場まもなくプレーした米ツアープロのサム・スニードは、米国の雑誌で龍ヶ崎の魅力を紹介した、それを読んだ英国のトップアマ(世界アマ5位)のロニー・シェードは「英国のリンクスを入れても有数なゴルフ場に入る」と称えている。9、10 、11番ホールは龍ヶ崎の「アーメンコーナー」として有名。

3ホールには自然の深い地溝が絶妙に絡んでいて、それが設計者の心を捉えたようだ。9番の第1打は大きく地溝の底へ打ち込むか、前に止めて長い第2打を残すか、10番はS字にくねる地溝のフェアウェイのどこに落すか、ルート選択が面白い。

画像: 9番は龍ヶ崎のアーメンコーナー入口。ティショット240ヤードで窪地につかまる。刻んでも残り160~180ヤードのセカンドが待っている

9番は龍ヶ崎のアーメンコーナー入口。ティショット240ヤードで窪地につかまる。刻んでも残り160~180ヤードのセカンドが待っている

龍ヶ崎カントリー倶楽部
茨城県龍ヶ崎市泉町2080 ☎0297- 62-2611
開場日:昭和33年11月3日
コース:18H/7047Y/P72
設計:井上誠一
公式ホームページはこちら

美しい日本のゴルフコースより(弊社刊)

取材・文/田野辺薫

画像: 10番のセカンド地点。右グリーンは右スロープの奥、左は正面の砲台の上

10番のセカンド地点。右グリーンは右スロープの奥、左は正面の砲台の上

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画像: golfdigest-play.jp
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